ヘルシーマラソン2001(北海道美瑛遠征)
                                 
金子尊博

2日目:大会当日
朝6時過ぎに目覚めた。天候は雨。
雄大な十勝岳をバックに新緑の白樺街道を走りぬけ、青空が広がる美瑛の丘を
駈け抜ける。これが、美瑛ヘルシーマラソンのキャッチフレーズだったので、雨は
ちょっと予想外その証拠に傘を持ってきていない。十勝岳は霧にかくれ、雨は降り
続いている。それでも走るにはそれほど影響無さそうな降り方だったのが、不幸中
の幸いだろうか。7時に朝食バイキングを食べ、8時前にはホテルを出発した。
スタート地点はこのホテルのすぐ近くなのだが、一度ゴール地点へ車を運ばないと
走り終わった後の移動ができないので、20km離れた会場へ車で移動する。
ハーフの部に出場する選手は、ゴール地点となる会場から送迎バスに乗り、スタート
地点へ移動。K枝はクォーターに出場なのでこのまま会場に残る。この大会は、
ハーフ,クォーター,ワンエイツと3つの種目があり、それぞれ走るコースが異なる。
ハーフは、白金温泉からのワンウェイコース。クォーターは、美瑛の丘を中心に走る
周回コース。ワンエイツは美瑛の街中を走る周回コースとなっている。クオーターと
ワンエイツはスタート地点はメイン会場からとなるが、ハーフだけは、ハーフの距離
分離れた、白金温泉青少年の家がスタート地点となっている。ハーフの部スタート
時間は10時30分。9時から行われる開会式には参加せず、早々とスタート地点へ
移動することにした。雨は降ったり止んだりで、走り出してしまえば、それほど気に
なる事は無さそうだった。スタート地点では、青少年の家の施設内の1棟が選手用
に開放されていたので、その中でスタート時間を待つことにした。快適とまでは言え
ないが、雨に濡れずに休めたのでリラックスはできた。

スタート時間が近づいて来ると、アップを始める選手が増え始め、休憩所の人数が
減り始めた。私はストレッチを行う程度でアップはしなかった。ちょっと不穏な動きを
始めたのがうさぎさん。トレーニングウェアのお尻の部分が微妙に膨らんでいるのが
気になった。そういえばレース前、『おしゃれをしますよ!』というコメントからして
何か仮装をするのだろうなと睨んではいたが、やはり...
そう言えば、前夜ベッドに寝転がりながら白い毛糸の塊のような丸いものを眺めて
いたがあれはうさぎの尻尾だったのか?

スタート20分前くらいに、休憩所を出てスタート地点に向う。スタート10分前には
トレーニングウェアを脱ぎ、走る仕度を整えた。注目のうさぎさんの仮装は、バニー
だった。ベールを脱ぐと、すぐに大会関係者のカメラマンが取材に来る。来年の
パンフレットに載るかな? 

スタート1分前になると列がゆっくりと動き出す。招待選手だけがスタートライン上
に並び、一般の選手は少し離れたところからゆっくりと動き出し、一般選手の先頭
がスタートラインへ到達した瞬間にスタートが切られた。ちょっと変わったスタート
方式だったが、流れながらのスタートだったので、ロスタイムは殆どなく、いきなり
走り出す事が出来た。スタート地点から暫らくは、かなり急な坂を下る。
1キロを4分程度のペースで駆け下りる。最初のうちはいいが、後半まで足が耐え
られるのかちょっと心配だった。それでも勝手に走ってしまう。3キロの通過が、
12分くらい。5キロも20分台で通過した。

3週連続大会出場となるこのレースは、北海道遠征ということもあり、観光気分が
大きいが一応、自己記録更新を目指している。調子は前2週よりは良い。
それにコースも味方してくれそうだ。自己記録更新を目指す上では最初の5キロ
で大きな貯金ができた。あとは、後半に訪れる足の疲労にどれだけ我慢できるかだ。
コースは白樺街道と呼ばれる道路を右に左にゆるやかにカーブしながら進んで行く
雨は殆ど降っていない。スタート時の気温は10度くらいだったので、ちょっと寒い
感じだったが走り出してみると、ちょうど良い。ここまでは順調に進んでいた。
景色を眺める余裕もあった。

北海道シベリアタイガーパークという施設が左側に見えてきた。この施設、ナンか
聞き覚えがあるなと思い、帰ってから調べてみたところ、この施設はトラが放し飼い
されている柵内を車で入場できるサファリパークだったそうだが、1999年にずさん
な管理からトラが死んでいるのが発見され家宅捜索を受けて以来閉鎖されている
というのが分かった。施設のほうを見てみると、草が鬱蒼と生い茂り、不気味な
雰囲気が漂っていた。こんな事を考えながら走っていたのだからまだ余裕はあった
のかな?

時折、ペンションなどが現れると、従業員の方たちが声を掛けてくれる。人数は
少ないがなんか嬉しくて、つい手を振ってしまう。まだまだ余裕があるからだろうか?
いや、そうでも無さそうだ。白樺街道を左折して農道に入ると、しばらくは
一直線の平坦道路になるのだが、このあたりで早くも左膝にひっかかるような
感じが出始めた。痛みと言うところまでは行かないが、少し気になる。やはり前半の
急な下り坂の影響かな? 

中間地点の通過タイムは45分くらい。10キロのベストタイムが44分の私にとっては、
それを上回るほどのペースだった。ハーフの自己ベストは1時間48分だった
ので、実に18分もの貯金を前半で作ってしまったことになる。ここから先、キロ6分
ペースに落ちたとしても自己ベスト更新は出来そうだ。でもやっぱりちょっと飛ばし
すぎだったかな…少しペースを落すことにした。膝が気になったのと、この後、
訪れる上り坂を考えて、少しでも余力を残しておきたかったのだ。

それにしても、景色が良い。天気は相変わらず曇りがちだが、遠くに連なる
山々が見渡せるようになってきたし、丘の風景も現れ始めた。コース脇には、
じゃがいもや、アスパラガス、麦などの畑が次々と登場する。時々牧場の香ば
しい糞の臭いもあったが、それさえも受け入れられるほど気持ち良かった。
農家のおばちゃんたちの応援も楽しい気分にさせてくれた。ただ遠くにちょっと
気になるものが見え始めた。上り坂だ。コースの高低図をみてみると1ヶ所だけ
上り坂があることに気づく。大した昇りではないだろうと思っていたのだが、
近づいてみると大したことありそうだった。

上り坂がやってきた。このレース(ハーフの部)では唯一と言える上り坂だ。
この坂の手前数百メートルは、意識的にペースを落とした。息を整えて、
坂に向う。これまでずっと下り坂または平坦な道を走っていたせいか、いつも
なら嫌な気になる上り坂がそれほどキツク感じない。むしろ走りながらストレッチ
をしているような感じになり気持ち良いくらいだった。坂の途中には、横断幕が
掲げられ、鳴り物の応援隊が待ちうけている。大会マスコットのカケマルと
モジャもいた。そしてゲストの増田明美さんも応援に加わっていた。賑やかな
応援隊の前を走りぬけると左方向へカーブして丘の頂上をむかえる。さすがに
頂上付近では息が上がりかけたが、そこからの景色は疲れを忘れさせて
くれるほど綺麗だった。何より嬉しいのはここからゴールまでは再び下り坂
中心のコースで、上り坂が無い事だった。これには精神的に救われた

残り5km。足へのダメージは徐々に蓄積されて行き、下り坂でも思うように、
ペースが上がらない。ここまでは、周りのペースにのって走っていたが、
徐々に抜かれる事が多くなり始めた。それでもキロ6分にまでは落ち込んで
いなかったと思う。膝の違和感は徐々に大きくなりつつあり、一歩一歩が
足に堪え始めた。残り3km。キロ5分のペースで走れれば、1時間40分を
切れると言うところまできていたが、足が動かなくなった。コースは平坦に
なり始め、下り坂の助けもなくなってきた。あとは自力で行かねば...

19キロ地点。1時間31分くらい
で通過。残り2kmを5分ペース
では1時間40分は切れない。
しかしペースを上げる力はもう
残っていなかった。ペースの
落ち込みを抑えるのが精一杯。
この1キロは6分近くかかって
しまった。気持ち的には、ラスト
スパートと行きたいところだが、
もう身体が言う事を聞いてくれない。前半のハイペースがここに来て堪えてきた。
このあたりでは抜かれてばかり。それでも少しでもタイムを縮めようと必至に粘る。
しかし残りの2kmは12分以上かかってしまった。ゴールタイムは1時間43分01秒。
これまでの自己ベストを5分以上更新できた。ペース配分を誤り、最後はバタ
バタになってしまったが、コースに助けられ、何とか目標を達成できた。
コースに泣かされる事もあるんだから、たまにはこうゆう事があってもいいかな。
(写真は左からT.K,ヨー娘。さん,A子さん いずれもゴール直前)
     
他のメンバーでは、R555さん
が7位入賞。うさぎさんが11位
と前週の湘南ビーチに引続き、
チームとしては2週連続の入賞
を飾った。ゴール後は模擬店
でビール、ヤキソバなどを購入
し、R555さんの表彰式を見学。
そうこうしているうちにまた雨が
降り出してきたので会場を後に
することにした。
(写真左はミスツインクルより表彰を受けるR555さん写真右はメダルをかけ、賞状片手にニッコリ)

この日はこの後、富良野方面へ移動。ドラマ『北の国から』のロケ地(麓郷)を中心
に見学。このあたりは、富良野を訪れると毎回立ち寄るスポットだが、今回も...
何度来ても、いいもんだ。それだけあのドラマへの思い入れが強かったのかな?
麓郷の森に入り、ドラマの中で最初に住んでいた廃屋を見ると、純くんと五郎さん
の会話が蘇ってくる。

純 :父さん、電気のスイッチどこですか?
草太:純坊。電気なんてねえよ。この家には電気は
   はいってないの
純 :電気がないッ!? 
   電気がなかったら暮らせませんよッ
五郎:そんなことないですよ(作業しつつ)
純 :夜になったらどうするの!
五郎:夜になったら眠るンです
純 :眠るったって。だって、ごはんとか勉強とか
五郎:ランプがありますよ。いいもンですよ
純 :いー。ごはんなんかはどうやって作るのッ!?
五郎:薪で焚くんです。
純 :テレビはどうするのッ
五郎:テレビは置きません
純 :アタア! けど、けどー冷蔵庫は
五郎:そんなもンなまじ冷蔵庫よりおっぽっといた
   ほうがよっぽど冷えますよ。こっちじゃ冷蔵庫
   の役目っていったら物を凍らさないために使う
   くらいで...
純 :信じられないよッ

 (写真上は五郎の石の家)
 今でも五郎さんが独りで、静かに暮らし
 ている?

 (←北の国から脚本より)
   
『北の国から』連ドラ版が放送されてからもう20年。
ドラマの中で建てられた丸太小屋もだいぶ傷んで
きた。中学生の頃に、初めてここを訪れた時は、
まだピカピカで、このあたりに丸太小屋なんて
この1軒しかなかったから、すごく輝いて見えた。
それに麓郷の森なんて施設も無かったから、
廃屋と丸太小屋はそれぞれ別の場所にあったん
だ。道路も今でこそ舗装されているが当時は砂利
道だった。毎回ここを訪れる度に少しづつ変わっ
て行く。20年も経っちゃったんだもんなー...
(写真上は麓郷の森にて)  
   
その後、富良野ジャム園でジャムの試食を行い、
五郎の石の家、中畑木材、中ノ沢分校、草太の
牧場などのロケ地を覗きながら、ホテルへと向か
った。この日の宿泊は新富良野プリンスホテル。
富良野を訪れる時はいつもここに泊る。ホテル
内には、ドラマ撮影時のパネル写真が展示され
ていたり、北の国からの音楽流れていたりして、
まさに『北の国から』ワールドと言う感じ。連ドラ版
の時はまだなかったホテルだが、(連ドラでは
富良野プリンスホテルが登場している。ちなみに
蛍のきつねに餌付けしているシーンの撮影は
ホテルの裏庭で行ったそうだ。)
その後放送された、特番編では何度も登場している。雪子おばさんが勤めていた
ニングルテラスは、このホテルの敷地内にある。
(写真右上は純と蛍が通っていた分校)

完走パーティーは、ホテル内で行った。本当は富良野の市内に繰り出したかったが
疲れていたし、飲酒運転はいけないので、ホテル内で済ませた。前日のこともあり
多少の不安はあったがさすがプリンスホテル。あれが無い、これが無いなんて事は
なかった。食事中の話題は、主に24時間リレーの事。この北海道遠征が終わると
次の大きな目標は富士北麓24時間リレーだった。そういえばこの日、東京では、
立川の昭和記念公園でデュアスロンと10kmが行われていたが、どうだったのかな?
ちょっとだけ気になった。

その後は、ニングルテラスを見学して、北の国からのビデオを見ながら就寝。
明日は朝から手作りバター教室が予定されている。楽しみだ。最終日、天気が良く
なってくれることを祈る。

翌日へ続く


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