81.間の岳 (3189m)
('55/8,'56/8,'60/7,'61/1登頂)

「間の岳のこと」       Y.Takahashi
部報“山靴”No.70 (南アルプス特集号)-'66/3発行- から
世聞には実力がありながら、そばにスターがいる為、陰の存在になつてしまう事がよくある。
 間の岳も丁度そんな存在だ。日本第四位の標高を持ちながら、隣りに北岳と云う名山がある為、損な役割しか与えられない。
 僕なども、間の岳の頂上に寝そべって北岳を眺めたら素的だろうと、まるで南アのペットの様に思ったものだった。この想いも、夏の北岳集中登山で叶えられた。
 それに味を占めた僕は、数年後の冬山縦走の時も、熊の平で時間が早かつたので、又変な虫が起きてきた。
 吹雪の中、真暗闇の間の岳頂上で設営を終えた僕達は、綿の様に疲れて眠りこけてしまった。天幕が完全に雪に埋められたのも知らずに。
 「余り嘗めないで下さいよ。私だつて、3189.3米あるんですから」間の岳の呟やくのが、虚ろな僕の耳に響いた。
北岳頂上からの間の岳 (’56/8撮影)
中央奥の丸い頂きは塩見岳(3047m)
同左 (’58/1撮影)
釣尾根上部から見た間の岳 (’58/1撮影)


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