「ミルちゃん、シャクナさん、王室に入るって・・!?」 「うん、おにぃちゃんの第7王妃だよー」 「ええっ!?」 顔をさらに真っ赤にするシャクナさん。 「だって、おにぃちゃんを助けた1番の功労者だもん、当然だよね、おにぃちゃん」 「そうなの?シャクナさん」 「い、いえ、私は・・・その・・・」 言葉に困るシャクナさん。 「その・・・わ、私なんかで、本当によろしいのでしょうか・・・ 私のような者が、その、トレオ様の王妃にだなんて・・・夢のようですし・・・ 恐れ多いですし、私なんかに勤まるかどうか・・・何よりトレオ様には、 ハプニカ様やみなさんのような方々こそが相応しく・・・もったいなすぎます」 照れながらも顔を伏せるシャクナさん・・・ シャクナさんの言ってる事、よくわかる、なんせ、 俺がハプニカ様に対して思っている事、そのままなのだから・・・ 「・・ちょっとミルちゃんは黙っててね、それで、シャクナさんの結論は?」 「はっ、はいっ、そのっ、もしっ、わっ、私なんかがトレオ様の、 ほんの少し、微塵でもお力になれる、トレオ様に喜んでいただけるというのならば・・・ 私は全力でトレオ様に生涯、尽くしたいと思っておりますが・・・その・・・迷惑でしょうか?」 うーん、このシャクナさんの結論・・・ 俺のハプニカ様への結論に近いが、ただ、俺には生涯尽くせる確信がなかった・・・ そうだ、シャクナさんはこんな事を言っているけど、俺のことを愛しているのだろうか? 「シャクナさん、もうひとつ聞いてもいいかな?」 「はい、何でしょうか・・・」 「俺のどこがいいの?」 「どこって、その、お一人で戦ったあのお姿、すぐ近くで見る事ができて・・・とてもご立派で、感動しました」 「でも、同じ立場だったら誰だってあれぐらいはするよ、俺自身のどこがいいのかなあ」 「そんな!あのような事、トレオ様でしかできません!・・・一生、忘れられません」 「・・・それはきっと、愛じゃなくって、あこがれだと思う」 「そんな・・・・・!!」 絶句するシャクナさん・・・ だめだ、どうも疑心暗鬼に・・・いや、 これでいいんだ、きっと、これが正しいんだ・・・ そうだ、俺のハプニカ様に対する気持ちだって、ただのあこがれなんだ、 つまり、ハプニカ様とは愛し合ってる訳ではない・・・これが結論なのだろう。

「違うよぉ」 黙っていたミルちゃんが口を開いた。 「あこがれだって、立派な愛だよ、恋だよぉ」 「違うよ、別のものだよ」 「愛や恋じゃないあこがれがあれば、愛や恋のあるあこがれもあるよぉ」 「ミルちゃんは子供だからわからないんだよ、まだ」 「違うもん!ミル、子供じゃないもん!!」 俺に飛びつき唇を重ねるミルちゃん、 口移しの食事とはまったく違う舌の蠢きが俺の中で震える、 目からは涙を流しながら・・・必死に深い深いキスを一方的にし、ミルちゃんが口を離した。 「ぷはぁ・・・ミルちゃん・・・」 互いの唾液がだらーっと糸を引いて光る。 「おにぃちゃん・・・好きです、愛していますぅ・・・」 涙をぼろぼろこぼすミルちゃん、 この城へ来た日のハプニカ様とだぶって見える・・・ やはり姉妹だ、こういう時の雰囲気はよく似ている・・・・・ ・・・そう思うと俺はどういう訳か腹が立ってきた、なぜだろう、 これはきっと・・・ミルちゃんがハプニカさまと同じように嘘をついているから!? 「・・・やっぱり同情で結婚させられるのは嫌だよ」 「そんな・・・違うもん・・・」 「シャクナさんも無理しなくていいから・・・」 パシッ!! 俺の頬にビンタがとんだ・・・ 2度目の・・・シャクナさんの・・・ビンタ・・・ 「申し訳ありません・・・ただ、私の愛をわかってもらうには、こうするしかないと・・・ ・・・どんな罰でも受けますし、お呼びがかからなければ、もうここへは来ません、 トレオ様の治癒は他の方に代わっていただきます・・・では・・・」 一筋の涙を流し、シャクナさんは静かに部屋を出ていった・・・ 一粒の涙と、俺の頬に熱いものを残して・・・・・ 「おにぃちゃぁん・・・おにぃちゃぁん・・・」 俺の体にしがみつくミルちゃん・・・ ・・・・・もう悩むのもめんどうだ、もう嫌だ、 さっさとこの体を動けるようにして・・・去ろう・・・・・

もどる 目次へ めくる