我慢の前半 −アラモアナ〜カピオラニ公園〜ダイヤモンドヘッド−

 3マイル地点を過ぎ、ピーコイストリートへ右折すると街灯がなくなり、暗い道となる。
また路面の舗装状況もあまり良くなく、所々凹凸があり足を取られる。足元に注意して走ら
なければ、と思った瞬間、コース右前方を走っていたランナーが転倒した。これは危険。
コース両サイドは、路面が傾いているうえアスファルトがはがれている部分などもあるので
コース中央へ移動する事にした。ここで転倒し、足でもくじいたら終わってしまう。
幸い転倒したランナーはすぐに起きあがり走り出したので、大した事はなかったようだ。
体調は良い。気持ち良く走れているので少しペースを上げたい気持ちがあるのだが、
暗がりで視界が悪いのと、予想以上の暑さを感じていた為に我慢する。


K枝
肩に、自分の汗がぽたぽた落ちているのに気が付いた。やっぱり体温調節がうまくできて
ないのかもと不安になった。熱中症とか脱水症状にはなりたくなかったので、しっかり水分を
取ろうと思った。荷物になるけど、ウエストポーチに袋状タイプのアクエリアスを1/3ぐらい
の量にしていれておいたので、すこし飲んだ。次の給水場までのつなぎに。。。


スタート地点だったアラモアナ公園前の通りに出てくると道幅が大きく広がり、街灯も
増えてくる。割と視界は良い。スタート地点で応援していた人達も多く、大きな歓声も
上がっている。日本からのツアーで幟を持って応援している人達も数多く見うけられる。
ランナーズ、セントラルフィットネス、エグザスなどはかなり多くの幟を掲げて応援して
いた。残念ながらチームぴあの応援は無かったが、よそのチームの応援でも自分が応援
されていると思って走れば気持ち良いもんだ。ペースは依然として1km6分〜6分30秒
10kmまではこのままでいいかなと思い始めた。競馬用語で言えば『折り合いがついた』
という感じかな。このアラモアナブルバードからカラカウアアベニューは、序盤で体力も
あり、またクリスマスイルミネーションも綺麗で、ホテルやショッピングモールが建ち並ぶ
華やかな場所なので、走っていて非常に気持ちが良い。また応援も多いのでちょっと
気を許すとついついペースアップしてしまいがちな場所だが、我慢!我慢!


K枝
アラモアナ公園前に出てくると道が広くなるせいかふっと視野が広がった。そこには、
応援してくれる人がたくさんいた。ここまでは、ころばないようにと下ばかり見て走っていたが、
顔をあげて、応援する人を観察しながら走ってみた。でも、ぴあの応援隊は
いないようだった。ちょっとがっかり。なぜか応援されると走るペースが少しあがってしまう。


カラカウアアベニューのシェラトンモアナサーフライダーを過ぎると、右側にワイキキ
ビーチが見えてくる。去年は工事中の場所が多かったが、今年はリニューアルされ
非常に綺麗な海岸沿いの遊歩道が続く。それまでの高層ビル郡から抜け出たせいか、
涼しい風が海から吹いてきた。走っていることなど忘れてしまいそうなくらい気持ちが良い。
裏をかえせば、その程度のペースでしか走っていないということにもなるが...
コースはカラカウアアベニューからカピオラニ公園を通り、モンサラットアベニューへと
移る。そして10km地点を迎えた。タイムは1時間2分(手持ち時計なのでネット、実際は
1時間7分11秒−グロス−)ここまでのペースは1km 6分強。抑えて走っていたわりには
上出来。ちなみに我らが間寛平リーダは、10km地点を55分53秒(グロス)で通過してい
た。さすが!!

K枝
ワイキキビーチが見えて来たとき、スタート前にトイレに行きそこなったことを思い出した。
今年は、ビーチの工事が終わりきれいになったと現地ツアー会社の人が話していたので、
きっとトイレもきれいかもしれない。せっかくいいリズムで走っているのに止まるとなんか影響
が出るのかなあと少し戸惑ったが、おもいきって、ビーチ沿いのトイレにはいった。
ラッキー、わりと空いていた。おもしろいもので、誰かがまがると連鎖反応みたいに同じ行動を
したくなるようで、私の後ろにはあっという間に列ができていた。T.Kとはこのあたりで大きく差 
がついたのかな?

モンサラットアベニューはカピオラニ公園に面していて、両側に街路樹が立ち並び、日中
は木陰が出来、また海からの風が吹き抜けるので非常に心地良い通りだが、夜明け前の
通りとしてはちょっと不気味? といってもこれだけ大勢のランナーがいたらそんな事も
無いが...この辺りに来ると、早くも歩き出すランナーやトイレに駈け込むランナーが
現れ始める。私は大丈夫。スタート前にトイレも済ませたし、ペースも抑えてきた。
マラソンはまだまだこれから。慌てず、焦らず、落ちついて、と自分に呼掛ける。
コースはモンサラットアベニューからパキアベニューへと場所をかえ、最初の難関、ダイヤ
モンドヘッドの坂を迎える。と言っても往きは緩やかな上り坂なのでそれほど厳しくは
無いが、もともと道幅が狭いうえに対面通行となるのでコースは非常に狭くなる。上り坂と
いうこともあり、ペースは自然と落ちてくる。去年はここでセンターライン沿いを無理矢理走り
ぬけ、あとで足にダメージが来た。(と思っている)今年は10kmの通過タイムが思ったよりも
良かったので流れに合わせて坂をのぼる。このペースなら上り坂でも楽だ。体力は温存
できそうだ。右手には海が見えてきた。まだ太陽は昇っていないが、海と空の境目が赤く
なりはじめている。去年は雨だったので見ることのできなかった光景だ。
しばらくすると、前方から車椅子の先頭集団が凄い勢いで坂を下ってきた。その迫力に
圧倒される。ランナーからも大声援があがった。一緒になって自分も声を張り上げる。
そしてダイヤモンドヘッドの坂を上り終えた。辺りは少しづつ明るさを増している。
まだ夜明けというには程遠いが、路面がはっきりと見えるようになってきた。
さあここからが勝負だ!!


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