聖書のあらまし


聖書は勿論キリスト教の聖典として知られていますが、ほかにユダヤ教(旧約聖書)、イスラム教も聖典としています。

聖書は最も世界中で多く頒布(約40億冊)されている書物です。最も多くの人に影響を与え、最も優れた書物としても知られています。

聖書は大きく分けて二つの部分に分けることが出来ます。イエス以前の書である旧約聖書とイエス以後の書である新約聖書です。

旧約聖書は、創世記と呼ばれる、宇宙、地球、人類の創造の記述から始まっています。その中には、有名なアダムとイブの物語、ノアの洪水、バベルの塔、イスラエルの祖であるアブラハムの物語などがあります。筆者はモーセで書かれたのは紀元前16世紀頃であると思われます。
モーセはさらに、エジプトから救出された記録である、出エジプト記、律法契約に関して記したレビ記、荒野で40年間さまよったときの記録である民数記、最後の訓戒を収めた申命記を記述しました。
ここに1600年に渡る記録である聖書がまとめられるようになったのです。
イスラエル人はシナイで与えられた十戒を始めとする神の律法に従うようになりました。
モーセの死後、ヨシュアがイスラエルの指導者となり、カナンの地(今のイスラエル)を征服していきます。その記録がヨシュア記です。

イスラエルは後にサウル王のもとに王政を敷くことになります。サウルの後ダビデやソロモンという王が支配し、イスラエルの黄金時代を築きます。

しかし後にイスラエルは北のイスラエル王国と南のユダ王国に分裂し、遂に北イスラエル王国は、前740年頃アッシリアによって滅ぼされ、南のユダ王国も前607年頃バビロンによって捕囚となります。

70年後イスラエルは再び、約束の地に戻り、エルサレムの神殿を再建します。

前5世紀頃マラキによって書かれたマラキ書が旧約聖書の最後の書となります。


旧約聖書の中で最も重要な音信それはメシアに関する預言でした。

アダムがエデンの園で罪を犯したとき、次のような預言が神によって語られました。

それからエホバ神は蛇に言われた,「この事を行なったゆえに,お前はすべての家畜のうち,また野のすべての野獣のうちののろわれたものである。お前は腹ばいになって進み,命の日のかぎり塵がお前の食らうところとなろう。
そしてわたしは,お前と女との間またお前の胤(子孫)と女の胤との間に敵意を置く。彼はお前の頭を砕き,お前は彼のかかとを砕くであろう」。(創世記 3:14,15)

人類を惑わした蛇、つまりサタンを打ち砕く人類の胤メシアが登場することが予告されたのです。
その預言は徐々に明らかにされていきます。


遂にダビデの子孫であるヨセフとマリアの息子として約束のメシアであるイエスが登場されます。有名な処女懐胎の話を聞いたことがあるでしょう。
聖書の中には次のように記述されています。

み使いガブリエルは,神のもとから,ナザレというガリラヤの都市に,ダビデの家のヨセフという人と婚約していたひとりの処女のもとに遣わされた。その処女の名はマリアといった。
そして彼女の前に来た時,彼はこう言った。「こんにちは,大いに恵まれた者よ。エホバはあなたと共におられます」。
しかし彼女はそのことばにひどくとまどい,このあいさつはどういうことなのだろうかと考えはじめた。
それでみ使いは彼女に言った,「マリアよ,恐れることはありません。あなたは神の恵みを得たのです。
見よ,あなたは胎内に[子]を宿して男の子を産むでしょう。あなたはその名をイエスと呼ぶのです。
これは偉大な者となり,至高者の子と呼ばれるでしょう。エホバ神はその父ダビデの座を彼に与え,彼は王としてヤコブの家を永久に支配するのです。そして,彼の王国に終わりはありません」。
しかしマリアはみ使いに言った,「どうしてそのようなことがあるのでしょうか。わたしは男と交わりを持っておりませんのに」。
み使いは答えて言った,「聖霊があなたに臨み,至高者の力があなたを覆うのです。そのゆえにも,生まれるものは聖なる者,神の子と呼ばれます。−−−神にとっては,どんな宣言も不可能なことではないのです」。
するとマリアは言った,「ご覧ください,エホバの奴隷女でございます!あなたの宣言どおりのことが私の身に起きますように」。すると,み使いは彼女から去って行った。 (ルカ 1:27-38)

ここにメシアであるイエスが歴史の舞台に登場したのです。

イエスは西暦29年、30歳でバプテストのヨハネからバプテスマを受け、聖霊で油注がれた者となります。キリストには油注がれた者と言う意味があります。
3年半の伝道活動の後、ユダ・イスカリオテに裏切られ、刑柱に架けられてしまいます。
しかし三日後に甦り、その良い便りは弟子達を通して全世界に伝わっていきます。

イエスの生涯を記述したのが福音書と呼ばれるものです。ここに新約聖書の記述が始まります。
4人の弟子達、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネが福音書を記述しています。そのうちイエスの初期の弟子達であった12使徒はマタイとヨハネです。その記述は生き生きとしており、イエスの人間性についてよく知ることが出来ます。

弟子達がイエスの死後どのように活動したのかを記述したのが使徒行伝、つまり使徒達の活動の記録です。これはパウロと親しく行動し、ルカ伝を書いたルカが記述しました。

手紙類も新約聖書の中に収められています。主に諸国民にイエスの活動を紹介したパウロの手紙が14通、イエスの実の兄弟であるヤコブとユダの手紙、12使徒であったペテロとヨハネの手紙が収録されています。

最後に預言と幻に満ちているヨハネの黙示録、つまり高齢の使徒ヨハネによって書かれた神の啓示の書があります。

新約聖書には合計27冊の書が収められています。

ここに1600年間に渡って書き続けられた驚異の書、聖書が完成したのです。
人類の創造者である神エホバ(ヤハウェ)はどのような音信を私達に伝えようとしているのでしょうか。
次に考察してみたいと思います。