パンク!パンク!パンク!


 今から10数年前、私がまだ田舎のサブカル好き少女だった時、(小さかった頃の)『宝島』に載ってたチャーミーのカッコ良さはピカイチだった。細身の体に立てた髪、何かに怒っているような、何かを諦めているような目はいままで見たこともない魅力だった。が・・・もともとドラマティックで大げさな音が好きだった私には、単純なリズムもストレート過ぎるメッセージにもハマリきれなかった。けど今日、はじめての生ラフィンを体験して、その魅力を改めて突きつけられた。

 モヒカン、ビョウ革ジャン、ガーゼT、安全靴・・・いました、いましたよ、気合いの入ったパンクスが山ほど。ちょっと壮観な景色だった。単体で見ることはあっても、集団で集まるパンクスなんて見たことなかったし、みんなそれぞれ「ライブで暴れてやるぜ!」てな鋭気で挑みかかってくる感じが痛快。昔からのファンと新しいファンが入り交じったバラバラの年齢層もおもしろかった。でも90%が男の子だったなぁ。女の子も気合い一発って感じだったし、普通のT-シャツ着てフラッとやってきた私はちょっと居心地悪く、“ごめんね〜、パンクってグリーンデイぐらいしか聞かないのよ”って心の中でちょっと言いわけしたりした。(笑)

 オープニングアクトはBURLという大阪のバンドが登場。こういう若いバンドを起用していくことも、パンクの波を継続していくのに大切なことだと思う。飛び跳ねるように軽快なメロをぶっ飛ばしながら、楽しそうに演奏している姿を見てるとパンクの芯のぶっとさを感じずにはいられない。「ラフィンと同じステージに立ててうれしい!」という素直な言葉に表れているように、はじけるような楽しさいっぱいのライブだった。


 そしてラフィン・フラッグの前に気合いの入ったオーディエンスが集まり会場のボルテージが一気にあがっていく中、いよいよラフィン登場。実は昔のルックスを今の姿に期待は持っていなかったのだけど、いやぁ〜メンバーはまだまだカッコイイわ。その立ち姿で「こんな男になりてぇ」と思わすオーラがあるもの。私はいつも「ロックはルックス!」って言ってるのけど、そのルックスのカッコよさはアーティストが、自身と音楽にどのようなスタイルを持ち、そのスタイルを体現できているかで決まる。意志を持ったスタイルは佇まいに表れるし、音にも表れる(と思ってる)。そういう意味では、「パンクだぜ!」って正面切って言い切ってる彼等はカッコイイの一言につきると思う。ライブにも直球のパワーがみなぎってて、立ち上がれ!吠えろ!ってむき出しの思いをそのまんまを掘り投げていく、迷いがない音が溢れている。オーディエンスは、それを素直に受け止めて盛り上がる。すごーい単純なんだけど、単純だから夢中になれるんだよね。ラフィンが吠え続け、オーディエンスが暴れ続けた狂乱のライブは、約1時間30分の間、疲れを知らず走り続けた。

 けど、あまりにも盛り上がり過ぎて回りの見えないオーディエンスもいて、自分勝手=パンクとちゃうねんぞ!って突っ込み入れたくなったのも確か。まぁ、そういう輩はどこのライブにもいるんだけど、ちょと迷惑なんだよね。

 とはいえ大盛り上がりのライブは良い汗が流れ、終わった後はなんとも言えない爽快感で満たされてた。なんでもそうだけど、これは体験しないと判らない。迷わずいけよ、行けばわかるさってことだ。最初は少しノスタルジーを持ちながら見に行ったライブだけど、そんなものはいつの間にか吹っ飛んでいた。「うぉぉ〜」って言いながら拳を上げた瞬間の一体感は、リアルな音じゃないと感じないもの。彼等のスピードは衰えず今も走り続け、きっとこれからも走り続けて行くのだろう。text by 浦山

 
 ラフィンノーズ

 2002.1.13.sun  

 心斎橋クラブクアトロ


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