Speak about Speech/Sentiment Subjects: Shuno the Fault-finder




最近読んだ本 (99/06/06)



敬語はこわくない 最新用例と基礎知識
  井上史雄著
  講談社新書 1450・ISBN4-06-14950-3
 最近、目にしたところでは、「目上の人に対する『ご苦労様』は許されるか」というのがあるが、敬語の問題は、ビジネスの場でも絡んでくることだから、言語に関心のない人でも敏感にならざるを得ない。したがって、この種の本も多い。
 氏の視点は常に「言語は変わるものである」というところにあって、したがって、文化庁の調査で 8 割の人がおかしくないと思っている「とんでもございません」を誤用とする考え方に異議を唱えている。
 したがって、若い社員の言葉遣いを直してやるための根拠を求めている人には向かない本である。自分も昔は年長者にたしなめられたことを思い出して、おおらかな心を持つ必要がある。

 蛇足だが、「とんでもない」は「とんでもな・い」という一つの形容詞であって、「とんでも」が「無い」わけではない。したがって、これを丁寧に言おうとして「とんでもございません」「とんでもありません」とするのは、伝統的な文法に則れば間違いである。「とんでもないことでございます」などとするのが正しい。


新聞に見る日本語の大疑問
  毎日新聞校閲部・編
  東京書籍 ISBN4-487-79384-X
 新聞社の日本語をチェックする最後の関門で悪戦苦闘する校閲部の人たちが書いた文章をまとめたものである。もとがコラムだから文章が短くて読みやすい。
 常用漢字にまつわる交ぜ書きの問題などよくある話もあるが、96 年にローマで「マスカルポーネ」というチーズで食中毒騒ぎが起こったとき、これがかの「ティラミス」の材料であることに触れられていないことに疑問を持った話などは興味深い。
 ただ、「作者が矛盾した箇所」とか「このコラムのいくつかが、皆様の心に残ってもらえれば幸いです」とか、まだまだだと思うな。




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