WITHOUT YOU
I'M NOTHING

PLACEBO

 

メディアでは何かとヴォーカル、ブライアン・モルコの男とも女ともつかないグラマラスなビジュアルや映画『ベルベットゴールドマイン』の中で架空のグラムロックバンド役でT・レックスの『20th センチュリー・ボーイ』を演奏していることもあってか"ネオ・グラム"と言う扱われ方をされているプラシーボだけど、僕はそうは思わない。まあ、僕がグラム・ロックを直接聴いていた世代ではないので、このように感じるだけなのかもしれない。多分、グラム・ロックと似通った印象を持つ人は少なくないのだろう。 事実、彼らの『20th センチュリー・ボーイ』は本当にかこよくて、グラム・ロックの魅力を存分に伝えていたし。しかし僕にはプラシーボがこんな安易な形容で終わってしまうバンドだとはどうしても思えないのである。アルバムの素晴らしさを十分に予感させてくれる先行シングル"ピュア・モーニング"で始まるこのアルバムは様々な感情、特に人間の極限状態におけるそれが、激しいギターサウンドや美しいメロディにのせて唄われている。ブライアン・モルコのヴォーカルは曲ごとに様々な表情をみせ、その感情を直接僕らの胸に響かせてくれる。このアルバムは決してグラム・ロックの焼き直しとかそんなものではなく、彼ら独自の音楽観、世界観を確立させた今のロック・アルバムである。そもそも、デビュー盤がわずか三週間で作ったという新人バンドにはありがちなケースなわけで前作を聴いて大した印象を持っていない人も多分いることでしょう。 そんな人も、またブライアン・モルコのルックスをUKのビジュアル系か?とか思ってちょっと引き気味の人や、まだ彼らの音を聴いたことがない人にももちろん聴いてもらいたいアルバムです。                  Text by 近藤

 


| home | menu |