このバンド"買い"です!!

 

 なにせ「The Music」というバンド名からして人をくってる。インタビューでは"自分達にとって大事なのは音楽だけだから"と語ってたけど、このド直球ストレートの命名を本気でつけた単純バカか?音楽界を皮肉るシニカルなガキか?ライブを観る前のCDの音源ではなんとなく後者のイメージだったんだけど、間違ってた。こいつら、大マジだわ。マジでど真ん中をドカドカと突き進んでる。久しぶりにハート印を満開にしたくなる音楽バカのライブを楽しめた。

開演19時をほんの数分過ぎた頃に会場に入ると既に1曲目が終わろうとしていて、最初の出だしを見損ねたことを激しく後悔したけど、ライブのグルーヴに乗り遅れることはなかった。途中から入ると最初の盛り上がりで形成される一体感に乗り遅れることがあるのだけど、今回はアーティストにとっても、オーディエンスにとってもはじめてのライブだったから、手探りの程よい緊張感があって、それが疎外感を与えない暖かい空気を生んでいたのかもしれない。

雑誌などで取り上げられているとはいえ、ミニアルバムしかリリースしていないUKの新人バンドが会場をほぼ埋めるほど集客力があることに驚く。洋楽不況と言われている今の状況は、ライブに行く、行かないの取捨選択もシビアになっていきていると思っていたのだけど、(日本の音楽ファンのもつ)イキのいい音を求めるアンテナの敏感さと、お互いに楽しもうとする心の解放具合が嬉しい。

そして、The Music×ライブ。平均年齢18歳という若すぎるぐらいの若さ。目の前で見るとお肌もピチピチで若いオーラがキラメいているのだけど、ボーカルのロバートの異端さは尋常じゃない。コイツやばいっス。まず尋常じゃなく細く、顔が小さい(ホント握りこぶし位しかないんだ)。そして、会場と同じビル内にあるワールドカップオフィシャルショップで買ったのか(?)、アルゼンチンの背番号10のユニフォーム(マラドーナか?、ちゅーかなんでアルゼンチン?)にアディダスの短パン、そしてロン毛のクルクルパーマ。男前の顔してんのに、まったく意味不明のスタイルにリズムに乗れてないヒラヒラ踊りを全開で踊る。あまりの異端さに長々と説明してしまったけど、このロバートを見てるだけでもすごく楽しい!うれしい!!おもしろい!!!で目が離せなかった。その佇まいにはストーンローゼスやオアシスで感じた、立ってるだけでワクワクとさせられる不埒な魅力がただよう。ロバートがガニ股で踊り、綺麗な顔したアダムが下を向いてギターを弾くさまからは、やっぱりローゼスの雰囲気か。この"愛すべきロックバカ"の佇まいは、はっきり言っておしゃれでもスタイリッシュでもなんでもないのだけど、なんだか見てるだけでテンション上げさせられる。

見た目のルックスだけでなく、音楽にもその異端さは満開で、サイケデリックな要素をもつ曲は1曲が5分以上あり長い。しかし、その長いループの繰り返しのようなリズムが変化に飛んでて飽きさせずに体を揺さぶる。ファンキーなリズムを淡々と繰り出すベースとドラム、この独自のグルーヴを支えるリズムを引き裂くように響く硬質高音のボーカルとギター。耳にキーンと響くこの音が、時に心地よく、時に脳を逆行させて変化を持たせてトリップロックと化す。若干18歳の彼等は天然でこの緩急を身につけているんだろうなぁ、恐るべし!この"スマパンやニルヴァーナのようなラウドなギターサウンドが好き"とインタビューで言っていたけど、確かに浮遊感の中に硬質でありながら太く重いまっすぐ芯の通ったギターがうなる。ギターの音が大好きな私は、ギュィ〜ンとギターが響きが容赦なく体に突き刺さる。気持ちいい!!!

ストロークスを引き合いにださずとも、今、時代に求められリンクしているのはやっぱりROCKだ。そしてその求める声に応じて、これから何かがはじまるのでは?という期待感も、今だけ楽しければいい!という刹那も、全部ひっくるめてブレイクスルーするイキのいい新しいバンドが生まれている。この久しぶりに吹き抜けるロック嵐ににゾクゾクしているのは私だけじゃないはず。その嵐の中に確実にこのThe Musicはいる。ゾクゾクするROCKの勢いを感じたいなら、出来ればライブで、無理ならCDで彼等の音を体験して欲しい。これから"TAKE THE LONG ROAD AND WALK IT"歩いて長い旅をしていく彼等は、これから悩み、憤りながらもきっとおもしろい音を無限に放出し続ける、そんな気がしたライブだった。

text by 浦山

 
 The Music

 2002.5.12.mon

 心斎橋 クアトロ

セットリスト

●THE DANCE
●JAG TOWG
●HUMAN
●NEW:INSTRUMENTAL
●THE PEOPLE
●TURN OUT THE LIGHT
●ALONE
●TAKE THE LONG ROAD AND WALK IT
●DISCO
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●THE WALLY CG SMALLER


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