かわいらしい栗毛の少女、うちの高校の付属中学に通う後輩のこよりが、女装用の青いカツラを持って言った。
「ご苦労様、もう帰っていいよ」
演劇部の部室、もう外は太陽が地平線につこうとしている。練習も終わり、僕一人で後片付けをしようと思っていたのだが、
僕になついている中学1年の後輩・こよりがこんな時間まで手伝ってくれた。
「先輩、先輩ってもう高校2年だから、キスとかしたことあるんですか?」
「な、何を言ってるんだよ・・・」「先輩かわいいから、もてるんでしょうね?」「か、かわいいって・・・」
確かに僕はかっこよくはない、身長だって、4歳年下のこよりとそう変わりはないし、
肌も白く体毛も少ない、小さい頃はよく女の子に間違えられたものだ。
「ねぇ先輩、つきあった人って何人ぐらいいるんですか?」「ば、ばか!そんなの・・・いるわけないじゃないか・・・」
「先輩かあいい!顔赤くしてるー」「か、からかうんじゃない!」
こよりは僕に近寄ると、大きなリボンがついた青いカツラを僕にかぶせた。
「あん、先輩、女役やってみてくださいよ、きっとぴったりですよー」
「先輩、これは練習です、演劇の研究です!うちは部員が少ないから、こういうことも試した方がいいです」
栗毛の髪を少し揺らしながら、こよりは僕を部室のベッドに押し倒した。
僕の首に手を回し、強引に唇を奪うこより。入ってきた舌が、僕の舌をしゃぶる。
7、8秒のキス、電気が僕の脳に走る。
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めくる