「フラメンコ と 闘牛」 の国

スペインといえば「フラメンコ」と思っていました。
しかし、この国では「フラメンコ」の社会的地位は必ずしも高くありません。
その理由は、これがジプシー(スペイン語ではヒターノと呼ばれている)の民族音楽だからだそうです。
民族や地域間の問題は、スペインでもご多分にもれず存在しているようです。

メリハリのあるステップ、繊細な手の動き、鮮烈なリズムのギター、哀切を帯びたカンテ(歌)、
ジプシーだろうが何であろうが、私にはフラメンコのどれもこれも堪らなく好きです。

けれども闘牛は好きになれません。
まず馬に乗ったピカドールが槍で突いて牛を弱らせる。次にバンデリリェロが出て来て、牛の背に飾り銛を撃ち込む。
そして、ようやくマタドールが登場し、赤い布で牛を翻弄して最後に剣でとどめを刺す。
一匹の牛に何人もの人間が寄ってたかって嬲り殺しをしているようで、私の趣味には合いません。
これは文化の問題なので、私達がどうこう言えることではありませんが!
ただ、牛を弱らせてからでないと、人間は牛と対等に勝負できないのも事実のようです。
セビーヤで闘牛のテレビ実況中継を見ていたところ、マタドールが牛に跳ね上げられて場外に運び出された。
この時は「闘牛士も本当に命がけなのだなあ」と実感しました。


フラメンコと闘牛に共通しているのは、背筋をシャキッと伸ばし、やや反り気味に踊ったり
牛の突進を捌いたりする姿です。この姿勢には本当に惚れ惚れします。

初めてのスペインは、“西洋とイスラム文化の華麗なる融合の世界”「スペイン・アンダルシア物語」なる
キャッチコピーと有名な“セビーヤの春祭り”が見られることに惹かれてのパックツアーでした。
このツアーは1996年4月21日から5月5日までの15日間の長いものでしたが、
ゴールデンウィークに繋がるので,5日間の休暇で済みました。
参加者は25名でそれぞれスペインに思い入れが深い人が多く、フラメンコを習っているお嬢さんや、
スペイン語を勉強している人など、女性が16名と断然多いグループでした。