カッシーニには超高速集積回路VHSIC(very-high-speed integrated circuit)などの80年代の技術が投入されています。VHSICは軍用の超高速コンピュータをつくろうとして研究が開始されました。ここ数年で注目され使われるようになったVHDLなどのハードウェア記述言語もこの研究の成果のようです。カッシーニでは搭載しているコンピュータにVHSICが使用されているようです。そのほかにもカッシーニ以前の探査機では100以上の部品で構成されていた部分がASICに集積されています。
データレコーダもカッシーニではこれまでのテープレコーダに変わって固体データレコーダが用いられています。固体データレコーダは素子の種類は不明ですが、RAMディスクのようなもので可動部分がありません。そのためガリレオで発生したテープレコーダの巻き戻しができないというような問題は発生せず、信頼性が大幅に向上していると思われます。さらに容量もガリレオの倍以上の250Mバイトになっています。
そのほかの新しい機材としては合成開口レーダーがあげられます。合成開口レーダーは金星探査機マゼランに搭載され光学機器では観測することができない金星の地表を観測したり、宇宙開発事業団NASDAが打ち上げた資源探査衛星ふようやスペースシャトルに積まれ砂漠埋もれた川の痕などを見つけだしています。カッシーニの場合は厚い雲に隠されたタイタンの地表を探るのが目的でしょう。カッシーニの合成開口レーダーはアンテナには直径4mの高利得アンテナが用いられていて、その分解能は0.35から1.7kmです。
このようにカッシーニは強力な観測機器を搭載した非常に大型の探査機ですが、このような大型の探査機はカッシーニが最後になるようです。カッシーニのような大型の探査機は非常に高価で開発にも時間がかかると思われます。これまではこのような探査機を10年がかりで打ち上げてきましたが、失敗したときの打撃はさすがにNASAも耐えられなくなってきたようで、これからは計画あたり2億ドル以内で行うようです。その最初のものがマーズパスファインダーとグローバルサーベイヤーで、外惑星探査もアイス・アンド・ファイヤー計画で冥王星をめざす探査機は非常に小型のものとして計画されています。