食事が終わり、ゴンドラ乗り場へと向かう。
ゆっくりと運河を進むゴンドラでは、陽気なゴンドリエが言葉たくみにディズニーシーの風景を解説してくれた。
裕太はゴンドリエの解説があるたびに、きょろきょろとそちらの方を向いている。
水面に光がキラキラと反射し、頬に感じる風も心地よい。
「写真撮ろうか?」
ゴンドリエが教えてくれたフォトスポットで周助はカメラを出した。
返事を待たずにカメラを向けると、裕太がカメラに向けて少しだけ笑った。
(……裕太が笑ってる)
写真用に作った笑顔だけど、裕太が自分に向けて笑ってくれたのは何年ぶりだろう。
「早くしろよ」
「ごめん」
裕太の表情に見とれていたらしい。周助はあわててシャッターを切った。
「兄貴も撮ってやるよ」
「僕はいいよ」
「でも兄貴の写真って、さっき買ったインディのやつしかないじゃん。ほら、カメラ貸せよ」
「じゃあ撮ってもらおうかな」
裕太に写真を撮ってもらい、カメラを受け取る。その時、前に座っていた老婦人に声をかけられた。
「写真とりましょうか?」
夫婦で来ているらしい老婦人がにこにことこちらを見ていた。
「おねがいします」
そういえば二人で撮ってもらうなんて、まるで考えていなかった。
「兄弟なのかしら。仲がいいわね」
老婦人はにこにことしたままそう言った。
「ええ。兄弟です」
「うちの子供たちなんて、あなた達ぐらいのときは毎日喧嘩ばかりしていて大変だったのよ。仲がよくてうらやましいわ」
端から見ると自分たちは仲がよく見えるのだろうか。
横を見ると、裕太が複雑な顔をしていた。でもその頬はわずかに赤くなっている。
「はい。二人とも笑って」
そう言って老婦人はシャッターを切った。今の写真に自分たちはどう写っているのだろう。仲がよい兄弟のように写っているのだろうか。周助は早くその写真を見たいと思った。
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ゴンドラはいいですよね!
景色はいいし、ぼけーっと乗るには最高の乗り物です。
あたりのゴンドリエさんに当たると盛り上がるので楽しいです。
ただあそこはかなり待ち時間が厳しいので(とても狭くてななかなか進まない)、待ち時間があるときはスチームライン(定期船)の方がおすすめです。
待ち時間がなくて、天候のいいときは本当におすすめですよ〜。
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