RADIO HEAD

1998.1.22.Thu 大阪厚生年金会館大ホール

まだ未熟な子供のころ、これからはじまる自分の人生は
きっとドラマスティックなものになると信じていた。
けど結果はどうだ?
どこを切り取っても、かわりばえのしない毎日が転がっているだけだ。
それが悪いと言ってるわけではない。日々日常をやり過ごすのも大切なこと。
でも時々「そんなんじゃなかっただろっ!」と頭の後ろが叫びを上げる。
カラー カラー死ぬことばっかり考えて自殺したアーティストに憧れ、“老いるまえに
自爆しよう”と思っていた、自意識過剰でバカな子供だった昔も。今も。何かむかつく。
どうしようもなくイライラする。これがオチか?こんなもんか?

2時間弱の間、ただ、ただ、圧倒されていた。音に声に人間に。
そして、考えていた。“具体的な何か”ではなく、自分の中で刺激される
得体のしれない大きなもののことを、考えていた。
この感覚はなんだ?この圧迫感。緊張感。情操感。
たぶん、あの場所にいた大勢の人間は、この疑問に終始、支配されていたのではないだろうか。
「なにやってんだ、私…。」この言葉が頭の中に降りつもってきて、泣けてくる。
“怒りと嘆き”をRockの(音楽の)定番とするならば、その普遍性はいつの時代も変わらない。
そして、いつの時代も私たちは共振し、感動する。
それは、あきらめ続けていた今までを嘆きながら、それを選択した自分に怒り、
それでも、今日よりあかるい明日を夢みるからだ。
“信じれば願いはきっとかなう”なんていう単純な呪文を、バカにしながらくりかえし
口にするのは、自分の力を信じたいからだ。そして、自分の可能性を信じられなくなったとき、
人は本当の絶望を手にする。

怒れ!立ち上がれ!今を嘆き、声を上げろ!そして打ちのめされて泣き叫べ!!
Album『 OK コンピューター』にこめられたシグナルを、より具体的に、ストレートに、
突き付けられ、どうすることも出来ず立ち往生してるだけの私たち。
目の前の歴史的な音に打ちのめされて、さまよう自分に落ち込むだけなのか?……。
違うっ。違うはずだっ。こんなもん?それが現実??アホらし。
そんなことじゃないっ!昨日の夜のことなんかどうでもいいのだ。
結局、考えることは十年前と同じ。私は単なる、あきらめの悪いバカな子供に過ぎない。
でもいい、私はまだ、自分に、社会に、人間に、絶望したくない。
自分の青さにヘドが出そうになりながら、こりもせず未来を夢みてやる。
予定調和の人生なんてくそくらえだっ!!

本編ラストの『カーマポリス』を聴いたとき、“もし、人間を救える音があるとするなら、
この音なんじゃないか”と真剣に思った。
                    浦山

 


これは何なんだろう。Radio HeadのLiveをみながら聴きながらずっと考えていた。
呆然と立ち尽くして一曲一曲が終わるのがとても惜しい気がした。
2時間弱のLiveはあっという間にアンコールを迎えて、あっけなく客電がついた。
CDを再現したような完璧な演奏、派手さはないけどバンドと曲にぴったりとあった照明、
そしてなにより素晴しかったのはトム ヨークの歌、歌声。アコースティックギターもとても上手い。すごくすごく、きれいな深い音だ。
それでいてこの小柄な兄ちゃんは挙動不振だった。
歌いながら頭をユラユラ揺らし片足を上げ下げしている。ずっとだ。疲れないのか??
激しい曲になるとエレキギターを抱えてピョコピョコ飛んでいる。落ち着かない。
他のメンバーが微動だにしないから、かなり浮いている。
会場の盛り上がりは大人しめだけど熱い。曲間ごとに声援が飛ぶ。
頭の中は少し混乱していた。そのくせ、“The Bent”に入っていた静かな曲を演じてた時、
目に涙が溜まってきた。なんなんだろう、これは。
チケットは即日完売。行けて良かったけど、悪くもある。ショックも受けた。
日本のBandはいつ追い付けるのかと…。サウンドに関しては特にだ。
音の質の良さや、独自性、Radio Headは4歩先に行ってる。
Fuji Fesとはまた違う凄さがあった。
今いるRock Band の中で最もかっこいい音が出せる人達でしょう。
Liveが証明してた。Perfect!! 
                        矢野


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