さまよいの記 Vol.1
99.3.19
今日で28才。午前十二時に自分に乾杯する。よくぞバカなりにここまで生きてこれた。そして呆れながら、付き合ってくれている人たちにも乾杯。
会社で女子社員に「今日は何か機嫌でも悪いんですか?」と指摘(恐る恐る)される。また眉間に皺寄せて考え事をしていたらしい。いかんな。そんなことないよと笑い、よもやま話をする。
雨が降っていて帰りずぶ濡れ。合羽、買っときゃ良かった。
夕飯を食いながら母と祖母と雑談。今日は出掛けず家にいることにする。
掲示板の閉鎖の前にメールを打つ。何度も考えて打つ。気がつけば掲示板閉鎖の時間を過ぎていたけれど、見たい番組があったので少し遅らせる。
携帯電話にYさんより電話。僕のカラダを心配してくれる。涙が出るほど嬉しかった。
父へ。
母を愛してくれてありがとう。そして僕を抱いてくれてありがとう。
母へ。
産んでくれてありがとう。親不孝な僕をどうか許してください。
歴史は繰り返され、同じ悲劇がおこり、胸を抉られるような
ことが平然と執り行われ、間違った価値観で差別し、批判し、
妬み、嫉み、徒党を組んで平気で人を傷つける世の中です。
正義とは誰かを裁くのではなく、悪を裁くものです。
人間がもっとも犯してはならないのは悪を責めずに弱き人を
責めることです。
正義とは力ではなく、心です。真心、誠実の心です。全てを
内包し、癒す力です。
時として正義という名のもとで虐殺が行われ、罪なき人を圧し
つぶした。大きな流れのものもあるし、すぐ身近でおきること
もある。
友よ、そういった中で常に自身に問いかけていこう。その怒り、
涙は正しいのか。
友よ、何よりもまず相手を思いやることを心がけていこう。
あきらめてはいけない。
諦観してはいけない。
最後の最後まであきらめないで行こう。
自身の眼を信じろ。
自身に常に問いかけろ。
自身の戦いを起していこう。
友よ、負けるな。僕も負けない。
友よ、負けるな。
すべての人に感謝。
深夜三時就寝。
99.3.20
珍しく早く起きる。午前中に散歩をする。心の余裕がなかったのか、桜がもう咲いていた。雨で散りはしないかと思う。お願いだ、散らないでおくれ。
道の工事中で警備をしていた女性(婦人)に挨拶される。知らない人だったけれど、僕も「おはようございます」と笑って答えた。いい笑顔だったな、あのオバチャン。
家に帰宅後テレビを見る。落語家の六代目三遊亭圓生の生涯をやっていた。単純だからすぐに彼の落語を聞きたいと思う。その後のニュースでユーゴの紛争問題、ロシアの内政問題がやっていた。胸が痛む。これは偽善か?
夜八時からW君と会う。少しドライブをして、食事。W君の体調悪そう。心配だったので食事をしてからすぐに送る。小説執筆2枚。気乗りしない。
99.3.21
僕の体調が劣悪になった。ここ一週間ほど優れなかったが、今日は背中も痛いし、頭も痛い。夕方まで安静にしている。夕方、母と祖母の買い物を迎えに行く。
帰宅後横になっていたらMさんが心配をして来てくれ、栄養ドリンクを持ってきてくれた。ありがたくいただく。
掲示板へ来てくれた方々にお礼のメールを打つ。小説執筆2枚。十二時就寝
99.3.22
朝七時起床。用事があって出掛ける。昼ごろから晴れては来たけれど、風が強い。依然体調悪し。
小説の手直しをしつつ、新しい小説の案が2つ固まる。なんとか今年には書きたい。
夜、出掛けると異常に空気が冷たい。耳がちぎれるかと思った。
帰宅後「ギーターンジャリ」を読む。
詩聖と呼ばれたインドの詩人、タゴールは熱烈な歓迎を受けて日本へ来た。しかし、タゴールは日本で、当時動き始めていた戦争へ向かう日本を痛烈に批判をした。そして帰国の時は誰一人として見送りに来なかったという。日本というのは忘恩の国である。そして人権を踏みにじる国である。そして文化、芸術を愛さない国である。異論、反論もあろうが、これは紛れもない事実である。
99.3.25
仕事ヒマ。具合悪い。夜Kさんと会う。
99.3.26
どうも具合が良くならない。今日は出掛けずに新人賞応募の作品の修正を仕上げる。一応終わったものの、まだ不満足。いつもなら「いいや」と投げてしまうが、今回は頑張る。
もう一本一向に筆進まず。
99.3.27
昼は会社の昼食会。会社の近所の回転寿司へ行く。十四皿も食べる。加減を知らないな、ワシ。
帰宅後アカデミー賞の授与式を見る。過日社員旅行で行きの飛行機で観た「ワン・トゥルー・シング」は主演のメリル・ストリープがノミネートされていた。あれ、新しい映画だったのか。あの映画、良かったなあ。ただどうも合点がいかないのが主演女優賞と作品賞だ。ちらっと観るかぎりだけど、あの女優、ホントにいいのか? それと作品も。そうかなあ。あれいいのかなあ。好みじゃないな。
「シンドラーのリスト」を見て思っていたのはスピルバーグは戦争を醜く描くのが上手な監督だ。「プライベートライアン」の前半もそうだけど、戦争は美しく撮ってはいけない。その姿勢に僕は敬意を表したい。
ノミネートされていた作品で一番観たいのは「プライベートライアン」だけど、「トゥルーマンショー」と「ライフイズビューティフル」も面白そうだ。この三作品は絶対に観ると心に固く誓う。
99.3.28
日曜。十時すぎまで寝てた。Iさんの電話で起きる。昨日は2時ごろまで小説を書いていた。新人賞応募作品は出来るには出来た。けれどラストを変えようかどうかでまた悩んでいる。
十一時より出掛ける。僕の近所に越してきた、知人の知り合い、Sクンに会いに行く。知らない土地で一人暮らしだから淋しいだろうからと僕に電話をしてきていた。Sクンは中々の好青年だ。部屋に上げて貰い、少し雑談をし、夜飯を食べる約束をした。
その後散歩に出掛ける。桜がもうかなり咲いてきている。ぶらぶらと歩きながら桜を観賞する。近所の人に何人も会い、そのたびに雑談をしていたため、昼過ぎに戻る。
昼は母の作ったナポリタンであった。
夜出掛ける。Sクンに食事をご馳走する。23時帰宅。
もう一本の小説に手をつける。執筆枚数4枚。
99.3.29
仕事は相変わらず入らない。あまりにヒマなので上司の目を盗んで、沢木耕太郎の「深夜特急」(文庫)を読む。中学生みてえ。
一巻は香港・マカオが舞台だ。僕は三年前、返還の前年に訪れた場所だ。懐かしく思う。ただ僕はマカオにもいったけど、ほとんど町の記憶がない。何度も思い出そうとしたけれど、ホテルの中しか覚えていない。
帰宅後、Kさんから電話。しばし懇談。やること多し。溜息。
もう一本の小説を最初から見直し、構成を大幅に変更する。枚数を減らす考え。
99.3.30
「深夜特急」一巻を読了。引き続き二巻を読み始める。社内の倉庫の整理を手伝う。肉体労働は久しぶりだ。体を動かすとそれに集中するためか、思考が止まる。というよりも頭が白くなって軽くなってくる。まるでクルマを運転している時と同じだ。
夕刻より雨。途中封筒、綴りヒモを買う。帰宅後文学賞応募の小説をプリントアウトする。結局最後を変えないことにした。プリントアウトし、表紙をつけて綴じる。題名をしげしげとみつめる。いいな。そう思う。いつも文芸賞に応募をするたびに紙に印刷された自分の小説を見ると嬉しくなる。それまではひどく苦しい作業なのだが、その瞬間は嬉しいと思う。封筒に入れ、夕食をすませる。夜Mさんに会いに行く。三十分ほど話してそのあとコンビニへ。そこでブラウザの最新版が入ったコンピューター雑誌をみつけ、つい買ってしまう。入れないでおこうと思っていたのに、結局導入してしまった。ブラウズは気持ち早くなったけれど、その他の作業が異様に遅く感じる。
執筆枚数4枚。もう一本は間に合うのかな?
99.3.31
朝から雨。今日は原稿を郵便局に持っていきたいから濡れたくない。仕方なしにクルマで会社に向かう。途中の郵便局で原稿を出す。一つ終わり。
仕事を貰うも担当者が休みで進めようがない。結局今日もヒマ。昼過ぎから晴れてくる。
帰宅後、サッカー日本代表戦をテレビで見る。ブラジルに2−0で完敗。なんだか皆動きが遅かった。反面ブラジルは韓国に負けていたこともあって闘争心むき出しで攻めてきていた。早いパス回しに精度の高いセンタリング。素早い判断能力。まさしく芸術、神業。
僕は個人的に城が嫌いである。フランスでの非難もしかるべき評価であると思っている。で、日本代表に招集され、さぞや成長したろうと思ったけど、どこが変わったんだ? パスを合わせやすいのは城だと中田は言うけど、入れてくれなきゃ意味がないのである。惜しいなんていうのは存在しない。負けは負けである。それとトルシエ監督、もう少し早く柳沢を投入してくれても良かったんじゃないの? もうすこし見てみたかったなあ。
見終ってIクンに会いに行く。しばしサッカー談義。帰宅後、ネットの文学賞の応募作品を執筆。途中まで来てはたとここで終わらせると非常に切れがよくなると思う。ああ、こういう切れ方もいいなあと考えつつもまだ少し書きたいという思いも出てくる。でも珍しくいい切れ方なんだよなと逡巡する。修正しながら、明日帰宅後そうそうにケリをつけようと思う。それにしてもネットだと締め切り当日でも間に合うから便利だよな。
執筆枚数八枚。今日は頑張った。明日から4月。