「STOP the 空爆・ユーゴに平和を」
デモの際のアピール

皆さん、

本日は、我々の空爆反対の集会に来て頂いて有難うございます。

連日の報道で皆さん御存知だと思いますが、我が祖国ユーゴスラビアでは52日間 の長きにも及ぶ空爆が、アメリカを主導とするNATO軍により続けられています。 これは挑発を受けたというわけでもない、国際法律に違反する不当な侵略攻撃です。 なぜ空爆は続くのでしょうか。NATOの言う「人道的な空爆」とは何に対して言え る言葉でしょうか。空爆というものが人間に与える影響を考えると、この最も野蛮 な行為がどうして非人道的でないと言えるでしょうか。

さて、ここでバルカン半島の歴史についてお話する時間はありませんが、テレビ などの報道では分かりにくい点を、特に問題の発端となったコソボについて私達が 知っている事を少しお話します。

現在のコソボ州は何度かの戦争など、永い経過を経て、現在の形になりました。 トルコ人などを含む90%ちかくをいわゆるアルバニア系住民と呼ばれている人達が 占めますが、コソボではどの民族に対しても差別が行われていたということはあり ません。全ての民族はいつでも自由に自分の言葉を話しましたし、特にアルバニア 人は彼ら独自の新聞、学校など、あらゆる権利を持っていました。 それでも、アルバニア人の一部はグレートアルバニアを計画する武装勢力に参加し、 セルビア市民に対しては数多くのテロ行為を行ってきました。

去年の秋よりアメリカは明確にこの武装勢力を支援しています。そして、今年の3 月は自分の利益をみて、セルビア側が賛成できないコソボ州の和平合意文書を最後 通牒として提示しました。みせかけの和平交渉でアメリカは偽物の合意文書を使用 し,交渉以前に計画したセルビアに対しての空爆を計画どおり開始しました。

凶暴なNATOの空襲は今まで沢山の民間施設に被害をもたらしました。住宅街、 工場、学校、病院、教会、橋、高速道路、鉄道など、十兆円以上の被害です。犠牲 者600人以上、負傷者5000人以上、セルビア人を含む50万人にも及ぶコソボから の避難民の数字がこれまでのNATO空爆の成果です。

今月7日には、NATOはクラスター爆弾を民間人にむけて使用しました。クラス ター爆弾は人を殺すための爆弾です。ニシュ市の市場、病院ではクラスター爆弾を 使った空爆の結果、16人が死亡、60人以上が負傷しました。 同日の夜には計画的に中国の大使館をも空爆、3人が死亡、20人以上が負傷し、 一昨日は、NATOが「エラー」と呼ぶ誤爆によって100人のアルバニア人が死亡し ました。

NATOは非常に大きい500キロ、1000キロの爆弾を使用していますが、新たに、劣 化ウラン爆弾、発電所の送電施設をショートさせる目的のグラフィット爆弾、さら に巨大な2500キロの爆弾、と使用する兵器もだんだんと強力なものになってきていま す。これはセルビアの土地を利用して新兵器でどれだけのダメージがあるか実験し ていると考えるほうが妥当です。

また、NATOは巧妙な情報工作を行うだけでなく、セルビアテレビ局を含む複数 のテレビ局、ラジオ局やアンテナなどの放送施設を破壊し、自分達のテレビである 「NATOテレビ」をセルビア国内で放送しています。しかし誰もが衛星放送で海外 のニュース番組をみることができる、インターネットなどの通信機器が普及してい るこの時代にはあまり意味のない方法に思えます。

コソボ問題や空爆の責任者はミロシェビッチ大統領というのが、馬鹿の一つ覚え のように繰り返されるアメリカをはじめとするNATO側のコメントです。しかし、 ユーゴの大統領問題、コソボ問題などはセルビアとユーゴスラビアの国内問題であ り、われわれは自分で、民主的にそれらの問題を解決したいと思いますし、アメリ カなど外国の干渉すべきものではないと考えます。

最後に我々在日ユーゴスラビア市民は、今日のこの集会を計画した「Mirの会」、 その他の友好な団体の皆様に感謝を申し上げるとともに、この場を借りて下記の要 求を日本人の皆さんにアピールしたいと思います。

セルビア内のコソボ、自由なセルビア、自主なユーゴスラビア万歳
中国とユーゴ・セルビアの友情万歳
日本とユーゴ・セルビアの友情万歳

有難うございました。

P.ミノヴィッチ
1999年5月16日、東京


 
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