・割烹 鶴林    大阪市中央区東心斎橋2−6−23
    (懐石料理)         ※現在はご主人が独立されて近所に移転



 この店がある笠屋町界隈は昔はお茶屋街だったところ。
 料亭の大和屋なども並びにある。
 茶屋を譲り受け割烹として営業をしているこの店の外観は一見敷居が高そう。
 が、一歩店内に入ってみると気さくで腰の低いご主人をはじめとして若い連中が明るく迎えてくれる。
 出掛けたのは昼。昼間は個室が空いていればそちらに客を案内するようである。ちなみに昼は部屋代は取らな
 い。朱塗りのカウンターを左手に見ながら店の奥へ。ご主人が愛想良く声をかけてくれる。
 昼は5000円のお弁当と7000円の懐石料理。予約時に懐石でと告げている。
 店員には女性の姿は見られず、料理を運ぶのも若い衆の仕事。
 まずは食前酒の梅酒が鱧の煮こごりと共に運ばれてくる。細かな氷片の浮いた梅酒をクイッと飲んでさて料理。
 ・鱧の煮こごり
 ・お造り(鱧、鯛、生タコ)
 ・海老、茄子、冬瓜、長いもの味噌がけ
 ・海老しんじょ
 ・わたり蟹と餅米の箱蒸し
 ・鱧とじゃがいものくずあんかけ
 ・じゃこ御飯
 ・メロン
 鱧でのスタートで梅雨明けを感じさせてごきげん。あっさりと控えめな味付け。具は鱧以外に枝豆や里芋など。
そしてお造りでまた鱧。続けざまに同じ素材というのはどうか。しかしこの鱧が実にうまかった。身の弾力、噛みし
めるほどに口の中にとろけるように拡がる旨み。にんまり。海老、茄子、冬瓜、長いもの味噌がけは冷たい一品。
個人的にはこういうのは好きなのだがどうこういう料理ではない。海老しんじょは上品でおとなしい出汁。ほっと落
ち着く。「永谷園のお吸い物」がお椀の味だと思っている人には肩すかしの味だろう(笑)。わたり蟹と餅米の箱蒸
しは「どこが蟹?」といった印象。まああんまり蟹の風味が効きすぎているのもかえってくどいだろうが。鱧とじゃが
いもの葛あんかけは「揚げ出し豆腐の鱧版」といえば手っ取り早いか。アツアツの一品。ここでもまた鱧。確かにう
まいんだけどね。うーん。このあと御飯と水菓子。
 いくら季節とはいえ6品の中で3品に鱧が使われているというのはどうか。「鱧コース」というのならともかく。
 料理は全体的に見ておとなしい優等生といった印象。そつはないのだがこれといってインパクトもない。正統派
の割烹とはいえ1品くらいは意表をついた料理があってもいいのでは。
 サービスに関しては料理の上げ下げのたびに「失礼します・お下げします」などの言葉があり、くどい感じがし
た。皿の数 X 「失礼します・お下げします」である。いちいち声をかけなくとも決して失礼ではない。この店に限っ
たことではないのだがこれは日本の悪い風習だと思っている。
 カウンターの見える個室だったのだが、当日TVの取材があったようで店の雰囲気に合わないスタッフ達がカウ
ンター周りに数人いた。まあこちらは個室なのでなんら影響はなかったのだが、こういうのは客のいない時間か休
店日にするべきではないか。帰りにご主人が恐縮しておられたが(笑)。このご主人、腰が低く実にいいお人柄の
ようである。今度はカンウターに座ってお話させていただきたいものである。(余談だが以前「料理の鉄人」に出演
されたこともある。)
 勘定書を見てみるとサービス料、消費税は含まれていなかった。うれしい誤算であった。
 

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