第12話:プリティベイベー
作:
佐倉くれあ
これはヘボン企画(4万ヒット記念)のリクです。
なぜこんなヘボヘボになったのか詳しくは
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-From 1-
八樹は投げつけられた結婚指輪をしばらく見つめていた。
「さっさとはめろ」
半屋がそっぽを向いたまま八樹に命令する。たぶん、非常に不本意だという意思表示なのだろう。
八樹はその指輪と半屋を交互に眺めながら、
(…半屋君ってかなりかわいいよね)
などと考えていた。
半屋はかわいい。
そうだ、いままで気づいていなかったけれど、どうも自分は半屋を相当気に入っているらしい。
そうでなければ、高く売れるからって人形なんて拾わないし、稽古場にも連れて行かないし、自分の家にもつれてこないし………襲ったりもしない。
(そうか、気に入ってたのか)
だからこんな変な気持ちになるのだ。
激情に駆られて気に入った相手を襲ってしまい、その後悔もできないうちに当の相手からプロポーズされるという急激な展開に八樹はまったくついていけていなかった。そもそも自分が半屋をかなり気に入っているという事実にさえ、普段何かを気に入ることが少なすぎるせいで、あまりついてゆけていないのだ。
見ると半屋が苛ついている。八樹は
(結婚………まぁいいかそれも)
と自分を納得させて、その指輪をはめた。
「これで半屋君と結婚したことになるのかな」
「決まってんだろ」
半屋はずっとそっぽを向いている。
「これからよろしく」
八樹はほほえんだ。
その頃。
「若。八樹宗長の件ですが…」
ネオ東京を見下ろすオーバースカイビルの最上階にサングラスをかけた一人の男が現れた。
「どうした。自殺でもしたのか」
そう言って若と呼ばれた男は忍び笑いを漏らした。
「いえ、それが…」
「なんだ。まだあの男を擁護するマスコミがあるのか。徹底的につぶせと言ったはずだろう」
「いえ…それが、人形遊びにふけっているようでして」
「人形?」
「はい」
そう言ってサングラスの男は一枚のホロを出した。
「なんだこの派手な人形は」
ウサギの耳に天使型の羽にミニのウエディングドレス―――制作者の趣味を疑うような人形だが、高級品だとすぐにわかる人形だった。
「しかもメールタイプか。そういう趣味だったとはな」
「いかがいたしましょう」
「決まっている。さらってこい。あの男のものはすべて取り上げるのだ。すべて、な」
若と呼ばれた男は眼下に見えるネオ東京の夜景を見ながら、唇を歪めた。
オリキャラ登場!ですが、これは以前予告して
いた『××の××』です。
『若』にはブランデーグラスでももってもらおう
と思いましたが、さすがにそれはあきらめました(笑)
あと半屋がかわいいと断言されてしまうのもへぼ
んならでは(笑)
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