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OP・芝居一場
客入れの音楽が聞こえなくなり
暗転
緞帳上り」
島川「ねえ、木村君。」
木村「なに、島川君。」
島川「…僕ね、子供の頃、お母ちゃんに連れられてバレエ見に行ったことあんねん。たぶん…雲の上やったと思うねんけど、綺麗な天使がようけいてはって踊ってはんねん…ほたらそこへ橇がシューッと」
木村「雲の上を?」
島川「ううん、雲の中を、雪の山から下りてくるみたいに…シューッと」
木村「誰か乗ってはんのん?」
島川「うん…綺麗なお化粧した男の人と女の人…ほんでね、その橇が行ってしまうと灰色の雲が右と左に分かれて、大きなお城が出てくんねん、金色の…キラキラ輝いた大きなお城や…。」
原西「いや、俺が指揮をとるのはまずい。」
竹若「けど、あんたがとってくれんと皆の気持ちが一つになっていけへんやないか。」
原西「始めからバラバラなもん、なんで一つにせなアカンねん。」
竹若「生き残りとないんか。」
宮川「べつに」
竹若「そういう投げやりなこというのはやめてくれよ。」
原西「宮川の気持ちも分かる。」
竹若「分かったらアカン!始めはみんな敵に向こてたやないか。」
宮川「見えとりゃな。」
竹若「見えてるやないか。」
宮川「ほな?おまえには今でも敵の姿が見えるんやな?」
竹若「…」
宮川「何処に?何処に見えんねん!」
竹若「…」
原西「確かにここへ来た時には見えとった。いや、そんな気がしてた。」
宮川「けど今は、82ミリの迫撃砲弾と鉄砲の弾が気まぐれに飛んでくるだけ。運の悪い奴は頭撃ち抜かれて、一人減り、二人減り、その運も尽きた奴はこないしてヘビの生殺しや。」
竹若「そやから敵はおんねん。」
宮川「見えへん敵は倒されへんねん。」
竹若「あんたに指揮とってもらわんと」
原西「俺はアカン…俺はようせん。」
竹若「なんで?なんでや?」
原西「なにに向こて行ったらええねん…分らへんやないか。」
宮川「弾に向かうしかないやないか!」
竹若「違う!弾を撃ってる奴を倒すんや!」
原西「もうええ!おまえら勝手に闘うてくれ。俺はもう下りるわ…」
竹若「卑怯者…」
宮川「えげつないことよう言うわ。」
藤本「頭は下げとけよ、生き残りたかったらな、ええか敵の狙撃兵を捜しや!大砲の弾は心配せんでもええ、直撃受けん限り死にゃせんわ。」
高橋「ここは何処や‥」
星田「知るかいな…空からポーンと突き落とされて無我夢中で撃ちまくってるうちは必死やさかい、ええわいな。」
高橋「慣れっちゅうのは怖いもんやね。」
星田「気がついたら、ここが何処やら、今がいつやら、かいもく分からへん。」
高橋「どこぞに逃げよ思ても地図も磁石もあらへんさかい…往生しまっせ。」
藤本「あのな、接近戦で心臓ねろて撃ったら最悪やで、反射的に体そらして撃ち返しよるからな。腹撃つねん、腹。ほたら二つ折りになって、万が一、引き金引きよっても弾は地ベタに喰い込むだけ。どないや、知らんことあったらなんでも聞いてや。いわゆるウォーキングディクショナリー言うやっちゃ。おい、ちょっと聞いてんのかいな。人が話ししたってんのに返事ぐらいせえよ、返事ぐらい…なんや、死んでるで。」
島川は塹壕にへばりつくように咲いている一輪の花を指し
島川「木村君」
木村「なに、島川君」
島川「…ホラ、こんなとこにも花が咲くんやね。」
迫撃砲の砲弾が近くで炸裂したらしい
迫撃砲の砲弾が飛来する。
舞台にある廃墟をかすめたらしく上方から土砂や石ころが落ちてくる。
二階に人影が見える。扉の落ちた二階の入口をその人影が素早く横切る。
なにを思ったのかその人影はゆっくりと入口に姿を現す。上手から身をかがめて手を伸ばし、その人影を制しようとしている。人影はライフルを置き、撃つなら撃てとばかりに仁王立ちになり腰のホルスターから拳銃を抜いて…撃つ
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