95年11月の様子

 パナマの11月は、乾期への移り変わりの時期でほんの少し涼しい日が続きます。「寒いな〜。」と思って長袖の上着を着る日もありますが、温度計は26℃。この束の間の涼しさのあとには、うだるような暑さが待っています。

 そんなわけで、体は新潟の冬を忘れつつありますが、急な坂道を車で通るときなどつい、「雪が降ったら登れないぞ。」と降るはずのない雪の心配をしてしまいます。

 10月号では、侑理の目のけがで御心配をおかけしました。念のため2人の医師に診てもらいましたが、けがはすっかり治っているということでした。視力が悪いのは、近視のせいだから眼鏡が必要です。という診断で、喜ぶべきか、悲しむべきか...。

 パナマでぴったり合った眼鏡をつくることはたぶん無理でしょう、ということなのでとにかく部屋の照明を明るくしようと、たくさん電球を買いました。

  パナマの休日 

 11月はパナマのゴールデンウィークです。しかもパナマの学校は12月1日から3月末まで夏休み。もちろん宿題は一つもなし。勤勉な日本人としては「それでいいのか?」と言いたくなります。(うらやましいと おもうひともいるかな? )    

 3日……コロンビアからの独立の日

 4日……パナマの国旗を決めた日

 10日……独立雄叫びの日

 28日……スペインからの独立の日

  独立の日が2回あるのは、1821年にコロンビアの一部としてスペインから独立した日と、1903年にパナマ共和国としてコロンビアから独立した日があるからです。独立したといっても今はアメリカにパナマ運河と経済を握られているため、1999年12月31日のパナマ運河返還の日が本当の独立の日となるかもしれません。しかし、パナマに永住している日本人の方は、パナマ運河を返してもらったとたん問題が起こるだろう、と心配しています。ずっと他国に支配されてきた国はなかなか一人歩きができないのでしょう。そういえば11月に入りたびたびデモが起きていますが、大統領が自分の給料を2倍に増やすために教育費を減らしたり、たくさんの人をクビにしたりしたことが原因だそうで、パナマの将来は不安です。 

  日本人誘拐計画 

 「日本企業をねらった誘拐計画があるらしい。」と、大使館から緊急連絡がありました。再び夜は外出禁止になり、昼間でも一人で出歩かないようにと注意を受けました。 4年ほど前の日本人誘拐殺人事件を知っている人はとても怖がり、「ねらわれているのはどの企業か。」、「すでに誰か誘拐されたのでは?」と噂が飛びかいました。スクールバスにはガードマンと先生が毎日一緒に乗って送り迎えをしました。

 11月の末になって大使館から、「あの誘拐計画の話はデマだったらしい。」と連絡がありました。ほっと胸をなで下ろす企業の人達と違って、「日本人学校は貧乏だから、だーれもねらわないよな〜。」と言う主人でした。 

  赴任の手引き 

 11月は3連休が2度もあったにもかかわらず、主人は来年度に派遣されてくる新しい先生方のための『赴任の手引き』を作るので休日も欠かさず出勤でした。新しい先生方は『赴任の手引き』を見て、日本から持って行く物を用意するのですから責任重大です。 作っていて主人の一番困ったことは、今いる10人の先生方一人一人の考えが様々だということです。「持ってくる物など何にもいらない。」と言う人もいれば、「全部持ってきたほうがいい。」と言う人もいます。「パナマの服は着られない。」と言う人もいれば、「服はパナマで揃えたほうが得。」と言う人もいます。結局10人の意見をそのまま載せたら読む人は「どうすりゃいいの?!」になってしまうので、パナマにある物、ない物をそのまま載せることにしました。 

  パナマの自動車事情 

 パナマで売れている自動車は多い順から 

@トヨタ  (日本) 35% ……特にターセルとハイラックスサーフ は売れています。

Aヒュンダイ(韓国) 12% ……日本の車に似ています。

B日産   (日本) 10% ……日産車はメキシコ製のため、値段が安いのです。

Cフォード (アメリカ)   5% ……意外でした。

C三菱   (日本)  5% ……我が家は三菱スペースランナー(RVR)です。

Dその他(世界各国車)33% ……BMW.ベンツ、ボルボはお金持ち専用。 

 日本車は日本で買うより高いですが、とても良く売れています。故障しないことがその理由の1つでしょう。

 BMW の小型とトヨタのクレスタは、$30000 くらいです。同じ値段なら日本人はBMWの方を選びますが、パナマの人はクレスタの方を選ぶようです。

 他に、ソビエトのLADAというデザインが昔風の車もあります。値段が$4000〜7500くらいで、トヨタのターセル$12000 に比べバカ安です。日本で売ったらきっとブームになると主人は言うのですが。..?

 この2〜3年でものすごく車の数が増えたそうで、街中どこでも渋滞と割り込みと衝突事故が起こっています。傷だらけの車が目につきます。

 信号機はほとんどありません。あっても警官が電気を消して交通整理をしながらこずかいをかせぐ? のでかえって渋滞します。でも信号のない道に慣れてしまうと、日本の信号だらけの道にイライラだろうなーと思ってしまいます。

 さてガソリン代の話になりますが、1ガロンで$1.65、1リットルで$0.42くらい。日本の3分の1以下なのでとても安いのですが、車が1リットルで5キロも走らないので損なのか得なのか..? 

  クリーニング店 

 パナマは湿度が高いので、ビデオテープやカメラのレンズ、靴も服もバッグもみーんなかびが生えてしまいます。 かびが生えた服はクリーニングに出さねばなりません。

 クリーニング代は、スーツは上下で$5、ワンピースが$3.75くらいで日本の値段とあまり変わりません。パナマの物価から考えればとても高価です。わが家では、Yシャツはメイドがアイロンをかけてくれますし(せんが 3ぼんもついてるけどね)夏物はほとんど家で洗濯できるので、大切な服だけクリーニングに出しています。

 しかし、主人の1番高かったスーツは最初の1回でテカテカにされてしまいましたし、私の日本から送ってもらった絹のワンピースも1回で昇天してしまいましたのでクリーニングに出すには「だめにされても泣かないぞ!」という覚悟がいります。

 さて、クリーニング屋に行ったときのこと。

 パナマの人に1度に2つのことを頼むと1つしかできない(1どに3つたのんだら1つもできない) ということはよ〜く分かっていたのですが、急いでいたので、前に頼んでおいたスカートの受け取りと、主人のズボンの洗濯を同時に頼んでしまったのでした。( にほんなら あたりまえのことなんだけどね。)

「大丈夫かな〜。」と思っていると、やっぱりズボンの受け取り証をくれません。パナマでは受け取り証がないと絶対に服を返してくれないので「ズボンの受け取り証を忘れているよ。」としつこく言ってやっと受け取り証をもらいました。「ほんとにもう!」と思いつつ、家へ帰ろうとした時、店員が「奥さん、あなたはスカートを持って帰るのを忘れてるよ。」と、一言。「私の負けね。」とがっくりきました。

 その次に行った時、「今日は負けないぞ!」と主人のズボンの受け取りと、私のワンピースの洗濯を同時に頼んでみました。すると、今度はおつりをくれません。「おつりちょうだい!」としつこく言ってやっとおつりをもらいましたが、もう少しでおつりを損するところでした。やっぱりパナマでは1度に2つのことを頼むのは危険です。冒険をするのは間違いです。 

  テレビ 

 わが家はケーブルテレビの契約をしているのでテレビのチャンネルは40局ほどあり、アニメだけのチャンネル、料理だけのチャンネル、テレビショッピングだけ、映画、スポーツ、CNNニュース、DW(ドイツ )ニュースだけのチャンネルなど、1日中放送しているので、見たい番組にはこと欠きません。( これで スペインごが わかればね〜)

 日本のアニメ番組もスペイン語に吹き替えされて『ガッチャマン』『ジャングル大帝』『キャプテン翼』『キャンディ、キャンディ』『銀河鉄道999』などが放送されています。10年以上も前の番組ばかりですが、アメリカのアニメに比べたら100 倍くらい面白いので、日本のアニメは水準が高いと思います。それにひきかえ日本の映画で放送されたのは『影武者』だけ。ちょっとさみしい気がします。

 面白い番組は、ローラーブレードの大会や、エアロビクスの世界大会、ヘリコプターのレース、ハリウッドの映画スターのトークショー、など。日本の『5レンジャー』が、『パワーレンジャー』として人間まで吹き替えされて大人気。でも悪役は日本人のままなので納得がいかないなーと思いつつ、周りの景色が後楽園遊園地だったりするので時々見ています。 

  バスケス先生のお宅で

 11月4日(土)にバスケス先生のお宅へ3家族で遊びに行きました。バスケス先生は日本人学校で英語の講師をしているかたわら、スペイン語の家庭教師もしています。ご主人と一緒に広島大学に留学していたこともあり、日本語も上手です。お子さんは2人で、お姉さんは12歳で高校生。弟くんは9歳で小学5年生です。パナマはとび級制度があるのでお姉さんは4年分、弟くんは1年分先の勉強をしています。

 パナマ風のもてなし方は、日本のように用意しておいたごちそうを並べて食べて、はい終わり。ではなく、おしゃべりしながらお料理を作り、できあがるとみんなで食べ、また別の料理を作り、また食べ、また作っては食べる..が、1日中続くのでした。

 その日は約8時間、ずっと食べっぱなし、立ちっぱなし、しゃべりっぱなしで、へとへとに疲れ、家に帰るなりみんなで15時間も眠ってしまいました。

 パナマ人の体力と胃袋の大きさに感動した一日でした。  

  お弁当 

 主人と心理、侑理の3人は、ランチジャーでお昼ごはんを持って行きます。パナマのような暑い国で保温の必要はないように思えますが、やはりほかほかごはんの方がおいしいようです。

 前に日本人学校の子供たちにとったアンケートで、好きなお弁当のメニューは、

 @カレー

 Aハンバーガー

 Bスパゲッティー

でした。カレーもパゲッティーも前の日のお夕飯の温め直しでよいので、お母さん方にも人気です。ハンバーガーはマクドナルドで買って届けるだけなので簡単ですが、主婦業をなまけていると思われるので2か月に1回くらいしか使えないメニューです。

 日本の『ふりかけ』『いなりずし』は高級メニューでたまにしか使えません。コロッケは手作りしなくてはならないので時間がないと作りません。

 ある日のこと、カレー弁当を持たせたはずなのに、心理のお弁当がなくなり、1年生のみんなからお弁当を分けてもらったと担任の先生から連絡を受けました。

「さては、朝、駐車場でバスを待っているときに忘れたな。」と思ってあちこち探しましたが見つかりません。ランチジャーはパナマで買えないし、パナマのタッパー容器は密閉できないものばかりです。はしとはし箱だって手に入りません。

 がっかりして、心理に「どうしてそんなにわすれんぼなんだろうね。」と文句を言っていると学校の主人から電話がありました。

 「心理のお弁当、バスの中にあったぞ。」

 「あーよかった!ほんとに心理はわすれんぼなんだから。」

 「お前の子だからな。」

 「?」

 「お前、おれのカレー弁当にカレーをかけるの忘れてたぞ。」

 

 NOTICIAS   

11月3日(金)コロンビアからの独立の日 

 主人が他の先生に連れられ初めて会員制のリゾートクラブ「パナマクラブ」に行きました。超高級の施設にお金持ちが集まってゴルフやプールを楽しんでいます。ちなみに会費は年会費$1500、月$150 です。

11月4日(土)ディア・デ・ラ・バンデーラ(国旗の日)

 バスケス先生のお宅へ行きました。

11月10日(金)独立雄叫びの日

11月12日(日)

 主人が3J会ゴルフコンペに参加しました。しかも今回は幹事です。日本大使も初参加するというので参加人数も急増しました。失礼のないようにと緊張していましたが、当日になって大使は急に欠席になりました。理由は前の日にゴルフの練習をしすぎて腰が痛かったからだという確かな筋からの情報です?

 主人の成績はグロス95で、2位になりました。

 賞品は『金の蛙』のキーホルダーでした。

11月19日(日)

 全員寝起きスッキリだったので、年賀状に印刷する写真を撮りに行きました。アメリカ橋がバックに入るアマドールへ行きましたが、天気が良すぎて目がくしゃくしゃでした。

11月22日(水)

 6年生が2泊3日の修学旅行に出発しました。行き先のチリキは、夏に家族旅行を計画していたのにデング熱の流行で行けなくなってしまった所です。学校からスクールバスで8時間かけて行きます。児童は3人、大人は担任・校長・T先生・運転手2人・ガードマン3人の計8人です。

11月24日(金) 

 6年生が無事に修学旅行から帰ってきました。お土産はオレンジ100個でした。1つ6¢なのでたった$6です。

11月25日(土)

 今年度初めてパナマの小中学校とのサッカーの試合がありました。日本人学校は今まで1度も勝ったことがなく、今回は絶対勝とうということで1・2年生は出さないことにしました。ところが相手校はどう数えても20人近くいます。その事で抗議しても誰もコートから出ようとしません。黒人のコーチが怒鳴ると、やっと人数が合いました。結果は0対0の引き分け。子供たちは勝てなかったと悔しがっていましたが、先生方は負けなかったと喜んでいました。 

 教員夫人の会(セニョーラ 会)がありました。私が幹事だったのでレストランの予約をするのに四苦八苦。メニューを決めるのに3回もそのレストランに食事に行きました。

11月28日(火)スペインからの独立の日

 クリスマスツリーを買いました。2mくらいのツリーで$60です。本当の木も売っていますが$15〜$50ほどで天井まで届くようなツリーが買えます。

 わが家では、クリスチャンの国で仏教徒がツリーを買うのも気が引けて、小さい物を買いました。

 12月に向かい、どんどん治安が悪くなっていきます。クリスマス、お正月にプレゼントを買ったり、ごちそうを食べたりしたいのは、世界中どこも同じです。しかし、パナマでは50% の国民が貧困に苦しみ、国連の最新報告書によれば富の分配がもっとも偏る4つの国の1つであるということです。手っとり早く、強盗をしてお金を得ようとするわけです。T先生のアパートの上階に若い女性が空き巣に入り捕まりました。火炎バーナーでドアの鉄格子を切ろうとしていたそうです。Y先生の奥さまは、買い物の途中、捕まった銀行強盗を見たそうです。この治安の悪さは2月のカーニバルの後まで続くそうなので、私たちも気をつけたいと思います。