ディズニーシーは裕太の思っていたのとは全然違った。確かにテレビや雑誌などで見たことがある景色なのだが、実際来てみると建物が重厚で迫力が違う。ディズニーランドも良くできたテーマパークだったが、でも建物がもう少し作り物めいていて隙みたいなものがあった。しかしディズニーシーにはそれがない。景色を美しく迫力のあるものにしようというこだわりと気合いのようなものを至る所で感じた。
兄に連れられて園内をゆっくりと走る電車に乗り、人気のアトラクション、インディ・ジョーンズ・アドベンチャーに向かった。
未来風のエリアの坂を下って曲がると、いきなり巨大な神殿のあるジャングルのような場所に出る。
「あそこに墜落しているのがインディジョーンズが乗っていたプロペラ機なんだって」
橋を渡りながら周助が壊れかけた古そうなプロペラ機を指さした。
「本物か?」
「どうだろうね。それより機体番号がちょっと面白いから見てごらん」
周助が指さしたところを見ると、そこには「C3PO」と書かれていた。
「………スターウォーズ?」
確かそれはスターウォーズに出てくるロボットの名前だったような気がする。
「みたいだよ。インディジョーンズの原作者がスターウォーズを作った人なんだってさ」
周助とこんな風に会話をするのはいつ以来だろう。
周助のことを認めることができるようになった後も、緊張したり距離感が掴めなかったりして、うまく話すことができなかった。
でも、非現実的なこの雰囲気のせいだろうか、今日はさほど緊張しないで話すことができる。
「へぇ。すげぇな」
「全部ネットの受け売りだけどね」
周助は一回しか行ったことがないというわりにとても詳しい。多分、今日のために色々調べてくれたのだ。昔から兄は裕太に優しかった。
プロペラ機の横を抜けて歩くと、中央アメリカの階段状ピラミッドのような巨大な建物の前に着く。
その建物を下から見上げるととても迫力があった。とんでもなく立派な建物なのに、このピラミッドの前で撮影している親子が一組いるだけで、他の人は素通りしていく。
「これもすげぇな………」
「ここで写真撮ってあげようか?」
「いい。ホントでかいし、すごいな」
「撮らせてよ」
ふと見ると兄は写真モードに入っていた。カメラを持って真剣な顔をしている。
「こんなとこで写真撮ったって仕方ねぇだろ」
周助は写真が趣味だが、風景写真や人物写真といった芸術的な写真を撮るタイプだ。
「記念写真を撮りたいだけだよ」
テーマパーク内のいかにもなフォトスポットで、一つしか違わない兄に写真を撮られるのはかなり恥ずかしい。
裕太はしばらくごねたが、一度写真モードに入ってしまった周助はなかなか手強い。
裕太も少しだけ記念写真を撮ってもらいたい気分だったので、仕方なくそこに立って写真を撮ってもらった。
「兄貴も撮ってやろうか?」
「いいよ。どうせ中で撮って貰えるしね」
「中?」
周助は笑っただけで、返事をせずに歩き出した。
次へ
C3POのプロペラ機は船からの方が見やすいですよ♪
ピラミッドの横はちょっとしたジャングルみたいになっていて、夏休みにはミッキー達が隠れてたりします(という設定で写真撮影会をしてたりします(笑))
人の少ない場所なので、ミッキーが客引きをしてたりすることもあっておもしろいです。
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