Mechanical Animals

MARILYN MANSON

最初に告白しておくが、私はマリリン・マンソンをこのアルバムまでちゃんと聴いたことがない。言い訳をさせて貰えば、あのゴシック的な自己武装と、ドラマティックな扱われ方に、どこか拒絶反応をおこしてしまっていたのだ。
しかし、この『メカニカル・アニマルズ』を聴いて、なんとなく今まで聴けなかった理由が判ったような気がする。
マリリン・マンソンという自爆装置に近付くことが怖かったのだ。

浅い傷は、そこから流れ出す少量の鮮血とともに笑えるし、酔える。しかし、深くえぐられた肉や血は、グロテスクに黒光した内蔵を露にし、人々の目を覆う。
そして、存在を認めたくない拒絶された物体となる。
「それは、見てはイケナイモノ」「可哀相だけど、怖いもの」
その、グロテスクな内蔵によって、私達人間は成り立っているのだが、美しい皮膚に覆い隠されてるのをいいことに、“それは普段見なくてもいいモノ”陰に隠れて動いてさえいてくれればいい、優しく拒絶された物体にしてしまっているのだ。

前置きが長くなってしまって、何が言いたいのか解らなくなってきたが(笑)、
この、マリリン・マンソンの『メカニカル・アニマルズ』は内蔵から生まれてきたような、アルバムである。頭でも、心でもない内なる生物。およそ感情の欠片など持たないと思われている、生命体。それらを、1つ、1つ、外に投げ出し、1つの生き物として存在させてる楽曲。そして、空洞になった生物をさらし、その存在を嫌でも認識せざるえない、聴後感。
ドラマティックな展開と重いギターロックにのせて行われる、自爆行為。
ROCKって“重たいもの”だったんだよな、と再認識させられた。
“ミテハ、イケナイモノ”として通り過ぎるのは、あまりに勿体無い。見せ物小屋の奇人として、好奇の目で聴いてみてもいい。聴くべきだ。
そこらのガキ、携帯電話かけてる暇あるならマリリン・マンソン聴けっ!
自爆して、最盛しろっ!                   TEXT BY 浦山

 

home | menu |