My Kitano's Ranking
1 ソナチネ
2 キッズ・リターン
3 HANA-BI
4 あの夏,いちばん静かな海.
5 3−4×10月

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TAKESHI KITANO FILMS 鑑賞のアドバイス

 映画には,「感性の映画」と「観念の映画」の2種類ある.「感性の映画」は,頭で考えず感覚で楽しみ,「観念の映画」は,図式や象徴などの意味を分析して楽しむ.映画を観ながらどちらに属する作品なのかを捉えることができると,その作品を楽しみ方も見つかる訳です.ただ,希にそのどちらの見方をしても十分に鑑賞に耐えるものに出くわし,その作品の充実度に驚かされる.いい映画とは,そういうものかも知れません.
 純娯楽映画(例えば,ハリウッド映画)というのは,万人受けを求めるがため,つくりがいたって単純であるものが多い.そのせいで,純娯楽映画は,「感性の映画」として楽しめても,何度も楽しめるといった耐久性に乏しい.また,「観念の映画」として楽しめても,深く分析する必要はあまりない.元々そんな深くつくられていないからだ(無論,もっと別のことに力を注いでいるわけだが).

 前置きがかなり長くなってしまったが,北野作品について言うと,もちろん,すべてが「感性の映画」である.「感性の映画」には,ストーリーは不要だし,内容は極めて私的なものになるが,北野作品もそういった特徴を持っている.だから,当然,一般受けするたぐいの作品ではない.北野作品を感覚的に観て,あの突発的な暴力,死生観,日常の切り取り方,時間の流れ,リズム,客観的な視点,画質,色合い(キタノブルー)などが気に入るか入らないかの問題なのである.ただ,武の感性の鋭さは,たぐいまれなものがあり,魂の揺さぶるものがあるのは確かだ.ハリウッド映画にしか慣れていなくストーリーがないと駄目という人や生理的に暴力描写が受け付けられないという人などは,もったいない話だが気に入らないかも知れない.

 北野映画は,いずれも「感性の映画」と言えるのだが,その中でも,以下の3つに分けられると思う.

@純感性映画
  「3−4×10月」「あの夏,いちばん静かな海.」「ソナチネ」「みんな〜やってるか!」
A娯楽的感性映画
  「その男,凶暴につき」「キッズ・リターン」「BROTHER」
B観念的感性映画
  「HANA-BI」

 @純感性映画の最高峰たるものは,「ソナチネ」であると思う.私が最も魂を揺さぶられた北野作品である.逆に純感性映画として,底辺たるものは,「みんな〜やってるか!」である.はっきり言って失敗作である.私は,元々,テレビのたけしのギャグを扱ったバラエティ番組をあまり面白くないと思っていた人間なので,この意見は当然なのである(ラジオ番組「オールナイトニッポン」や漫才などのトークは大好きなのだが).だから,そういったテレビ番組が好きな人たちは,この作品を気に入るかも知れない.

 A娯楽的感性映画の「キッズ・リターン」は,実は武の作品の中で私が最も泣けた作品だが,この作品も娯楽作品の定め通り耐久性に乏しい.残念ながら何度も観ても感動できる作品ではないと思う.けれども,娯楽性が高く,完成度も高いので,私は人に北野作品を薦めるとき,娯楽的感性映画の3本を薦める.また,一般受けしやすい恋愛を扱った「あの夏,いちばん静かな海.」も薦めたりもする.これから,北野作品を観る人は「その男,凶暴につき」「あの夏,いちばん静かな海.」「キッズ・リターン」「BROTHER」から攻めて欲しいと思う.

 B観念的感性映画に分類した唯一の作品「HANA-BI」は,ご存じの通り,ベネチアでグランプリを取った作品だが,感性で楽しむ作品としは,「ソナチネ」に及ばないと思う.しかし,この作品は,観念的に鑑賞しても耐えうる作品に仕上がっている,というか仕上げている.武もいよいよ巨匠の域に達してきたのだろうか.
 最後に,私にとって北野作品が感動的である大きな理由に,「北野作品=武」ということがある.特に,例のバイク事故からの復帰して撮った「キッズ・リターン」と「HANA-BI」は,あの事故を経験した人間が監督した作品だと思うと,より感動が深まってしまうのだ.

 北野作品の影響か,一時期,邦画では抑制的な作品がよく制作されていたこともあったが,「感性の映画」のように私的な映画を真似するほど馬鹿げたことはない.北野映画は武にしか撮れないのだ.

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