JMM(Japan Mail Media)



日本の選択した道

金融経済のヌーヴェル・ヴァーグ

http://ryumurakami.jmm.co.jp/

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目 次

1 出会い
2 内 容
3 狙 い
4 方 法
5 特 徴
6 メールメディアの意味
7 単行本

1 出会い
 NHKの衛星放送11チャンネルで毎週土曜日の22:15から55分番組で「週刊ブックレビュー」があります。3人の出演者が推薦する1冊の本の合評コーナー「いまこの本が面白い」、作者へのインタビュー、今週のベストセラーなどから構成されています。多分今年(2000年)の2月下旬の放送だと思いますが、作家の村上龍さんがインタビューに登場し、JMM(Japan Mail Media[Magazineではない])のことを話しました。そこで早速インターネットで検索するとJMMが見つかりました。

2 内 容
 JMMは村上龍さんが編集長をしているMM(メールマガジン)です。週に3回発行され、発刊して約1年が経ちます(2000.3現在)。読者は約5万人です。ホームページで申し込むことができ、配布は無料です。
 村上龍さんは新しい媒体としてMMを使い従来の本や雑誌とは異なる新しい情報の発信を試みているのだと思います。
 3回の内容は、今のところ内容は次の三つです。
Monday edition 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』【金融問題】
Wedenday edition 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』【教育問題】
Friday edition 『心理経済学講座』および『村上龍と風俗嬢の交換メール』
執筆者は金融の専門家他と一般の投稿者で、メールで送られたものを編集して載せています。

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3 狙 い(「6 メールメディアの意味」参照)
1) 素人(一般[多くの]の日本人)の疑問に本音の答えを出す。
2) 言葉の定義を明確にする。
3) 個人が自分の意見を持つ。
4) 日本の政治を良くする一番の早道である。

4 方 法
1) 専門家に本音の答えを出してもらう。
2) 一般の読者にもメールにより参加してもらう。
3) 結果は本にする(「日本の選択した道」など)。

5 特 徴
従来のマスメディアに対する不信がある。
少ないスタッフ、少ない費用で前記の狙いを達成する。
そのために新しい媒体としてMMを使う。 → 5万人に伝達できる。

6 メールメディアの意味
 今、おそらくほとんどの日本人が言葉にならない不安感を持っているのではないでしょうか。変化を実感しながらも将来の展望がなく、不安を抱きながらも危機感を持つことができないでいるような気がします。
そういった状況は、今までのようなトップダウン型の指示だけでは打開できないのかも知れません。 大事なのは、目先の解決にだけこだわるのではなく、わかっていることと、不明なことを、とりあえずはっきりさせることだと思います。
しかし既成のメディアがその役割をきちんと担っているとは思えません。メディアは金融界と違い、日本語に守られていて、「競争」がないので、遅れているのです。しかし、既成のメディアを批判するのは飽きました。わたしはメール配信サービスを使った新しいメディアの実験を始めることにしました。そして、シンプルにそれをジャパンメールメディア、JMMと名付けました。
JMMを始めてから既成のメディアへの苛立ちが少なくなったのは確かです。既成のメディアへの苛立ちは、結局自分が情報の受け手でしかないことに起因していました。
 JMMでは、おもに金融・経済を中心に扱うことにしました。専門家によるネットワークを作り、どこが不明なのかを、わたしの質問にネットワーク参加者が答える形で、 あるいはネットワーク参加者とゲストによる座談会などの形で明らかにしていくことにしました。 既成のメディアは、すべての問題を「わかっていること」として伝えようとします。 当たり前のことですが、現実はわからないことのほうが多いのです。繰り返しになりますが、 今大切なのは何が不明なのかを知ることだと思います。
たとえばリスクという英語に対応できる日本語がありません。同様に、インセンティブ、という言葉も日本語に翻訳できません。近代化途上の旧来の文脈においては、もともと「個人」という概念さえ非常に希薄です。個人という言葉には最初から集団に疎外され、集団と敵対するニュアンスがあるような気がします。
しかし、各メディアや本屋に並ぶ経済本には「個人的なリスクテイクのインセンティブを促す」などと書いてあります。まるで百年前からインセンティブという概念があったかのようです。

JMMでは、「ビジョンの創出」や「新しい政策を巡る論議」といった大きなテーマに沿うのではなく、論議の基盤となり得る考え方や、論議に耐えうる概念や言葉の検証をおもに行ってきました。既成のメディアでは、考え方や概念や言葉が曖昧なまま論議されているような気がしたのです。
たとえば、「一人一人が個として自立し自己責任においてリスクを取る時代に日本人はどう生きるべきか」 というような文脈には明らかな矛盾がありますが、そういう矛盾が放置されているような気がします。 一人一人が個として自立することが求められているときに、日本人はどう生きるべきか」という問いは無効なわけですが、そういう指摘はほとんどありません。
JMMでは、解決策を示すのではなく、本質的な疑問を示したいと思っています。これは私見ですが、金融・経済において問われているのはコミュニケーションそのものではないでしょうか。 情報開示、新しい労働市場、フェアな能力主義、合併や事業統合、各種のセイフティネット、規律ある市場など、それらはすべて、個人対個人、労働者対企業、企業対企業、個人対国家、企業対国家、市場対国家、資本対資本、国家対国家、などのコミュニケーションの変化が不可欠です。JMMはその変化を正確に見届けようという方針と意志のもとに作られています。                          JMM編集長:村上龍
(出典 JMMホームページ[URLは、この頁の「目次」の上に表示してある])

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7 単行本
メールマガジンがある程度まとまったところで単行本が出ました。冒頭の表紙はそのうちの1冊で「日本の選択した道」と題した本です。

  [本の目次]
★プロローグ
日本の選択した道

JMMについて…………… 3

はじめに …………………… 9

A point of view 村上 龍 VS 中島精也 …………… 104
●そして、日本は何を選択したのか。

Reference 経済戦略会議答申 …………… 114

Debate
1999 日本経済の現状と将来への選択
…………… 12
裁量かルールか
不景気の影響
景気と経済、ミクロとマクロ、個と平均
勝ち組と負け組
景気回復の過程で起こること
アングロサクソン型かヨーロッパ型か
日本社会の均衡のカンヌキ
景気と個人の幸福感
価値体系と分配

不良債権の発生から金融再生まで …………… 52
バブルの儲けはどこへ行った?
土地の価値とは
銀行の機能と不良債権処理
to be or not to be
市場メカニズムと崩壊のリスクと再生のコスト

国家と市場、その役割と限界 …………… 72
日本は市場至上主義をせんたくしたのか?
グローバルであることとグローバル・スタンダードであること
学問と現場のギャップ
国家意識と世界市場
いわゆる円圏について
量的金融緩和
国債・日銀引受・デフレ
マスコミに対して

Q&A Eメール編
Q001 経済戦略会議の答申について …………… 122
Q002 クラッシュする可能性 …………… 129
Q003 クラッシュが起こること …………… 140
Q004 これからの「日本人」 …………… 147
Q005 競争社会の到来 …………… 161
Q006 経済を知るための本 …………… 178
Q007 必要な人材 …………… 193

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[Last Updated 5/31/2001]