政府・与党申し合わせ
◆平成2年12月24日の「政府・与党申し合わせ」で、並行在来線の経営分離が決定!
1990(平成2)年、整備新幹線の取り扱いについての政府・与党申し合わせに、『
建設着工する区間の並行在来線は、開業時にJRの経営から分離することを認可前に確認する
』という内容が盛り込まれました。この申し合わせにより、JRは新幹線開業後、並行して走る在来線を運行しなくても良いことになったのです。
この申し合わせが成立した背景には整備新幹線は儲からないこと、並行在来線は更に儲からないこと、そのためJRに整備新幹線と並行在来線の両方の運行を負わせると「双子の赤字」によって経営が危惧されるのではないかというJRへの忖度が働いたものと想像できます。
こうして新幹線開業に伴いJRから分離された在来線は、地元自治体などが出資する第三セクター鉄道が引き受けて列車運行を継続する場合がほとんどです。しかし運行するコストの点で地元自治体が引き受けられない場合は、碓氷峠のように廃線が容認されてしまうことになったのです。
平成2年12月24日 政府与党申し合わせの内容
1996(平成8)年、整備新幹線の取り扱いについての政府・与党合意において、『
建設着工する区間の並行在来線については、従来通り、開業時にJRの経営から分離することとする
』という方針が再確認されました。
そして、1997(平成9年)9月30日を最後に信越本線碓氷峠は廃線になり、JRバス関東が運営するバス輸送に代替されました。
平成8年12月25日 政府与党合意
<申合せメンバー>
国土交通省の資料によると政府・与党申し合わせのメンバーは、下記のように構成されています。
【政府】内閣官房長官、総務大臣、財務大臣、国交大臣
【与党】政調会長、与党PT座長・座長代理
平成2年当時は、第二次海部内閣ですので、政府・与党申し合わせは下記メンバーになります。
内閣官房長官 - 坂本三十次
自治大臣 - 奥田敬和
大蔵大臣 - 橋本龍太郎
運輸大臣 - 大野明
政調会長 - 三塚博
PT座長 - ?
座長代理 - ?
その後、下記メンバーで政府・与党整備新幹線検討委員会発足
[与党]
自由民主党
幹事長 野中広務
政務調査会長 亀井静香
公明党
幹事長 冬柴鐵三
政策審議会長 坂口力
保守党
幹事長 野田毅
政務調査会長 井上喜一
[政府]
内閣官房長官 青木幹雄
大蔵大臣 宮澤喜一
運輸大臣 二階俊博
自治大臣 保利耕輔
その後、実務者によるワーキンググループで、検討を進める。第1回ワーキンググループの構成は下記メンバー。
政府・与党整備新幹線検討委員会 第1回ワーキンググループ
[与党]自由民主党
桜井新 小里貞利 平沼 赳夫
野沢太三(参議院比例区 長野県出身)
公明党
井上義久 弘友和夫 漆原良夫
保守党
青山丘 三沢淳 泉信也
[政府]内閣官房副長官 額賀福志郎
内閣官房副長官 松谷蒼一郎
内閣内政審議室長 竹島一彦
大蔵省主計局次長 寺澤辰麿
運輸省鉄道局長 安富正文
自治省財政局長 嶋津昭
碓氷峠廃線により横川駅から峠に向かう線路撤去工事
横川運転区の線路撤去工事と軽井沢行き代替バスの仮発着場
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バックグラウンドの写真; 廃線になった信越本線碓氷峠の上り線。線路を簡易舗装して遊歩道アプトの道になっています。
この申し合わせが成立した背景には整備新幹線は儲からないこと、並行在来線は更に儲からないこと、そのためJRに整備新幹線と並行在来線の両方の運行を負わせると「双子の赤字」によって経営が危惧されるのではないかというJRへの忖度が働いたものと想像できます。
こうして新幹線開業に伴いJRから分離された在来線は、地元自治体などが出資する第三セクター鉄道が引き受けて列車運行を継続する場合がほとんどです。しかし運行するコストの点で地元自治体が引き受けられない場合は、碓氷峠のように廃線が容認されてしまうことになったのです。