2003ホノルルマラソン                    T.K

掛け間違えたボタンは、最初からやり直さないと元に戻らない?
今年のホノルルマラソンはそんな感じのレースだった。

丹沢湖ハーフでスピード(ペース)を維持して行く能力(持久力)が欠けているの
ではないか?と不安を感じていた私は、1週前の湘南月例で10kmのレースに
出場した。ここまで来てしまうと何をやっても付け焼刃になってしまい、成果なんて
たかがしれているが、それでも出きるだけのことはやっておきたい。そんな気持ち
が心のどこかにあったからだと思う。

幸いにもこのレースでは、ホノルルに一緒に出場するチームメイトに引いて貰った
おかげで39分台前半というまずまずのタイムを出す事ができ、精神的にはこれで
大丈夫かな?と言う程度の自信には繋がった。

夏場からの練習量(距離)は、昨年に比べて1割程度増えている。ランニングを
はじめてから今まで記録を順調に伸ばしてきた。毎年出場しているホノルルマラ
ソンを例に取れば1回目:6時間数分,2回目:4時間21分,3回目:3時間51分,
4回目:3時間19分となっており、練習量を増やしたんだから、当然今年も去年
のタイムを上回るのは当たり前。どれだけ伸ばせるかがカギ!と思いこんでいた。
目標は、自己ベスト更新して3時間15分を切り、3時間10分にどれだけ近づける
かだ!くらいの自信はあった。ただ、昨年と比べてあきらかに劣っている事がひと
つあった。それはレースに賭ける意気込み。去年までは年間出場レースの中で
もっとも気合をいれて臨んでいたのは、ホノルルマラソンだった。がっ今年は違う。
遡る事1ヶ月。大都会東京で行われた、東京国際女子記念市民マラソン。
今年はこれに賭けていた。このレースで3時間10分を切る予定でいた。
しかし結果は惨敗。(関門収容で完走すらできず・・・)

気持ちを切り替えてホノルル!と頭の中で思ってはいたが、何か昨年までとは
違っていた。レースが近づいてきても緊張感が高まらない。レース前日になって
いるのに、K枝に『明日のイルカツアーは・・・』と日にちを間違えて話していた事
でも緊張感の無さが分かる。翌日がレースということは分かっているのだが、無意
識の会話の中の一言では、ホノルルマラソンが抜け落ちてしまっていたのだ。
それでもこの状態を悪い方には考えていなかった。それだけリラックスできている
んだ。これまでは、イレ込み過ぎて最後に失速していたんだから今年は大丈夫。
ひょっとしたら完全リニューアルしたランナーに生まれ変わるのかも?
そのくらい楽観していた。

今回のホノルルマラソンは、私,K枝,A子さん,母,叔母という常連メンバーに加え
hiroさん,でんでんむしさんが同じツアーで参加。さらに別ツアーで現地へ行く
さるさん夫妻と合流予定となっていた。出発は金曜夜。時差の関係で現地到着は
金曜日朝。到着初日は、ワイキキ周辺をブラブラと過ごし、2日目は水陸両用ダック
ツアー&チームぴあ結団式。レースは3日目となった。レース以外のレポートは
後程ということで、ここでは一気にホノルルマラソンスタート直前へ飛ばせていただ
きます。

スタート直前。今年は昨年の教訓を生かし、良いポジション取りに成功した。かろう
じてスターターが見える程度の位置で、目安のタイムとしては、2時間30分〜という
ところ。ここなら、それほどロス無く走れそうだ。スタート位置には、hiroさん、でん
でんむしさんと一緒についた。今回は私を含めてこの3名で団体戦にエントリーして
いた。個人戦以外の楽しみもあったのだ。(考え様によっては苦しみかもしれない
が・・・) スタート位置についてからは随分と待ったような気がする。英語でフセイン
が???と言うアナウンスがありアメリカ人が盛り上がっていたが、わたしの英語ヒアリン
グ能力では、詳しい事は聞き取れなかった。そのあとも米国国歌が斉唱され、ゲスト
の紹介やら何やら色々行われていた。気温は例年よりちょっと暖かめで、被っていた
ビニール袋が邪魔になったのでスタート前に脱ぎ捨てていた。風の方はハイウエイ
に乗ってみないと何とも言えないが、雲の動きからしていつもと同じくらいか、やや
弱目というふうに受け取れた。個人的には割りと静かな感じでスタート時間を待てて
いた。

そして午前5時。黒い夜空に花火が打ち上げられた。スタートのピストル音を消す
ように打ち上げられる花火。これにより、これまで静かだった心に一気に火がついた。
落ちついてゆっくりスタート。最初の5キロは、キロ5分でも良い。そう思っていたのに、
いきなり飛び出してしまう。前に陣取っていた東北高校の修学旅行生をうまくかわし
切れないと思うと、中央分離帯の芝生に駆けあがり、クロスカントリーを開始。
『いかん!いかん!』と思っているのに一度火がついてしまった炎はそう簡単には
静まらず、暴走してしまう。

アロハタワーが見えてきたあたりでようやく落ちついたが、この時点で既に息があがり
つつあり、足の重たさを感じていた。落ちつく切っ掛けとなったのは、『脳みそバーン
!』という女性の声を聞いた時だった。この掛け声は、今年のチームぴあの合言葉で
チームぴあのメンバー同士がすれ違ったり追い越したりする時はこの言葉を掛け合おう
というきまりになっていた。それにしても、チームぴあにもこんな位置からスタートする
女性がいたのか?今年はレベルが高いなーと思っていたら、それはチームぴあの
女性ではなくひろみさんだった。ひろみさんが自分より後ろにいた??? 
これは相当オーバーペースだ。もっとペースを落とさなければ・・・ という事でようやく
冷静さを取り戻したのだ。がっ時すでに遅し???

最初に乱してしまったリズムは予想以上に大きかった。ダウンタウンへと入っていく短い
上り坂ではふくらはぎに張りが現れ、その張りは足首、足先へと広がり、ついには
足の裏の痺れという予想外の症状まで現れた。長時間正座ををした時に起こるような
足の痺れが走っている最中に発生した。着地した足がビーン、ビーンと痺れる。これは
しばらくペースを落として回復を待たなければと思い、意識的にペースを落としたが、
この痺れは、ダイヤモンドヘッドの上り坂まで続いた。いつもなら、さあいくぞー!と
気合が入るアラモアナショッピングセンターも、ハイテンションで駆けぬけるカラカウア
通りもこの症状が影響して全く気分がのらない。いったん止まって靴の紐を結び直そうか
と思ったほど、症状は深刻だった。いつもは、鮮やかなイルミネーションを観賞し、
多くの声援を受けて鳥肌を立てて感動しながら走るのに、不安ばかりが頭を支配して
その不安で身体全体の重さまで感じるようになってしまった。
そんな状況で迎えたカピオラニ公園入り口6mileの通過タイムは、45:42(4:46/kmペ
ース) 果たしてランナーとして、この公園に戻って来れるのだろうか?そんな不安に
苛まれた。

カピオラニ公園からダイアモンドヘッドロードへと続く公園の外周道路は、この時間帯、
まだ暗い事もあり観客は殆どいない。カラカウア通りの喧騒が嘘の様に静まりかえって
いる。そんな中、依然として足裏の違和感は続いていた。インナーソールがずれている
んでは?と思うような違和感があった。いつもならこの辺りは走る事に集中して、あっと
いう間に走り去ってしまうのだが、すごく長く感じた。ペースは上がらず、廻りのランナー
から少しづつ置いて行かれるようになった。

足の具合が快方へと向ったのは、ダイアモンドヘッドの上り坂を迎えた頃からだった。
上り坂になった事でリズムが変わったからなのか、何なのか?理由はわからないが、
足の裏から痺れ感がスゥーっと消えて行った。これで『足の心配はしなくて済む!』 
ようやくホノルルマラソンを走っていると言う実感が沸いてきた。しばらく坂道を上って
いると、前方に看板のようなものを背負った2人組のランナーを発見した。近づいて
みると、その看板は雑誌クリールの表紙を拡大コピーしたものだった。走りに多少余裕
が出てきたので、声をかけてみることにした。

T:『クリール編集部の方ですか?』
ク:『そうです。私がクリールの編集長をやっています。』
T:『そうなんですか。私はサムズ・アップなんですよ。以前チーム紹介して頂いた。』
ク:『サムズ・アップさんですか。ゴールドコーストに行かれたミヤコさんの...』
T:『そうです。そうです。』

といった感じの会話をして、気分転換。足も回復してきたし、海からの風も心地良く、
やっぱりホノルルは楽しいなー!!そんな気分になってきた。 さあこれから遅れた
分を取り返すゾ!と気持ちを入れ替えて再スタート?した。がっ、上り坂でだったことも
ありペースは変わらず、6mile-8mileの2mileは、15:25(4:49/kmペース)だった。

ダイアモンドヘッドの最高点に到達すると暫らくは下り坂が続く。この下り坂は快調に
走れるのだが、このまま下りきって終わるのかと思うと、そうではなく、その後再び急な
上り坂が始まり、下り、上り、下りと言った感じで急な起伏が待ち構えている。もっとも
この辺りではまだ足に余裕があるので、疲れを感じるまでには至らないのだが、後半に
なってこの起伏が効いてくるような気がする。

この急な起伏の入り口付近に小さなコップでビールを配る名物?施設エイドがある。
このエイドの近くを通って、ビールを受け取らないとブーイングが起こるので、コース
を逆に取り、離れたところを走っていく。足の具合はかなり良い感じになってきた。
しかし、この起伏が影響してか、思ったほどペースは上がらず、8-11mileの3mileは、
22:54(4:46/kmペース)で殆ど変わらず。前半快調だった去年に比べるとだいぶ遅れ
をとっているが、それでも去年は、最後に大失速しているので、このままのペースでも
最後まで落ちなければ記録は更新できる。その程度の希望は持っていた。

11mileは、ハイウエイの入り口を少し過ぎた辺りにある。ここからは風とうまく付き合っ
ていかなければならない。毎年ハイウエイに上がると往きが向い風で帰りが追い風と
なる。ハイウエイの全長は往復で約11mile(約17.6km)往きの向かい風は行く手を
阻み、帰りの追い風は暑さを感じさせる。どちらにしても、ランナーにとってはあまり
歓迎できない。対応策としては往きは良い風除けをみつける事。自分と同じ位の
ペースで走っているランナーを見つけ、付かず、離れずの絶妙な位置を確保して、
じっと耐える。それしかない・・・

今年は良い目標が見つかった。背の高い日本人女性と頭に布を被った日本人と思
われる男性。この2人が良い感じで走っていたので、その後方をキープして走ることに
した。女性を盾にするなんて・・・という気もしたが、この女性はなかなかの強者で
私が先行するとすぐに抜き去っていくのだ。まるで私の後ろについてきなさい!
とでも言わんばかりに。。。 それならということで?女性の後ろ、男性の前に位置して
走りつづけた。エリートランナー達とすれ違ったのは、この頃だったと思う。

ハーフ地点の通過は、1:40:10だった。このままのペースで行くとゴールタイムは、
3:20:20ということで昨年に近い記録となる。いつもなら後半のぺースは落ちこむものだ
と謙虚な姿勢になるのだが、今回は前半が不出来だったので、後半はペースが上がる
んじゃないか?そんな希望的観測を持っていた。しかしながら、陽が昇りはじめ、ハワイ
カイに到達し、でんでんむしさんに追いつかれた時には、この考えの甘さに気づいて
いた。

ハワイカイの入り口(15mileを過ぎた付近)では、それまで割りとスムーズに動いていた
足がギコチなくなってきた。ここから徐々にペースアップと思っていたのに、頑張らない
と、でんでんむしさんの背中がどんどん遠ざかってしまう。まだ30km地点にも達していな
いのに... このままズルズルいってしまったら自分の記録どころか、チーム戦にも影響
してしまう。30kmよりも手前という事で本来なら距離的にまだ頑張る場所ではなかったが、
大きく離されないように早くもムチを入れ始めた。

ハワイカイを1周してハイウエイへ戻った時には、でんでんむしさんの姿がかなり遠ざかっ
ていたが、15mile-20mileは、殆どイーブンの4:45/kmペースで進んでいた。前半と違っ
てかなり苦しかったが…それでも、復路に入ると向かい風が無くなるのと、往路を行くチー
ムぴあの仲間達とのすれ違いで、気分的には随分救われた気がする。しかしながらこの
粘りが続いたのもここまで...

20mile(32km地点)を過ぎると、今度は腹痛に襲われた。最初は横っ腹。それが少しづつ
範囲を広げ、ひじょーにまずい雰囲気になりはじめた。これまでのペースを維持して走り
つづけるのがしんどくなった。頑張ろうと言う気力が萎え始め、ペースは徐々に落ちていっ
た。腹痛は周期的に襲ってくる。腹痛→ペースダウン→腹痛解消→ちょっとペースアップ
→また腹痛→トイレに駆けこもうか悩む→腹痛解消・・・ってな感じで、こうなってくると、
走っている場所がホノルルだろうが、荒川だろうが、スポーツクラブのトレッドミルだろうが
関係無くなってくる。廻りの景色を見る余裕なんて無いし、廻りのランナーが誰だろうが、
抜かそうが、抜かされようが、そんなことは関係無くなってくる。長くランニングを続けていた
ら、こういう事もいつかは起こるだろうと予測してはいたが、何もホノルルで起きなくても...

いよいよやばい感じになってきたので、次にトイレがあったら絶対に入る!そう心に決めた。
しかしながらどういう訳か、トイレのある場所では、ピークが去ってしまう。こうなると意志の
弱い私は、これなら大丈夫と思って通過してしまう。しかし当然のように、ピークは再び訪れ
る。そんな葛藤を何度も繰り返していたらコースはカハラの住宅街に入っていた。距離に
して22mile(35.2km)。残りの距離は7kmになっていた。落ちついた雰囲気が漂う高級
住宅街は、いつもだったらその後に訪れるダイヤモンドヘッドの上り坂を前に”嵐の前の
静けさ”的な役割を担っているのだが、今年は違った。ダイヤモンドヘッドの上り坂を迎える
前に心の中(お腹の中?)では、嵐が吹き荒れていたのだ。腹痛が発生した20mile〜22
mileは15:47。ペースにすると、4:55/kmまで一気に落ちていた。さらにカハラに入ってから
はさらにペースが落ちて、22mile〜23mileは8:06(5:04/km)となった。もっとも実際の
ところ、走っている時にはペースダウンの計算どころではなく、恥をさらさずにゴールできる
かどうか? その点だけに意識は集中していた気がする。

コースは本当の意味での正念場、ダイヤモンドヘッドの上り坂に差し掛かった。距離にして
23mile地点。日陰がなくなり、直射日光を浴びて坂道を上っていく。一度で良いからこの坂
を颯爽と上っていきたい。が、今回もその願いは虚しく潰えた。ゆっくる走るのがやっとの
状態で、何とかお腹に力が入らないよう、気を付けて、まずい!と思えば歩き、時には立ち
止まりピークが去るのを待った。その苦心の甲斐あってか、何とか大事には?至らず坂道を
克服。最高点に到達する事ができた。ペースは、23mile〜24mileの1.6kmが8:51(5:21/km)
途中から下りが始まる24mile〜25mileは8:21(5:13/km) もちろん走っている時は、そんな
こと気にもかけていない。

何はともあれ、あとは坂を下って、たくさんの観衆が待ちうける花道へ足を運ぶだけ。ここから
先がホノルルマラソン至福のひと時。 だが、今年はそうもいかない。ゴールする瞬間まで気
が抜けない。いや正確に言えばトイレに駆けこむまで気が抜けないのだ。それでも下りは
何とか走れる。力を抜いて気持ち良く走った。公園に入ってからの直線も運良くピークが去っ
ていたので快調に飛ばした。早くゴールしてトイレへ… その思いが強かった。

不思議な事に40km以上の距離を走ってきたと言う疲労感はなかった。廻りのランナーをどん
どん抜きさってゴールを駆けぬけた。ゴールして貝殻のレイをかけてもらい、いつもは浴びる
シャワーもパスして、一路トイレへ… トイレへ向う途中、チームぴあのテントに向って歩いて
いた、でんでんむしさんに追いついたが、殆ど会話することなくトイレへ直行した。

あー間に合った。この瞬間、ようやく私にとってのホノルルマラソン2003が終了した。書き忘れ
ていたが、ゴールタイムは、3:23:14。去年より約4分遅れてのゴールだった。

チームぴあのテントには何事もなかったかのように戻った。いつものように満面の笑顔で迎え
てくれるサンタ姿のおねえちゃんからタオルを受け取り、記録ボードにテント到着時刻を記入
してもらう。先に着いている筈のでんでんむしさんは、まだいなかった。テントには一人のラン
ナーが腰掛けていた。トイレへ行くまでに2人のチームぴあのランナーを抜かしていたので、
この時にチーム内で4番目のゴールだったことを悟った。チーム内入賞から漏れた。。。
まあ仕方ないか・・・ 別なものを漏らさずにゴールできただけで良しとしよう!とこの時は思っ
ていたのだが、時間が経つにつれて悔しい気もちが沸きあがってきた。せめて去年の記録は
更新したかったなぁ...(ちなみに去年の記録で走っていたら今回も優勝だった...)

暫らくは結果を残せなかった事が心に重くのしかかり、気持ちが沈んでいたが、チームぴあ
のテントで、足を引き摺り、涙を流しながら、純粋に完走の喜びをかみしているチームの仲間
達を拍手で迎えていたらいつのまにかそんな気持ちは吹き飛んでいた。彼らはみんなレース
前の結団式では緊張で顔がこわばっていたのに、今この瞬間、痛々しくロボットのように歩い
てはいても、その表情は、身体中の毒を全て出し尽くしたかのように爽やかで見ているこっち
まで爽快な気分にさせられた。チームぴあには普段全く走っていない人が沢山いる。
初めてのレースでホノルルを走る人も多いし、リピーターだって走るのはホノルルだけという人
がかなりいる。初めて私がホノルルに出場したときがそうであってように、こういった人達は、
本当に生きてゴールだきるんだろうか? 世の中にこんなに苦しい事があるんだろうか?と
思ってゴールを目指したんだと思う。そして迎えたゴールは言葉では表現できないほどの
感動があった。こんな苦しい思いを乗り越えてこれたんだから何だって出来るんじゃないか?
とさえ思った。チームぴあは、そんな忘れかけていた新鮮な気持ちを思い出させてくれた。
今年もここに来て本当に良かった。
やっぱりホノルルは良い。ここでしか味わえない感動がある。。。

がっ このまま、めでたし、めでたしで終えるわけにはいかない。仮にもこのレポートは『サブ
スリーへ』の中の1編としておさめている以上、何故記録を更新できなかったのかを考えな
ければならない。

終わってみれば、いくつか見えてくる原因がある。
まず、レース前に感じていた事としては、持久力に重点を置き、長く走ることばかりを考え、
ペースを疎かにしてしまった事だ。その為に目標ペースの4:30/kmというのがラクに出す
ことができない脚になってしまった。これは丹沢湖ハーフで気づいていた。
逆に去年はレースペースに重点を置いて、フルマラソンのペースより速いペースでトレー
ニング(レースを含む)をしていたので、4:30/kmはラクにだせるペースだった(逆に走り込む
距離が不足して後半の粘り(持久力)は無かったが。) このへんのバランスが今後の課題
になりそうだ。 ただひとつ言えそうなのは、ハーフで記録が出なかったけどフルなら…と
いう丹沢湖ハーフ直後の考え方は、間違いだったような気がする。フルで記録を出せる
状態にあれば、ハーフでも良い記録が出たんじゃないかと思う。

それから夏場の土台作りにも問題があった??? 去年は夏に高地合宿を行い、じっくりと
土台作りを行ってきた。レースに参戦したのは9月の下旬からだった。ところが今年は高地
合宿を行わなかっただけでなく、サロマ&富士北麓で痛めた膝の回復に手間取り、8月は
思うように長い距離を走れず、水中ウォーキングなどで足の回復に努めるのが精一杯。
そんな状態にも関わらず8月下旬には北海道マラソン、9月には田沢湖と2本のフルマラ
ソンを走ってしまった。田沢湖では良いイメージで走れていたが、所詮小さな土台に築き
あげたものは大成する筈もなく、9月以降の伸び(成長)を欠いてしまった気がする。
今にして思えば割とラクに走って1時間31分を出した健康マラソンフェスティバルinこども
の国あたりが今シーズンの完成型で、それ以上の上積みがないまま東京国際やホノルル
に突入してしまったような気がする。10月以降、出場すれ度に自己記録を更新していた
去年とは大違いだった。

さらに精神的にも問題が??? 最初にも書いたが目標をホノルルにおいていた去年とは違
って、今年は、1ヶ月前の東京国際に置いていた。東京国際で結果を出して、ホノルルは
ファンランというのが、当初のシナリオだった。がっ、東京国際で失敗、路線変更でホノルル
目標。頭では分かろうとしていても、心の中では、整理がついていなかった。過去の例から
してもホノルルの1ヶ月以上あとの館山でタイムが余り良くない事からして、私は目標レース
のあとは精神面がしぼむ傾向にある。モチベーションが下がるのだ。

自分なりに目標としているレース前は自分を追いこむ。日常の生活もレースの事を考えて
摂生する。レースが終われば思いきり食べれるんだから(飲めるんだから)我慢する。
そしてその我慢をバネにして走る。終わったら、一度緊張を緩めるのだが、今回は緩める
ゆとりがなかった。『また、あと1ヶ月頑張らなきゃ、いけないのか』 そんな気持ちが心の
どこかにあったような気がする。 いつもならレース後は体重を一度増やし(心の緩みと共に
勝手に増える)、心体ともにリフレッシュしてから次の目標へと向うのに今回は体重を増や
せなかった。東京国際以降は、大した距離を踏んでいないのに体重が減りつづけていた。
割りとこういう時にプラス志向が働く私は、これを『絞れている。好材料だ!』と踏んでいた
のだが、そうではなかったようだ。枯れて始めていたのかも…

さて、これからどうするか??? もう一度土台から作りなおすのが、正しいやり方のような気が
する。LSDから再開して、徐々にペースを上げていき、レースに備えて体調を整える。これが
正攻法だと思う。次の目標は荒川市民マラソンだから3ヶ月弱残されている。でも今の自分
には3ヶ月もあるとは捉えられない。もういちどLSDからなんて気分にはどうにも、こうにも、
なれない。だから今後は、失敗する可能性を分かっていながら、レースに出つづける。

まず、1月湘南月例,谷川真理ハーフ(連闘)、フロストバイト,2月湘南月例(連闘)。無理
にタイムを出そうとは思わないが、その時のベストを尽くす。スタートしたらきっと自己記録を
出そうとして、もがくに違いない。故障するかもしれないし、いくらレースに出ても、一度も記
録を更新できないかもしれない。それでも良い。今シーズンを棒に振っても良いから、この
まま突き進みたいと思う。

それは1つのヒントを見つけたからだ。小さな土台のままでも自己記録を更新できる可能性
を持ったヒントを今回のホノルルマラソン直後に掴んだ。単なる勘違いかもしれないし、その
ヒントが正解であっても小さな土台の上では馴染まないかもしれない。それでも荒川市民
までの残り時間は、このヒントに賭けてみようと思う。(このヒントについては、またの機会に)
その結果、記録を更新できなくても、それはそれで納得。
一度掛け間違えたボタンはやり直さないと元に戻らないのだから...

ホノルルマラソン前後の旅行記はこちら。。。

おまけ:1月になってホノルルマラソン公式HPをみていたら、3人でエントリーしたチーム
部門で優勝していたことが判明。記録は他のクラスに比べると劣るが、これは素直に嬉し
かった。それから、メリットアワード(各ディビジョン上位5%に与えられる)も獲得できた
模様。


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