JJ72

 2001.3.4 sun

 心斎橋クラブ
 クアトロ

初期衝動のパワーをぶつけられる気持ち良さ!


 ギターを手にディストーションのかかった歪んだ音を鳴らすとき、そこには自分の欲望や苛立ちを音に託す意志があると思う。少なくとも私は、そう感じる。そして、アーティストのそんな自己発散の音を投げつけられるライヴは大好きだ。

 3月4日、突風が吹き荒れる大阪の街を闊歩して会場のクアトロに入ると、新しい音に期待するファンの熱気と、それに反比例するようにクールに響くスマパンの『Mellon Collie and the Infinite Sadness』。似付かわしくないSEだな、なんとなくそう思っていた。「誰にもわかってもらえない」という絶望と「わかってくれよ」というエゴが交差する『メロンコリー〜』と、若干20歳の勢いある新人バンドを待つ熱気とが、しっくりこなかったから。

 しかし、彼らが登場し、1曲目の「october swimmer」が鳴ったとき、その状況は一気にシンクロナイズされた。粗削りだけどしっかりしたバンド音に、せつないVoマークの声が重なると、現状に満足できない苛立ちと、自分たちの存在を知って欲しい欲求の音が、熱く重く伝わってくる。自ら作り上げた暗闇でもがき出口を探す。

 音楽をやる初期衝動は過去も現在も同じなんだよね。最近の私は、空虚な電子音に現在のリアルを感じてたりしたんだけど、衝動をそのまんま音にした荒いギター音に、血も肉も通った人間をストレートに感じて改めて音楽に感動する。これもまた、リアルな現実なんだと。ラストにギターをぶっ壊すアクションさえ、色あせてない衝動に思えた。

 1時間と短いショウではあったけど、ポップでせつない重さを持ったその音と佇まいは、十分にロックの楽しさと可能性を教えてくれたライヴだった。

 終演後に、メンバーが出てきて握手してくれたのも感激した。アーティストと直接スキンシップのとれる嬉しさを知ってる、彼らも私たちと同じいち音楽ファンなんだという身近さを感じた。    text by 浦山


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