男の子 「あっ!」
えみる 「あっ、だ、大丈夫?!」
男の子 「うっ、・・・うぐっ、ひっく・・・。」
えみる 「な、泣いちゃダメりゅん。」
男の子 「うっ、・・・・・・え?」
えみる 「? どうしたりゅん?」
男の子 「・・・おねーちゃん、どこのひと??」
えみる 「え?」
男の子 「・・・いま、へんなしゃべりかたしてた。」
えみる 「あっ、ああ。これねー、おねーちゃんの口癖なんだぁ。」
男の子 「くちぐせ?」
えみる 「うん、つい言っちゃうしゃべり方のことだよ。」
男の子 「ふう〜ん。」
えみる 「それより、転んだトコロ、もう痛くないりゅん?」
男の子 「うん、もういたくなくなっちゃった。」
えみる 「よかったねぇ〜。」
男の子 「うんっ、おとこはかんたんにないちゃいけないって、おとうさんがゆってた!」
えみる 「そっかー、エライねぇ。」
男の子 「うんっ、えへへ。」
えみる 「えへへ。」
男の子 「ねぇ おねーちゃん。よかったらいっしょにあそばない?」
えみる 「うん、いいよ〜。何して遊ぶ?」
男の子 「うーんとねー。じゃあ きのぼり!」
えみる 「よーしっ、じゃあ お姉ちゃんが見ててあげるね。」
男の子 「うんっ!!」
男の子 「あれ、おねーちゃん、どうしたの?」
えみる 「うん・・・。」
男の子 「ねぇ、どうしたの?」
えみる 「・・・。」
男の子 「ひょっとして、もう おうちにかえるじかんなの?」
えみる 「うん、・・・どうやらそうみたいりゅん・・・。」
男の子 「えー、だめだよ、もっといっぱいあそんでよ!」
えみる 「うん。でも・・・ゴメンねぇ・・・。」
男の子 「・・・。」
えみる 「あっ、ホラ、『男の子は簡単に泣かない』って言ってたでしょ?」
男の子 「・・・・・・。」
えみる 「じゃあ、また今度きっと遊んであげるから、泣くのやめようね。」
男の子 「・・・っ、ぐすっ・・・。・・・ほんとう?」
えみる 「うん、約束りゅん。」
男の子 「じゃあ、・・・ゆびきりして!」
えみる 「うんっ!」
「「ゆーびきーりげんまん、ウソついたらはりせんぼんのーます!」」
男の子 「やくそくだよ!」
えみる 「うん、約束りゅん。きっといつかまた逢えるよ。」
男の子 「ゆびきりしたんだからね、ぜったいだよ!」
えみる 「分かってるりゅん。」
男の子 「じゃあ おねーちゃん、またねー!!」
えみる 「うんっ、ヒロくん、バイバイりゅーん!!」
男の子 「・・・。」
男の子 「・・・あれ?」
男の子 「ぼく、あのおねーちゃんに なまえゆったっけ?」
男の子 「・・・。」
男の子 「・・・・・・・・・。」
男の子 「ま、いいか。またこんどあそんでくれるってゆってたし。」
男の子 「・・・。」
男の子 「そういえば、おとうさんが『あさってはひっこしだ』ってゆってたなあ。」
男の子 「・・・。」
男の子 「ひっこしってなんだろう? いいことかなぁ・・・。たのしいことだといいなぁ・・・。」
男の子 「さあて、ぼくもおうちにかえんなくちゃ。あしたがたのしみだなぁ。」