Speak about Speech/Sentiment Subjects: Shuno the Fault-finder




外堀



 言葉で飯を食ってる連中の言葉力の低下はあちこちで話題になる。アナウンサーがやり玉に挙げられることが多いようだが、文章の方もひどい。

 こないだ、こんなのを見つけた。
XML の外堀はもう埋まっている
“XML”というのは、コンピュータで情報をやり取りしたりするときに使われる形式の一つである。去年あたりから話題になることが多くなってきた。
 さて、この一文の意味をどううけとればいいか。
 言うまでもない、字面から判断すれば、「XML はもう負けたも同然」である。最近、やっと普及が始まりかけた技術だというのに。

 知らない人はいないと思うのだが、こういう文章が雑誌に載るということは、少なくとも三人 (書いた本人、担当編集者、編集長) は知らない人がいる、ということなのでわざわざ解説する。
 この場合の「堀」は、城の周囲にある堀である。この堀は、城に対する守りである。徳川家康が豊臣家に難癖をつけて堀を埋めさせたとき、どさくさ紛れに外堀 (これも解説がいる?) だけでなく内堀まで埋めてしまった、なんて話は歴史でやっているはず。
 つまり、堀を埋められる、というのは、攻められており、かつ劣勢であるということである。

 文章全体を読むと、この筆者は XML に対して好意的なのである。これからどんどん普及していくだろう、と考えている。
 「掘」を、内側から出ていくときに邪魔になるもの、と認識してしまったらしい。国語のみならず、社会科も苦手なようだ。
 コンピュータ関係の文章の日本語がひどいのは今に始まったことではないが。この人、ライター歴、長いんだけどなぁ。




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