初めてのネパール・アンナプルナ一周の旅
 樋口清作著          

「カトマンズへあと40分位というとき、右手によどめきが起きる。ヒマラヤの山脈が見えてきたのだ。私も席を離れて右側の一番まえの窓からながめる。ああ、これが8000mの山々なのか。薄くたなびく雲の上に白い連なりが浮かぶ。想像していたほど横に長くない、高度感も。遠いせいももあるのだろう。今度の旅では、エベレストを望むことは叶わないが、チャンスがあるとすればこの機上からだ。それで一番高いのをエベレストだろうと決めて席に戻る。」・・・著書から一部抜粋

山岳部OBの岳友・樋口氏が、1986年3月25日から4月21日にかけて、アンナプルナを巡る一周トレッキングの旅に一人で出ました。現在では旅行会社のトレッキングツアーで、気軽にヒマラヤに行ける様になりましたが、当時はそのような便利なツアーが無く、たった一人ぼっちでシェルパ・ポーターを引き連れての旅は、とても勇気の要ることだったと思います。その時の記録を、単行本にまとめて2006年1月に出版されました。彼は若い頃から文才があり、特に詩作を得意にしていて、たびたび、詩集を発表していました。今回の本は、トレッキング中の様子を、何のてらいもなく淡々と記述していて、非常に読み易く、これからヒマラヤトレッキングを目指す人には大変参考になると思います。

同時に、長年にわたり書き留めてきた紀行文や随想を纏めた「雨後の山」も出版しています。この本については、季刊雑誌「山の本」の書評欄に取上げられ、“文体は平明で読み易く、特に歳時記風随想は詩情に富み感性にキラリと光るものを感じた。・・・・読後感はサッパリと爽やかだ。”と好評を博しています。

山に興味のある方にお勧めしたい本です。ぜひご一読ください。 (発行所)白山書房 Tel:0426(69)4720


(著書からコピーしたものです)

本の表紙(版画はアンナプルナ南峰とヒウンチュリ) ランドルン村よりアンナプルナ南峰とヒウンチュリ
アンナプルナU峰(4月5日撮影) ガリガンダキの谷底へ(4月8日撮影)
左:アンナプルナT峰8091m,中:南峰7219m 左:ダウラギリ8167m,右:ツクチェピーク6920m
ニルギリ北峰7061m ダウラギリ8167m

(写真は著書からコピーしたものです。その他は、樋口氏から毎年送られてきた年賀状の版画をコピーしたものです。)