ゴールの向こうに...

ホテルのベッドで目が覚めたのは、午後3時くらい。身体全体の疲労に苦しみながらでは
あったが良く寝た。でも起き上がるのにひと苦労。起きあがってから歩き出すのにふた苦
労。それでも動き出すと意外と身体は動くもので、去年のように何かに掴まらなければ、
という状態ではなかった。お腹が空いていたので、朝食用に買っていたパンに日本から
持参した蜂蜜を塗って食べた。他にも色々食べたような気がするのだが、覚えていない。
その後、着替えを済ませて完走パーティーの会場へ足を運ぶ。DFSの無料送迎トロリーに
乗ってDFSまで行こうと思い、ホテルのロビーを出て、バスを待っていたら一人の女性に
声を掛けられた。『DFSまででしたら、タクシー呼びましょうか? 無料で行けますよ。』
そう、DFSまでならタクシーが無料送迎してくれる。これは知っていた。タクシーの運転手
はDFSにお客さんを乗せて行くと、お客から料金を貰うのではなくDFSから料金を貰うと
いうシステムになっているのだ。この女性はタクシー運転手の奥さんでタクシー運転手の
見習中らしい。旦那さんは隣のホテルから私達の前へあっと言う間に現れた。まあ無料と
は言えチップくらいは払わないといけないが、いつ来るか分からないトロリーを待つより
はずっといい。それからこの夫婦の見事な連携プレーに拍手を送りたい気持ちになった。
このあと2日間続けて、このタクシー運転手のお世話になった。(何故か私達がDFSへ行こ
うとホテルのロビーへ降りていくとこの運転手が待っていて、『DFS行きましょうか?』と
声を掛けてくる。)ちなみに運転手はアメリカ人、奥さんは日本人。楽しい出会いだった。

K枝
少しだけベットでうとうとするつもりだったが、すっかり爆睡してしまった。ホテルにもどって
きた時は、暑かったせいか少し頭痛がしたけれど、目が覚めたときはすっきり治っていた。
目が覚めてもいきなり動くのがこわかったので、寝転がったまま片足づつ動かしてみた。
まず足首をまわみる。大丈夫動いた。次にひざをまげてみる。痛くはなかった。
そしてもも。ちょっとはりがあるけど動いた。自信をもって起き上がって歩いてみた。
なーんだあるけるじゃん!と思って、椅子に座ろうとした時、かなりあせった。
あまりにひどくて笑ってしまうぐらいももの筋肉がずたずたで椅子にすわることや
トイレの便座にすわること、下りの階段、下りの坂道でスムーズに足が動かなかった。
足が動かないだけではなく、黙ってその痛さに耐えることができず、「痛たたたた!」と
さけんでしまうのだった。おばさん臭くてそんな自分がなさけなかった。それでも一年前 
よりは、ずっとましだった。なにしろ今年は、すました顔して平らな道を歩いている分には、
誰にも筋肉痛だなんて悟られないぐらいだから。そうして、なるべく平らな道を選んで歩く
ことをこころがけ、私達は完走パーティーの会場へ向かった。


完走パーティーは去年同様、賑やかな雰囲気で行われた。チームぴあ内の表彰式や
ゲームなどで一喜一憂し、寛平ちゃん、FUJIWARA、$10のトークで大いに盛りあがっ
た。参加者それぞれがお互いの健闘を称え合う。チームで参加すると、こうゆうところが
楽しい。この感動や苦労ってのは実際に走ったものにしか分からないんだろうな...
レベルの違いはあるにせよ、みんなそれなりの苦しみを味わって感動のゴールを迎える。
この瞬間の為に頑張ってきたんだもんね。それから待ちに待ったビールを口にした。
去年に比べて今年の禁酒はきつかった。練習の密度が濃かったってのもあるだろうし、
ホノルルマラソンを迎えるまでの時間が非常に長く感じたからかもしれない。
久しぶりに飲んだビールは良く冷えていて美味しかった。心の底から満足できる内容で
最高の結果を残してのビールは言葉では言い表せないほど美味かった。これ以上何を
書いてもこの味は表現できないのでこのくらいにしておく。ちなみにこのパーティーの帰り
に缶ビール半ダースを買い、ホテルの冷蔵庫に並べておき、滞在中毎日飲みつづけた。
こういう時、アメリカってビールが安くていいよね。

K枝
パーティー会場についたら、まずはお食事。マラソンの後は、食べても食べてもお腹が 
すくもので、私にしては、短い時間にたくさんの量をぺろりと食べてしまった。
そういう私の目の前で、T.Kはほんとにうれしそうにビールを飲んでいたのが忘れられない。
おなかいっぱいになったあとに始まったパーティーでは、寛平ちゃんや吉本の若手の人達 
があまりにおもしろくてなみだが出るほど笑いこけてしまった。
残念ながらなんにも賞品はゲットできなかったが、無事完走し、チームぴあの人たちと 
その喜びをわかちあえたことをほんとによかったと思った。


完走パーティーの終わりには恒例のスライド写真が映し出され、寛平ちゃんのヒットソン
グ?『Run Run Run』が流される。暗闇のなかで行われたエイエイオー。スタート地点で
笑顔を浮かべているチームぴあのメンバー達。夜明け間近の力走場面や苦しさに顔をゆが
めているランナー。走る事ができず足を引きずって歩いているのに笑顔を浮かべている姿
やチームぴあのランナーの到着を首を長くして待っているポイント応援隊。今日あった事
なのに遠い昔の出来事のように感じられる。苦しくてどうにもならない状態で見せる笑顔
っていうのには、本当に感動させられるものがある。人間どんなに苦しくても笑う事がで
きるんだ。そして笑ってしまうと結構心にゆとりができたりする。『何を深刻に悩んでいる
んだ。まだ笑える余裕があるじゃないか』って...マラソンていうのは単純なようで、奥
が深い。シンプルな動きしかしないから色々考えるのかな? 毎回新たな発見がある。
完走パーティーの終わりに司会者が話していた。『マラソンを人生に例える事は多い。
マラソンも人生も自分一人で走っている、自分一人で生きていると思いがちだが、実は
そうではなく、周りの人の助けがあるから、走ることができるのだし、生きて行く事ができる
のだ。マラソンも応援してくれる人がいて、一緒に苦しみを分かち合い走るランナーがいる
からこそ完走できるんだ!!』今回のホノルルマラソンではこの言葉が胸に響いた。
自分一人で練習してこの結果を残せたわけではない。サムズ・アップのメンバーみんなの
頑張りに刺激されたからこそ練習を続けてこれたのだと思うし、みんなが応援してくれていると
思うからこそ踏ん張る事ができた。黄色いぴあの帽子を見つけると何故か力が沸いてきたし、
ぴあの幟の前でしぼり出す笑顔(カラ元気?)が動かない身体を動かした。楽器を演奏し
ている人達,踊りを踊って盛り上げてくれる人達,給水所のボランティア,カメラマン,
ランナーの到着を待ちつづけてくれたサンタさん,テントでおにぎりを握りつづけていた
おにいさんや朝早くからトン汁を作ってくれたスタッフの方々、みんなに支えられて走り
つづける事ができたんだ。

K枝
完走パーティーの終わりは、一年前と同じマラソン中に盗み撮り?されたスライドだった。
つらかったことや感動したことが再び込み上げて来て、もう涙ががまんできなかった。
会場の証明が暗くてほんとによかったと思った。なぜか今回は、わたしが2回ぐらい 
登場してしまった。それもほんとにぼろぼろの姿で走っていたり手を振っているところ 
だった。あまりにみにくくって顔を手でおおいたくなるぐらいだった。会場が暗くて再び感謝。

さあ、これからどうしよう?
ホノルルマラソンという2000年のメインイベントが終わってしまった。同時に1999年の
ホノルルマラソンにも幕を引くことができた。自分自身こんなに夢中になったイベントは、
久しぶりだし、ここ数週間は、気がつくとホノルルマラソンのことばかりを考えていた。
それが日常生活の中の刺激になっていて、つねに心地良い緊張感があった。次の目標は? 
11月頃、今度のホノルルマラソンで納得のいく走りができたらマラソンを辞め様と思った
事があった。1度きりのつもりで挑戦したホノルルマラソンだったから、その悔しさを晴ら
す事が出きればもうそれでいいかなーって、練習に夢中になり過ぎてしんどい時期だった。
ゴール直前には、これで終わりかなー、もうここへは戻ってこないのかなーって思ったら
涙がでてきた。ホノルルマラソンが終わり、完走パーティーが終わって、心の中にぽっか
りと穴が空いてしまった。何もする気が起きない。記録を見れば、国内の好条件の大会で
サブフォー狙いってことになるんだけど今は考えたくない気分。とりあえず帰国したら
神宮外苑ロードレースが待っているけど、今は記録というよりはファンランって感じ?
ホノルルマラソンが終わったけど、走るのを辞めようという気持ちは無くなった。辞める
理由も見つからないし、これからも続けていこうと思う。でもこの1年間持ちつづけてき
た気持ちを再び取り戻せるのかはちょっと不安。

K枝
これからどうする?
まだ、なんにも考えたくなかった。とりあえず年内は、休養。疲れがいえたころ新しい 
目標をもつことができるような気がしている。たぶんマラソンはやめないと思う。
ホノルルマラソンで味わえる不思議な魅力にはまってしまったから。
とりあえず、サムズアップのチームキャラと同じで地道に少しづつ亀のように走って 
いこうとは思っている。


ホノルルマラソン翌日も朝からボーっとしていた。午前中はワイキキの砂浜で海を眺めな
がらボーっと。お昼はえぞ菊というラーメン屋でラーメンと餃子を食べた。依然として、
気持ちに張りが無い。折角ハワイに来ているんだからもっと楽しめばと思うのだが、身体
も心も動かない。午後からランニングルームというランニングショップへ行った。
目的は2月にハワイで開催されるグレート・アロハ・ランという大会のエントリーを行う
為。この大会はグレート・アロハ・ランアンドウォークと呼ばれるくらいでウォーキング
で参加する人もかなり多く、ファンラン的な意味合いの強い大会らしい。ホノルルマラソ
ンでは記録にこだわり一緒に走ることはしなかったので、この大会では思いっきり楽しん
で二人揃ってゴールしようと心に決めている。ついでにこの店でなんとなくシューズを見
ていたら急に欲しくなった。次の瞬間には、買おうと心に決めていた。店員とマラソンの
話しやシューズの選び方、グレート・アロハ・ランの話しをしていたら嬉しくなってきた。
しばらくは走ろうという気が起きてこないかもしれないが、マラソンを辞める事はできな
いようだ。記録を追いかけ夢中になって練習するのもよいが、走りたくなったら走るって
いうのもいいかもしれない。それから、ホノルルマラソンの結果をみてびっくり。あの間
寛平リーダとのタイム差が僅か4分21秒だったのだ。次、いつホノルルマラソンに出場で
きるかは分からないが、今度の目標は、寛平ちゃんだ。一度でいいから寛平ちゃんと一緒
に走りたい。これは、やりがいのある目標だ。いつか必ず...(もうー走る気になっている? 
単純だナ)心の張りを取り戻す切っ掛けがランニングショップってことは、本当に走る事
が好きになっちゃったのかな? 学生時代は校内マラソン大会でズルして近道するほど、
走るのが嫌いだったのに...

 このあと、カピオラニ公園のナイキショップに行った。この
 ナイキショップはレース翌日になると値段が下がり始める。
 レース当日までは、$20で売っていたTシャツがレース翌日
 になると$12になる。さらに翌々日になると$9に下がる。
 サイズは少なくなって行くが、これはお買い得!!
 それにしても周りはフィニッシャーTシャツを着ている人だらけ。
 右を見ても、左を見てもオレンジ色のTシャツが目に付く。
 日本人も外人もみんな誇らしげにフィニッシャーTシャツを着て、
 ある人は闊歩し、ある人は、足を引きづりながらロボットのように
 歩いている。去年は一度も袖を通さなかったフィニッシャーTシャツ
 を着てみた。なんかホノルルマラソンを走ったんだという共通
 の意識が生まれ嬉しかった。そしてアルバム用の記念撮影、
 首から完走メダルを下げ、完走証とゼッケンを持って。
 それからナイキショップの前では浅井えり子さんとも一緒に写った
 
この日の夕食はお好み焼き屋"千房"何もハワイに行ってまで
という気もするがなんとなくソース味のものが食べたかった。
味は日本と同じ。隣に座っていた関西弁のおばちゃんに声を
掛けられた。『ホノルルマラソン出たんですか?』私達の
会話を聞いていたのかも。。。『はい。二人とも出ました。』
そのおばちゃん2人組は、ゴール地点でホノルルマラソンを
観戦していて、10時間を過ぎ一部撤去作業が始まっている
中ゴールへ辿りつくランナー達をみて非常に感動したらしい。
私の走りとは言わないが私達のボロボロになっても走りぬく
(歩きぬく)、その姿をみて感動し、自分も始めてみようかと
思う人がいるって事が妙に嬉しかった。それから走っていない
人には、フィニッシャーTシャツを着ている完走者たちが
羨ましいそうだ。完走した人達は何気なく着ているのだろうが
それだけフィニッシャーTシャツには重みがあるということなのだろうか? 
そう言われてみるとオリンピックのメダルとかって一般大衆はすごく羨ましく思うけど、
メダルを取った本人は意外と雑に扱ってたりするという話しを聞く。これと同じかな?
でも、完走した人はみんな輝いて見えた、とか フィニッシャーTシャツが欲しいなんて
話しを聞くと再起に向けての良い刺激になる。また頑張ろう!!

K枝                                 
すっかり、体がハワイペースになっていた。筋肉痛で早歩きができないのもあったが、
とにかくのんびりくつろいだ。浜辺でボーッとしたり、のんびりショッピングしたり。
いそぐという言葉を忘れていた。何年ぶりだろうこんなにのんびりしたのは...
完走のご褒美だと思い、この時間を楽しむことにした。


ホノルル4日目、明日は朝早く発つ。この日も特に予定などなかったが、最後の夜くらい
はショーでも観ようということになり、ソサエティーオブセブンというコメディーのカク
テルショーを予約した。午前中はお土産を買い、午後からホノルル動物園へ。何を隠そう
私は動物好きで、ディズニーランドに行っても、ミッキーマウスよりも芝生の上にいる鴨
を見ているほうが好きなくらいだ。だから一度、ホノルル動物園に足を運んでみたかった
のだ。しかしお昼ということもあり、殆どの動物は昼寝状態。そりゃそうだ、1年中暑い
ハワイで過ごしているんだから、好き好んで暑い昼に動く必要はない。でもじっと動かな
い動物と今の自分の姿がダブって妙に親近感が沸いた。それから夕食を、去年の最終日と
同じ中華料理店"北京"で済ませて、カクテルショーへ。このソサエティーオブセブンと
いうショーは30年も続いているショーらしい。日本で言えばビジーフォーみたいな感じ
かな。エルビスプレスリーやサミーデイビスJr,フランクシナトラ,マイケルジャクソン
などのものまねで楽しませてくれる。観客との絡みもあったりして、とにかく面白かった。
英語は半分くらいしか分からなかったけど。お腹が痛くなるほど笑った。

こうして、笑いあり、涙ありのホノルルマラソンツアーが終了しました。
とにかく、無事、目標が達成できて良かった。いつになるかは分からないけど、また
ホノルルマラソンに出場する。その時は寛平ちゃんと肩を並べて走るんだ!!

このあとは、特別編(2月予定、グレート・アロハ・ラン)へと続きます。
長いレポートとなりましたが、最後までお付き合い頂き有難うございました。

それから日本に帰国して、挑んだ再起?第1戦"神宮外苑ロードレース"のご報告!!
はじめはファンランのつもりだったが、走り出してみたら思ったよりも身体が軽かった
ので調子に乗って飛ばしてみたら、2キロ付近で急に足にきてしまい失速。心も身体もま
だ、復活していなかったようです。しかし、第3ウェーブに出場したサムズ・アップメンバー
の熱い走りを見て、よし、21世紀も頑張るぞ!!という気持ちが少しだけ湧いてきました。
とりあえず、2001年の目標は、ハーフ2時間以内(谷川真理ハーフマラソン)、
フル4時間以内(荒川市民マラソン)を目指そうと思います。
練習は12月24日(クリスマスイブ)より再開中!!


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