Speak about Speech/Sentiment Subjects: Shuno the Fault-finder




「ありがとう」



 我が上司は、部下が指令を遂行した際に「ありがとう」と言う。俺にはこれが大変に不愉快である。

 例えば、あなたが母親の肩をたたいていたところ、父親から「ありがとう」と言われたとする。違和感を覚えないだろうか。
 言ってしまうと、「ありがとう」は自分の領域の事柄に対して言う言葉だ。肩たたきの例で言えば、父親からすれば、自分の愛妻だから「ありがとう」と言いたくなる気持ちもわかるが、子供からすれば、母親だから身内である。そこで「ありがとう」と言われたら「ん?」と思うだろう。もっと言えば、疎外感だ。

 これをとある場所で言ったら、「素直に受け取ればいい」と言われた。
 更に、「バスなどで、降りるときに『ありがとう』と言う人がいるが、あれは大変にすがすがしい」とも言われた。
 だが、なぜ「すがすがし」く感じられるのか考えてみて欲しい。
 それは、言わなくてもいいからである。

 最初の話に戻る。
 会社という場所にあっては、各社員の仕事は何らかの形で必要とされている。やって当然の事柄なのである。つまり、このシチュエーションでの「ありがとう」は、「この仕事は俺(上司)のものであって、君(部下)のものではないのだよ。君は部外者」と宣言しているに等しい。




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