RAGE AGAINST THE MACHINE

2000.6.28.wed
大阪城ホール


 

  “怒り”って、すごく正当な自己表現だと思う。だって、日々日常は思いどうりに行かないことばっかりで、自分にも他人にも社会にも腹の立つことばっかりだもの。拳上げて奮い立たせてみたくもなるもんさ。『The Battle Of Los Angeles』なんていう、ヒネリのかけらもないアルバムを出したレイジ。直接的だからこそ、その戦闘が期を熟していることがわかる。そんな彼等のライヴを見るんだから、こっちも戦闘体制バッチリでなきゃ。家から首にタオル巻いて現場のオッサン風に出動する。(←いや、何ごとも形から入るから(笑))

 開演前の空気の熱さからも、ライヴに対する期待度が高いのが良くわかる。だって、ローディーがチューニングしてるだけで、歓声がうなりをあげるんだもん。ちょっと鳥肌モンだった。そういう開演前のワクワクした気分は大好きだし、これだけオーディエンスが一体となってアーティストを迎えようとしてるライヴにハズレはない。それだけで彼等の偉大さを感じるし、レイジは幸せなバンドだと思う。
そして、現われた彼等。ザックの「こんばんわぁ」っていう挨拶にちょっとビックリしたけど(海外アーティストはみんな言うけど、ザックが言うとは思わなかったから)、おなじみの「We are rage against the machine from LosAngeles,California!」の叫びとともにライヴ開始。走りだしたら止まれない加速度で、大阪城ホールを巨大なライヴハウスにし、終演までの1時間30分、汗と、雄叫びと、拳の渦がグルグルと人を繋ぎ、大きな塊になっていく感じがしていた。

最初に書いたけど、怒りって単純でわかりやすい感情で、自分の意志や欲望を確認するためにも外に出して行くものだと思う。自分の位置を確保する為には、戦わなきゃいけない時もある。けど、それは自分の戦いで、他のものに転嫁させていくものではない。それは則ち、自分の体を張ってする事で、勝利するのも傷つくのも自分自身なのだということだ。レイジが他のメッセージバンドと明らかに違うところは、そのことを自ら体現しているからだと思う。傷つきボロボロになることはしんどいことだけど、だからこそ手に入れる自分の存在価値(位置)の貴さを彼等は示してくれている。みんなにその力はあるのだと叫ぶ。そして、それを聞いた私達も、雄叫びをあげ、拳を振り上げ、立ち向かっていく。

と、相変わらず大層なこと言ってるけど、結局、楽しかったし、力沸いてくるライヴだったってことかな。(ザックにペットボトルが、直撃したことだけはいただけなかったけど。投げた奴、殺!)ホント、彼等にハズレはない。今回で3回目になるけど、毎回新鮮で、圧倒される。ライヴ後も気持ちよく酒が飲めるってもんだわ。しかし、その後の筋肉痛には参った。体鍛えなきゃ、戦えないわ。text by 浦山


エライことになっていた。前回観たのが97年のIMPホールで、そのときもエライことになっていたが、またもやである。いや、今回はスタンド席にて暴れることが出来ずに「観て」いたので、驚愕させられること甚だしいのであった。
…前回は「これ以上暴れたら死ぬ…」とかいう思いが大きかったのか。

さて彼らは本当にゲリラであった。
ミュージシャンにゲリラという言葉を当てはめると何故か軽く響いてしまうのだが、彼らは楽器を持って、音楽を武器に戦っている、そういうゲリラなのであった。だからまず、音の鳴りが違う。
開演前にローディーがバスドラをキックしてみるだけで鳥肌が立つ。始めればそれらが乱射され、ホールにいる人間を打ち抜いてゆく。殺傷能力高いサウンドなのである。で、うおおおっ!と狭い座席で身体を揺すっていると3曲目、レイジらしくはない速いシンプルなビートが始まる。聴いたことねえな、新曲かな?と思った瞬間に弾かれたギターリフは…MC5の“Kick out the jam”だ!MC5といえば60年代に政治活動も繰り広げていた、元祖PUNKともいえるグループである。実は詳細は知らんが。Rockin’on誌あたりでは元メンバーのウェイン・クレーマーを「レイジよりもずいぶん早い、元祖戦闘員」などと形容したりするのであるが、ああ戦闘員つながり。この曲は、今では非常にストレートなPUNKソングといった趣なので、会場も非常に盛り上がる。もしかしたら「新曲ちゃう?」とか言ってるかもしれないけど、盛り上がる。

3枚のアルバムから比較的に満遍なくチョイスされた選曲で、昨年の3rdを聴いた時にも強く思ったのだが、トム・モレロの「好き好きLed Zeppelin」が炸裂していた。そもそも“BORN OF A BROKEN MAN”のリフはZEP色丸出しであるし、“VOICE OF THEVOICELESS”では“THANK YOU”のオルガンのようなサウンドをわざわざギターで鳴らしちゃってる始末である。で、公演中も曲に入る前にZEPのフレーズを爪弾いてみたりするのである。一度は、MC5のカバーやってるのもあるから本当にZEPやるのかも、と思ってしまったぞ。“No Quarter”を。

さてさて素晴らしいライブだった。何よりサウンドが、グルーヴが身体を直撃する。何度跳ね上がる衝動を抑えたことか。ああ返す返すもフロアでなかったのが残念無念であるよ。text by 佐藤賢隆

 


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