13

Blur

Text by 浦山

BLURって解りやすいバンドだな、って思う。1作毎に変化をしてきたバンドだが、その展開が解りやすい。初期衝動があって、テンション高めの何やっても楽しい時期があって、勢いだけで乗り切れない脳味噌渦巻く時期があって、苦悩期に突入。そして次の扉を開いた。ココまでが、前作までの展開。ね!解りやすいっしょ。ある意味、ブラーは前作で1つのストーリーを完結させてるんだと思う。映画なら、はい、パッピーエンド。ENDマーク。パチパチってことだ。そして、この最新作『13』。Vo,デーモンの恋の終わりの歌『TENDER』から始まり、いきなり今までの彼等とは違う印象を突き付けられるのだが、しかし、この哀愁たっぷりの失恋ソングは、アレンジの大袈裟ささとは裏腹に全然悲しそうに聴こえない。自分で切った浅い傷口を、人に見せびらかしてるような幼さがある。“俺ってこんなに傷ついちゃってるんだ”幼い自己顕示欲。自分の中の小さい世界。BULRは変化していってるが、変わっていかないものはちゃんと底に残っている。世紀末がやってこようと、地球が汚染されようと、人間が添加物に犯されようと、結局考え悩むのは、今日と明日の自分のこと。あの娘とのこと。俗っぽさが、現実であり夢物語りだったりする。私達の日常。そんな日常の場所にBULRは居続けている。渾沌も甘えもグルグルに混ぜてぎゅっと押し込めた感もある『13』だか、それがバラバラの印象を受けないのは、俗っぽい日常の自分から(音を)発してるからだと思う。やりたいこと、思いついたこと全部詰め込んじゃいましたって感じも判り易くて好きだ。本人達はそんなノー天気でも無いんだろうが、これからもいろいろ悩み考えて、そのままを形にして欲しい。いつでも“再生ボタン”を押せる日常の音。身近で遠いこの音は、常に私達が求めてる音だから。

そしてなんと彼等はフジロックに出演決定!今現在のありのままをステージで見せてもらおうじゃないの!

 

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