SUMMER REVIEW ep FANTASTIC PLASTIC MACHINE
田中知之ことファンタスティック・プラスチック・マシーンって間違いなく渋谷系なんだろうけど、それじゃぁ、あんまりだ。だいたい渋谷系なんて言葉自体が今はもうちょい昔という感じだ。そんな呼び方なんか、もうよろしい、わかればいいわけ。じゃぁ音のほう。いきなり一曲目からカヴァー。ユーリズミックス。これ最高です。メチャメチャいい。単に曲をカヴァ−するだけするだけでおわらせるんじゃなくて、こんな夢見心地なポップスをやってしまったのは、このプロジェクトならではのことだ。昔の遺産からイメージでそのエッセンスを今につなげて、しかもわかりやすくシンプルに出すって、よっぽど感性が冴えてないとできないことだよ。もう話はそこから。            Text by 梅木

 

 

The Future Of War Atari Teenage Riot
濃いのを一発。ロック系。気分はノイジ−な傾向にあって、音楽的にはハードコア。枠組みは崩れる一方。この勢いはすごい。当然、これはただのハードコアなんかじゃない。音のほうはズバリもうデジタルハードコア。こいつら散布羅ーをマシンガンのように使う。ビースティーをめちゃくちゃ速くしたみたいな。ロックともテクノともヒップホップともつかない。バンド、ソロ、DJ、すべてが全開。思いっきり疲れた。とにかく、曲を聴く的な頭を吹き飛ばしてくれる熱狂の渦がすばらしい。要するに、感覚一発出したとこ勝負とその持続力の凄みがジャンルを関係なくする好サンプル。こいつはスゴイぞ。     text by 梅木

 

 

Homework Daft Punk
ケミブラのリミックスを手掛けたことでも有名なフランス出身のDJユニットのデビューアルバム。DJスタイル全開、クラブノリ。とーぜん強いとなると、もうダメ、興味全滅という人も少なくないのだろうけど、まぁダフト・パンクは大丈夫だと思う。でも、テクノ、クラブ系=プロディジー辺りを連想してしまう人にはけっこう頭の痛い内容かも。あそこまでポップスとしての機能性は高くない。流し聴きとかチョイスって感じでピタッとくる音。とりあえず、ダフト・パンクのデビューアルバムは、そういう感じで耳に入ってくるってことでいいと思う。
                              text by 梅木

 

The First Of A Million Kisses Fairgrand Attraction
今は亡きフェア−グランドの88年に発売されたたった1枚だけのオリジナル・アルバム。ひょっとするとこのアルバムは、アズカメやベルセバあたりが好きな人にとって家宝になるかもしれないものだ。それほどのロマンティシズム。穏やかで、懐かしく、少し寂しい……。で、音楽的にはトラッド色が強いというか、もうまんま、みたいな。とりあえずフォークっぽいやつが好きな人にはアタリでしょう。シングル・ヒット(全英1位)の『パーフェクト』はポップ・ミュージック史上にに残る名曲だと思う。この曲よりいい曲なんて、そりゃあることはあるだろうけど、そうはないです。             text by 梅木

 

 

In The Court Of The Crimson King King Crimson
とりあえず、1曲目の『21世紀の精神異常者』でやられてしまうわけだ。ギター、ベース、ドラム、サックスのカラミでぐいぐいいったところに歪んだヴォーカルが入ってきて、ななめのめり、後ろのめり等、変な迫力が出てくる。で、あとの曲はやたら神妙な感じだったりする。特に3曲目。これは最高です。聴いてると夜のイメージや孤独といったイメージを抱かせて、聴くものをどこかへ連れていってしまう。でも、ゼーンゼン、ロマンチックなんかじゃない。陰鬱な手塚治虫の世界みたいな。そっち系。こんなことを平気で書くぼくは、気が狂ったんだと思いますか?とひたすら落ち込む。けっきょく1曲目と3曲目のことしか書けなかったけど、5曲目のコーラスのところなんかもキてるし、全曲カッコイイよ、やっぱ。                   text by 梅木


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