周助の案内に従って入ったその建物の中も見応えがあった。折り重なる骸骨、そしてインディジョーンズの研究品。人の流れが速いため、その凝った装飾を足早に通り抜けなくてはならないのがもったいないと思った。
そして順番を待って大きなジープに乗り込む。
少し進むと突然大きな透明ドクロが怒り出し、ジープはものすごい勢いで走り出した。
振り落とされるんじゃないかという勢いでジープが走り出す。どこをどうやって動くのかもわからないし、中は暗いし、骸骨とかがたくさんいて妙に怖い。
どうやら透明ドクロを怒らせてしまって、遺跡の中を命からがら逃げ出すというストーリーになっているようだ。
(げっ…落ちる!)
すごい遠心力がかかったり、がくがくとしたりで、ジープから落ちそうで怖い。
そうこうしている間に、暗闇の中から大きな岩が迫ってくる―――のかと思ったら、いきなりジープが大きく落下した。
(………っ!)
裕太は恐怖で引きつった。
面白かった。面白かったんだけれど、すごく怖かった。
「どうだった?」
ジープから降りて歩き出すと、周助がすぐにそう訊いてきた。
「面白かった」
「よかった。でも少し怖かっただろう?」
「怖くねぇよ」
「本当? 最後に落ちたとき顔を伏せたりしてなかった?」
「してねぇよ」
………本当はしたかもしれない。いきなりだったから何が起こっているのかまったくわからなかったのだ。
「そう?」
そんなことを言いながら通路を歩くと、モニターが一杯ある部屋に出た。
(げっ………)
どうやら、どこかで写真を撮られていたらしい。
どこか………ではなくて、明らかに最後に落ちたあそこだった。
ピカピカと枠が緑色に光っているモニターを見ると、ニコニコと横を見ている周助と、周助の横にある頭―――顔を伏せている自分だ―――が写っていた。
「この写真買おうか?」
「いらねぇよ!」
「裕太の顔が写ってないのは残念だけど、せっかく初めての記念だから」
「やめろ」
「母さん達も喜ぶと思うよ」
「やめろって」
「もう二度と撮れない写真なんだから、もったいないよね」
周助はさっさとそこにいたキャストに話して写真を予約した。
予約されてしまってはどうにもならない。それに家族からもらったチケットなのだから、一枚ぐらいはこういう写真もいるだろう。裕太はそう思ってあきらめることにした。
(何もあんな写真じゃなくてもなぁ)
家に帰ったら姉にからかわれるのが目に見えている。
「次に乗るときは絶対バーから手を放す」
「いいね。その写真も買おうか」
「写真はいらねえ!」
そう怒鳴ると、周助は楽しそうに笑った。
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インディジョーンズは酔っぱらって乗るととてもいい非現実感を味わえます(隣のレストランでビールを出してます。インディジョーンズのラジオも流れてますよ)
あと、『若さの泉』(これを探していることになってる)は正規のルートの方にありますよん。
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