第9話:うさ天使・初めての夜

作:佐倉くれあ
これはヘボン企画(4万ヒット記念)のリクです。
なぜこんなヘボヘボになったのか詳しくはこのページへ。


-From 1-


 夜だった。
 目の前にいるのは男とはいえ、男を対象に作られている人形だ。しかも八樹は、かなり長い間ご無沙汰だった。
 八樹はオリンピックグルーピーたちが嫌いだったし、八樹の顔は全世界的に知られている。それに、それほど他の人間とのそういう交渉を必要としていない。しかし、半屋は人間ではなく、八樹の持ち物だった。
「半屋君、服ぬいでくれるかな?」
「あ?」
 半屋は『なに言ってんだこのバカ』と言いたげな視線を向けてきた。もしかすると、もう少し直接的な言い方じゃないと通じないのだろうか。
「服、脱いで。それが君の仕事だろ」
「てめぇ、さっきわかんねぇって言ったじゃねぇか」
 どうも話が通じない。
「君の格好を見れば、君の仕事はわかるけど…」
 人形は人間と区別するために、一部分は動物の姿をしていなければならないという規則がある。
 男性向けの愛玩人形なら、うさぎの耳や猫の耳をつけていることが多いし、女性向けなら黒豹の尾をつけていたりする。
 半屋のように二種類ついているものは聞いたことがないが、それは前の持ち主の趣味なのだろう。
(前の持ち主、ねぇ)
 前の持ち主は半屋をどう扱っていたのだろうか。八樹の見たことのある愛玩人形は、持ち主の欲望をすぐ察するだけが売りの既製品だけだった。しかし、どうも半屋は特殊なチューンナップがなされているらしく、八樹なりに露骨に言ったつもりなのだが、まったく察してくれない。
「半屋君、ベッドに行こう」
「さっきからなんだんだ、てめぇは。『世界の中心』に連れてけって言ってんだよ。さっさとしろ」
「もしかしたら『世界の中心』ってお店の名前? あのね、君は俺のものになったんだよ。そんなお店に行かせるわけにはいかないし、それにお店なんかに並べられたら、相当ひどい目に遭うよ?」
 半屋は特殊な店の違法オーダー品の可能性が高い、と八樹は見当をつけた。たぶんそこで限度を超えるような非人道的な扱いを受けて、ギリギリのところで逃げ出してきたのだろう。しかし、本来なら逃げ出すと同時に白紙に戻るはずの帰巣プログラムが、まだ働いているのだ。
(どうもそんな悲惨な扱いを受けたっぽい感じはしないんだけど…)
 半屋は意志の強さをうかがえる瞳で、不審そうに八樹を見ている。その存在自体に、八樹は珍しく劣情をそそられていたが、何をどうしたらいいのかは見当がつかなかった。

  ヘボヘボ満載!でございます。
  話の細かいところを決めていないこの話。
  実はこの夜にするかしないかもまだ未定(笑)
  つーか今回もこんな話になるとは書き始める
  まで思ってなかったです。うーんヘボン(笑)