Press Clipping

ギターマガジン1999・3月号 ( P.206 )



 ブートレッグ・シリーズの特徴は、各機種がそれぞれ特化した専門的なカラー を持っていること。 つまりプレイヤーが各自のサウンド・スタイルに合わせて、好みの機種を選 択できるというわけだ。特に歪み系のエフエクターにおける、オリジナリテ ィ溢れるコントロール・システムは他に類を見ない斬新なものだ。そして、 試奏を通して何よりも際立っていたのは、ギターとアンプの持つ“味”を決 して壊さないにも関わらず、必要なエフエクトを十分に得られるということ。 厳しい素材選びと、1台1台をわけへだてなく作り上げることによる、まさ にハンドメイドならではのハイ・クオリティを実現したシリーズと言える。 まずは、全機種のプロフィールからご覧項こう。

PROFlLE
文:栗原務
GAlN HELPER GHP-1.0
 基本はブースターだが、単体でもクランチ程度の歪 みを再現する。サウンドは、ファットでありながら素早いアタック感を持っ ているといった印象。ブースターとしてはもちろん、ピッキングの強弱で歪 み具合いに変化をつけるようなブルージィなプレイに対応できるキャラクター だ。
Rock'nRoIlParty RRP-1.0
 弦を弾くニュアンスだけで歪み具合いを自在 にコントロールできるオーバードライブ・ユニット。 最近のユニットで、ピッキングの強弱にこれほどセンシティヴに反応してく れる機種は珍しい。また、パンチの効いたアタック、そして張りのある低域 は非常に魅力的だ。ブルージィなセッションでは問違いなく活躍してくれそ うだ。
HIZUMI HZM-1.0
 ボディ材の違いやピックアップの特性を生かし
た音作り を可能にする“RANGE”ツマミにより、エッジの鋭いキャラクターからメロ ウなテイストまで、いとも簡単に作り出すことができる。驚かされるのは、 高いゲイン設定を施してもコード感を損なわないところ。ハードなサウンド でのバッキングにも無理なく対応してくれる。音の太さも魅力だ。
HIZUMl HZM-1.2
 “HIZUMI”シリーズの第2弾である本機は、前機種より もさらに図太く、長いサウンドを再現したモデル。太くなった分、やや丸み を帯びたキャラクターという印象も受けるが、それと同時に高域の抜けも若 干改善されたようだ。前機種同様、クランチからディストーションまで、カ バーできるキャラクターはかなり幅広い。ハードな歪みも得意だが、特に印 象的なのはビンテージ・テイストを漂わせたクランチ系の音色。かなりダー クなトーンだが、それが枯れ具合いに一層拍車をかけていて、なかなか心地 好い。
JAZZ FUZZ JZF-1.0
 “JAZZ”と銘打たれてはいるが、本機はいわゆるファ ズ・ユニットだ(ここでの“JAZZ”は“興奮する”という意味)。文字どお り、その 60〜70年代テイストのファズ・サウンドには興奮させられる。 それを可能にしているのが、新開発の“VINTAGE”コントロール。往年のフ ァズ・サウンドが堪能できるはずだ。また、ギターとべース、両方に利用で きるというのも特徴のひとつ。
Jaw Breaker JBK-1.0
 “HEAVY”と、“BREAK”というふたつのコントロー ルにより、綿密な音色設定が可能な歪み系ユニット。“BREAK”で歪みの量 を、“HEAVY”では低域の出方を決定する。“HEAVY”がゼロだ
と、一般的な エフェクターとそれほど大差ないキャラクターだが、ツマミを上げていくと 徐々に重厚な低音を聴かせてくれる。HR/HM系のボトムを効かせたサウンド を狙うなら、試してみる価値ありだ。ちなみに全開にすると低域成分が増え る分、高域が目立たなくなりメロウなトーンとなるが、レべル・コントロー ルで安定したドライブを放つ。また、アンプ・シミュレーター的に利用する ことも可能だ。
Cool-Man COM-2.0
 “ワウ半開き状態のサウンド”を再現してくれるのが このモデルの特徴。たった100台しか存在しなかったという初代 Cool-Manの 機能を継承し、さらに広い音域の音色設定を可能にしたのが本機だ。“ SPECTRUM”(ペダルの開き具合いの調整〉、“EDGE”(トーン調整)、“ MASTER”(出力レべル設定)という3コントロールのみで、その狙いを実現 しているのは見事。さらにー般的なワウでは表現できない超低域及び、超高 域までも表現できる。この手のエフェクターは、鼻詰まり系のリード・トー ン演出に威力を発揮するが、本機はその他にミッド・ブースト効果も期待で きる。
Dee Spider DSP-1.0
 音量を周期的に増減させるのではなく、“音量の ON/OFFを連続して行なう(つまり、マシンガンやドリル・サウンド的な効果 を再現する)というユニークないトレモロ効果を生む Dee Spider。音のイ メージとしては、DJ系ミキサーのミュート・スイッチを連続してON/0FFする 感じ。オーソドックスなサウンドより、エフェクティブなサウンド演出に威 力を発揮するはず。ステレオ・アウトなので、ギター以外のソースに利用し ても面白い効果が得られそうだ。

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