第2話:はじめましてうさ天使

作:佐倉くれあ
これはヘボン企画(4万ヒット記念)のリクです。
なぜこんなヘボヘボになったのか詳しくはこのページへ。


-From 1-


つい先日まで八樹は栄光の中を歩んでいた。
 この栄光はずっと続いてゆくものだと思っていた。
 オリンピック、剣道の金メダリスト。
 その端麗な容姿も評判を呼び、八樹は世界中で読まれている雑誌のホログラビアをかざり、いまや立体テレビの中で八樹の姿を見ない日はないくらいだった。
 しかし―――
『独占告白! 私の竹刀にはワセリンが塗られていた!』
 ロシアの銀メダリストの手記は八樹への疑念を呼び―――身に覚えのない証拠までつきつけられた。
 好意の目が冷たく変わるのは早かった。
 八樹にとって剣道はすべてだったが、もう人々の前で剣道をする気にはなれなかった。 八樹は一人、地面を歩いていた。見上げた空には無数のチューブが走っている。
 歩いている方が人には会わない。そう思い歩き始めたのだが、チューブでわずかな距離のはずなのに歩くと果てしなく遠く感じた。
 そのとき、チューブの間を縫って何か白い物が落ちてきた。 

            ホログラビアとか立体テレビとか♪
            オリンピックでワセリンはないだろうとか♪
                ちょっと燃えてきましたね♪