第8話:センターオブジアースだうさ天使

作:佐倉くれあ
これはヘボン企画(4万ヒット記念)のリクです。
なぜこんなヘボヘボになったのか詳しくはこのページへ。


-From 1-


 そのカリフォルニアウィンディーはどちらかといえば失敗作だった。
 グレープフルーツの絞りかすがかなり入っているし、紅茶の味もない。
 でもなんとなくそれも悪くないかな、と思う。完璧なカリフォルニアウィンディーよりは半屋らしい気がする。
(半屋君らしいって………目の前にいるのは『人形』なのに、何考えてるんだろう、俺)
 今はまだ余裕があるが、この先はどうなるかわからない。人形なんかと遊んでいる余裕はないのだ。それに八樹は人形遊びをするような人種を嫌っていた。
(早く売らなきゃいけないよなぁ―――オークション調べたりするのってなんかちょっとめんどくさいかも)
 まだ来たばかりなのに、すでに半屋はこの家になじんでいた。それにこのカリフォルニアウィンディーもまぁ悪くはない。
「おい」
 半屋はぶっきらぼうに八樹を呼んだ。背中の羽がぱたぱたと小さく羽ばたいている。
「なに?」
「『世界の中心』ってどこだ?」
「え?」
 羽ばたきが大きくなった。どうも苛ついているようだ。
「えーと…上海か……NNY(ネオニューヨーク)かな、たぶん」
「じゃあそこにつれてけ」
「……なんで?」
「みりゃわかんだろ」
 見ればわかると言われても、八樹にはうさぎの耳が生えた天使型の人形が、ミニのウエディングドレスを着て姿勢悪くカリフォルニアウィンディーを飲んでいるようにしか見えない。
 これに何か意味があるのだろうか? 例えば、その格好は世界を牛耳っているマフィアの愛玩人形のユニフォームで、普通の人なら見ればわかるとか?  
「残念ながら俺にはわからない」
 この人形はかなりやっかいだ。面倒だし、売り先を探すのは後回しでもいいかな、と八樹は自分自身を納得させた。


  世界を牛耳っているマフィアですよ(笑)!
  この世界にはそんなもんがいるんですよ(笑)
  そしてラブも急展開なのです(笑)