JUMP UP

SUPER CAR

Text by 浦山

 

若い頃ほど、後ろをふり返ってみることが多い。思春期の熱病かもしれないけど、過去よりも何倍も多い未来を見るより、10年や20年そこそこの過去をふり返っては、褪めたため息をついたりする。若気の至り・・・そうなのかも知れないな。

スーパーカーの歌詞にはやたらと「?」が多い。しかしそれは、確信の持てないことへの問いかけの「?」でも、自分の存在を確認するための「?」でもない。「?」を「?」のままにしていて欲しい甘えと、答えなど所詮ないんだっていう、諦めに似ているようで全く違う、強い自己意志。「自分で自分の風に乗って時間と時間をまぜるのさ」の『サンデーピープル』「前へ前へとカジをとるのは 前の見えない怖さ、弱さをわかるからなのに」の『Talk Talk』代わりの効かない自分という存在を見極めて、主張していくバランスの良さ。奴らはけっして、脆くも危うげでもない。けっして曲がらない。デジタルとかアナログとか関係なく音をパーツとして組み合わせるやり方は、サンプリング世代の今的方法だったりするのだが。しかし、このバンドがやるとデジタルなものさえ生っぽく聞こえる。出だしと終わりに、アナログ盤のようなノイズを加えていたりしても、そんな策略とは関係なく、これはこのバンドの個性だと思う。ギターの音がやたらグランジ世代の私のツボを刺激し懐かしささえ覚えるのは、青森とのタイムラグか??ってことは無いにしても、やたら音楽討論家が絶賛するのはどこか心地良い懐かしさがあるからだと思う。普遍的なものかもしれないけど。現代性と懐古性。相反するものが同居し共存共栄している稀有さがこのバンドの魅力かもしれない。この時にしか出せない音。彼等は確実にそれを切り取ってるから、キラキラと眩しく、そして懐かしい。

 

 

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