パーフェクト エンジェル


5 YURIKA始動! 

 その後、俺の生活はそのほとんどが,地下のトップシークレットセクターの中で行われるよになった。

俺とYURIKAはうまくやっている。馬が合うようだ。


 やがて連邦監察宇宙軍の地下室へ入って1ヶ月が過ぎようとしていた。

その間俺はYURIKAを通じて、AZーSー01についての完全な操作方法やワープ航法の講習を受けていた。

(後で判った事だが、操縦やワープ航法などは総てYURIKAがやってくれるので、俺は何もする必要が無かったのだが・・・・)

またそれに伴う肉体的なトレーニングも毎日欠かさず行うのも俺の仕事だった。

 この間外部との接触は禁止されていたが、YURIKAを通じて各地のネットワークには毎日アクセスをしていた。

もっとも痕跡は完全に残さないようにしてはいたが・・・。

 その結果ローバー少佐達が俺の消息を必死になって探している事を知ったが、さすがにこちらからのアクセスは控えておいた。

YURIKAのネットワーク機能も素晴らしいものだった。

どのコンピュータネットワークにアクセスしても、そのメインコンピューターに全く痕跡を残さずアクセスを繰り返す事ができた。

YURIKAは超一流のハッカーでもあった。


 いよいよYURIKAの本体であるRVUーSー701ユニットをAZ型特殊万能宇宙艇に搭載させ、最後の調整に入った。

この作業は地下では出来ないのでボズノフ中将がいつの間にか用意した周回軌道外の秘密移動ドックで行われる事となった。

この基地は小惑星を利用した移動可能な基地であるが、まあこれから俺達のベースとなる基地だ。

中には格納庫、トレーニングジムなど最低の生活が出来る用意が有るが所詮はほったて小屋のような仮設基地である。

(この基地の本当の性能を知ったのはずいぶん後に成ってだった・・・)


 テスト飛行と初任務を兼ねて俺達は俺がこの前まで所属していた

WGEH(西銀河連邦宇宙軍)西銀河連邦宇宙軍第16艦隊の基地のある、ポポフ星系の主星の惑星ポポフに向かっていた。

もっともYURIKAのワープ能力のテストも兼ねていたのでかなり遠回りをしていたが・・・


「YURIKA。体の具合はどうだい?」

「もちろん調子いいわよ」

俺に向かってしゃべるYURIKAは以前とは別人のように打ち解けていた。

「予定だとそろそろ最大ワープ能力のテスト飛行を行う事になっているが、事前のチェックはどうだい?」

「オールグリーン!」

「それじゃいっちょやってみるか?YURIKA最大船速でワープだ、目標ポポフ星系。Go!」

「了解。これよりワープ航法に入ります。」

YURIKAはみるみる加速を増していったが、船体は微かな振動の他はほとんど感じられなかった。

「ワープ1。ワープ2・・・ワープ20。通常最大船速に到達。エンジンその他異常はありません」

スクリーンにはスターボウが飛ぶように映し出されていた。

「ポポプ星域までどれくらいかかるかい?」

「ワープ20のままだと、4時間ってところかしら?」

「え!4時間!?サムソンでも30時間以上はかかっただぜ」

「私をあんなのろまのボロ船と一緒にしないでちょうだい!私のワープ能力は最新鋭の高速戦艦より上なのよ。

しかもこれは通常ワープ航法での計算ですからね。」

俺は改めてYURIKAの快速ぶりにはびっくりさせられた。

YURIKAはサムソンの事を俺をまねてボロ船と言っているが、サムソンとて前大戦の終わりに作られた新鋭艦である。

ワープ能力は普通の戦艦クラスより遥かに上である。やはりYURIKAの方が特別製だとと言って良いのだろう。

 通常ワープでこれであるから、緊急時の最大能力はどれくらいあるのだろうか?

俺はそれを試したい衝動をおさえつつ

「主砲のレーザーカノンとレールガンもテストしておきたいなぁ。

YURIKAいったん減速して、機密が守れそうな所を適当に選んでに向かってくれ。」

「ラジャー!」

まもなくYURIKAは通常空間に戻った

「ここはどの辺だい?」

「カタログbeZ689星域。無人の星域の為通称は無し。」

「一番近い有人星域までの距離は?」

「まあざっと40光年ね。それこの星域には無数のアステロイドベルトが点在しているので、10や20無くなっても問題は無いわ。」

「それじゃレーザーカノンの発射テストをしよう」

YURIKAから発射されたレーザービームは直径10kmに及ぶ岩の塊を一瞬にして蒸発させた。

「頭では解っていたが、実際に見るとすごい威力だな!」

YURIKAのレーザーカノンは大型戦艦並の破壊力を持っている。

YURIKAは続いてレールガンを撃った。

これは直径1m〜3m位の塊(物は個体なら何でもいいそうだ)を高速に加速して目標に向かって放出するものである。

光速の十分の一で発射された、直径1m弾丸は直径20kmの岩の塊をまるで紙のごとく貫通して

さらに後方のアステロイドを1ダース以上貫いてから止まった。

「これもすごいなぁ。でもなんで主砲が2種類もあるんだい?」

「対バリアーにより主砲の使い分けを行います。」

「と言うと?」

「通常の宇宙空間において船はバリアーを張って船を守っています。

これは通常のレーザーカノン・光子魚雷用のバリアーですので破壊はバリアーの出力とレーザーの出力の差によって起きます。

つまりエネルギー出力の強い方が勝ちます。

これに対しレールガンによって放出された物はそのスピードが早いほど破壊力を増大させます。」

「それでどう使い分けるのが有効なんだい」

「ジーク。少しは自分の頭で考えれば?」

「おぉ!挑戦的な態度!くそ!自分で考えてやる!」

考える事数分、答えは出なかった。俺は素直にYURIKAに聞くことにした。

「降参だ〜!YURIKA教えてくれ〜」

「あれ〜?人にお願いするのに教えてくれ?ですか?」

「そう意地悪するなよ。教えてちょうだい、銀河で一番頭の良いYURIKAちゃん!」


YURIKAの話ではバリアーには複数の種類があり、対エネルギー波用・対物体用・対放射線用を複合して船を守っているそうだ。

そうしないと、宇宙ではほんの数ミリの塵のようなものでもスピードによっては簡単に宇宙船を貫通してしまうそうだ

また有害な宇宙線や放射線で、中の人間は防御服無しでは生きて行けない。

YURIKAに搭載されているレールガンはレーザーカノンと併用する事によって、WGEH(西銀河連邦宇宙軍)が所有している

小天体規模の宇宙要塞でも破壊が可能になるらしい。

これは通称『アラモの砦』と呼ばれている現在、外からの攻撃では破壊が不可能と言われている難攻不落の要塞の事だ

もっともこれにはレールガンから発射された岩とレーザーカノンの完全なシンクロ(同調)が必要であり、普通コンピューターでは

計算が不可能らしい。と言うか計算をしている時間が無いのが正解だそうだ。これもYURIKAだから可能な、

いや!銀河一の性能を持ったYURIKAだけが出来る攻撃だそうだ。

まぁレールガンとレーザーカノンの同時攻撃はそれほど真新しい戦法ではないが、完全なシンクロはまず無理と言われて来た

その結果『アラモの砦』は一度として陥落された事は無く、前大戦中もやや劣性であったWGEHが終戦の主導権を取れたのも

この『アラモの砦』のおかげである・・・

??と言うことは、我々は最終目標は『アラモの砦』なのか・・・??


俺は一抹の不安を抱きつつポポフ星系に向かった


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