この波にのまれろ!

 

 “わたしたちはロックスターを求めていたんだ”ということを確信した気がした。時代を象徴し、自分とリンクする、キラキラと輝くロックマジックを体現できるスターを探していた。そして昨年、彗星のごとく現れたのが彼等ストロークスによってその渇望は少し満たされたのではないだろうか。NY出身、少年の面影を残しつつも男臭さも併せ持つルックス、そしてなによりロックへのエモーションの高さがグッと肝に入り込んでくる。

 近年、何回聞いたかわからない「ロックなんて・・・」という言葉。確かに前進するためには実験的になることは否めないし、そのためにどんどんツールが増えていき結果的に大きなスケールで響く音楽になる。なることはなる。それも素晴らしい。けど、やっぱりいつでも耳にした瞬間ドキドキワクワクさせられる音って単純なロックだった。ライブ後の帰り道、「やっぱりロックだよ」って呪文のように口にしている私がいた。


 19時少し前に会場に到着すると、会場からあふれるほどのオーディエンスが出迎えた。ヤバイと思ってロッカーにいくと満杯で、係の人に止められる。“シマッタ!ここのロッカーって数が少なかったんだ”と後悔しても遅く、歩いて軽く5分以上はかかる駅に引き返す。だって、身軽にライブを楽しみたいモン。てなことで、T-シャツ姿で走ってもどると前座の「キングブラザーズ」も終盤にさしかかっていた。会場に入った途端の爆音。3ピースであの重さと勢いをだせることに関してはすごいと思うのだけど、3曲でお腹いっぱいになる音。何かが足りない気がするんだよね、スタイルで突っ走ってて本当にいいたいことが伝わっててきてないんじゃないかなぁ。おもしろいとは思うんだけど、今のところの印象はそれだけで終わってる。

 キンブラが終り、キーンと耳なりが残るな中、前方に進むとすでに立つ位置を確保するだけでも困難なほどギューギュー詰め。女の子も多く荷物を持ってる子も割といる。ちょっと邪魔だけど、こういうスタンディングのライブ慣れしていないギャルも集めてしまう魅力がストロークスにはあるってことなんだろう。

 セットチェンジにかなり長い時間待たされる。おいおい、そんな微妙な音に気を使うようなバンドか?とか突っ込みつつボォ−と立っていると、客電が落ちる。「うぉぉぉぉ!!!!」という地響きともとれるこの体験を待ち焦がれた私達の歓声の中、メンバー登場。“Is This It”のフレーズが淡々とそして熱をたっぷりと含んで流れだす。


 もう、なんだろ、このワクワク感!何かが確実にはじまっているという期待感が津波となって押し寄せてくる。ロックに社会や、人生や、感情を移入することは危険かも知れない。自分の存在価値をそこに見つけ、違う世界を疑似体験するもきっと現実逃避なんだろう。だけど、くそったれな現状の生活に新しい興奮を与え、過去も現実も未来も全部ひっくるめて、認めそして打破したいと願うパワーが音楽には、ロックにはあった。そして、今もある。すごい大層なこといってるけど、心踊る新しい魅力に出会ったときの「これだっ!」という高揚は、なにごとにも変えられない快感。自分の中のパワーを溢れさすには充分なエネルギーとなる。

 やっぱりロックだよ!!!!!!!!
いま、彼等のライブに出会えたことをラッキーに思う。
text by 浦山

 
 The Storockes

 2002.2.12.mon

 ON AIR OSAKA

セットリスト

1.Is This It
2.The Modern Age
3.Barely Legal
4.Ze Newie
5.Soma
6.Someday
7.Alone, Together
8.Last Nite
9.Meet Me In The 10.Bathroom
11.Hard To Explain
12.NYC Cops
13.Trying Your Luck
14.Take It Or Leave It


| Live

| Top | NewsDiscFuji Rockradiohead映画エッセイモニターにその他真・雅掲示板Link |