西洋占星術問答

01/03/02 「冥王星陥落?」


01/03/02 「冥王星陥落?」 1990年代以降、TNO(海王星以遠天体)の発見が相次いでいる。これに伴い、冥王星の惑星としての地位が大きく揺らいでいる。

 学生時代を20世紀に通過した我々は、学校の先生から太陽系の惑星は「水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星」の9つの星が存在すると教えられて来ました。ところが、21世紀はその中の冥王星が惑星よりTNOへと格下げされる可能性が高まって来ました。丁度、日本の国債をムーディーズやS&Pが格下げするみたいですね。←なんのこっちゃ!

天文年鑑2000(誠文堂新光社)より
  赤道半径 地球比質量 軌道長半径 軌道離心率 軌道傾斜角   AU理論値 誤差
水星 (km) 2,440 0.05 (AU) 0.38 0.20 7.00 0.40 5.3%
金星 6,052 0.81 0.72 0.006 3.39 0.70 2.8%
地球 6,378 1.00 1.00 0.01 --- 1.00 ---
火星 3,397 0.10 1.52 0.09 1.84 1.60 5.3%
木星 71,492 317.83 5.20 0.04 1.30 5.20 0.0%
土星 60,268 95.15 9.55 0.05 2.48 10.00 4.7%
天王星 25,559 14.50 19.21 0.04 0.77 19.60 2.0%
海王星 24,764 17.20 30.11 0.009 1.77 38.80 28.9%
冥王星 1,195 0.02 39.54 0.24 17.14 77.20 95.2%
*軌道離心率の数値が大きいという事は、軌道がそれだけ楕円形になるという事。
*軌道傾斜角の数値が大きいという事は、太陽と地球を中心に考え一定の帯の中から斜めに外れて動くという事。
*AUの数値は、太陽から地球までの平均距離を1天文単位とし、太陽から各惑星までの平均距離を数値化。
*AU理論値は、ティティウス=ボーデの法則における各惑星ごとの理論値に対して10で除した数値。
*誤差は、AU理論値と軌道長半径(AU)実際値との乖離率。

ティティウス=ボーデの法則
 ボーデの法則ともいう。太陽から諸惑星までの平均距離に関する一経験法則。1766年J.D.ティティウスが考案し,1772年J.E.ボーデが自著に発表。地球までの平均距離を10として,ボーデの法則は4+3×(2のn乗)の形で表される。n=0は金星,1は地球,2は火星,4は木星,5は土星に対応。水星はn=−∞。n=3には対応する惑星がなかったが,n=6の値とほぼ一致するところに天王星が発見され(1781年),またn=3に対しても小惑星ケレスが発見された(1801年)ことから大きな注目を集めた。しかしのちに発見された海王星では約30%食いちがい,冥王星には全く合わない。

 上の表をご覧下さい。太陽系内の9つの惑星のうち、ひとつだけ変な星があります。それが前述の太陽系第9惑星である冥王星です。

 何が変かと申しますと、まず星自体の大きさが非常に小さいという事です。赤道半径の大きさを基準として、冥王星以外で最も小さい惑星である水星の約半分しかありません。また、地球の衛星である月と比較しても約2/3程度の大きさです。
 さらに、軌道離心率は冥王星以外で最も大きい惑星である水星より少し大きい程度ですが、軌道傾斜角にいたっては、これも冥王星以外で最も大きい水星と比較しても2倍以上の数値となります。
 つまり冥王星という惑星は、太陽系惑星群の中で最も小さな星であり、最も楕円を描き、最も傾斜しながら太陽の周囲を公転する星であると言えます。また公転の仕方も他の惑星とは異なり、冥王星が海王星軌道の内側に切れ込むような楕円形の軌道をしています。
 さらに冥王星にはカロンという衛星が存在しますが、このカロンと冥王星との関係も特殊です。例えば、地球と地球の衛星である月との関係で比較するとわかりやすいと思います。
 地球の直径を約60倍したところに月がいますが、冥王星の直径からすると約17倍のところにカロンがいます。地球の半径が約6,400kmに対し月の半径は約1/4の約1,700km。冥王星の半径が約1,200kmに対しカロンの半径は約半分の約600km。
 これらのデータの意味は、冥王星という惑星は自分自身が非常に小さな惑星であるにもかかわらず、自分の半分くらいの衛星を近距離で従えている事になります。
 その為、天文学者の間では「冥王星の元々の姿はカロンと共に海王星の衛星であったのが、何らかのエネルギーにより今の姿になったのでは?」との説があるほどです。

 私は個人的に冥王星に関するこれらのデータから、同星は太陽系第9惑星では無く前述したTNOにするのが妥当だと思います。公式な天文学界でも早ければ数年後、遅くても十数年後にはそのようになっていると思います。

 一般国民から見ると冥王星が惑星であろうがTNOであろうが、日常生活にはほとんど関係が無い為、余程の天文マニアでない限りどうでも良い事だと思います。ところが、冥王星に関する私の予想が現実のものとなった時、占いの世界、特に西洋占星術界ではかなりの混乱が惹起するものと予測されます。西洋占星術を主力占法とされている占い師さんで、20世紀の常識が正しいものと信じ込んでいる頭の固い「頑固ちゃん」は右往左往するでしょう。

 占い師の多くは、一度自分の脳細胞に染み付いた理論体系を正しいものと信じ込む習性がある為、今までの常識がくつがえった時にフレキシブル(柔軟)に対応出来づらい体質があるのです。私はかなり以前から、冥王星の惑星としての地位に関して懐疑的な意見を持っておりましたが、西洋占星術系占い師の多くはそのような考えを持っていないみたいです。

 それでは何故西洋占星術の専門家で無い私が、冥王星の惑星としての地位に関して懐疑的な考えを持つに至ったのかを、以下で説明させて頂きたいと思います。

 何故占いが有効なのか(当たるのか)? 一見くだらない質問ですが、この質問に対して完璧に答えられる占い師が日本国内にどれだけ存在するでしょうか? ある西洋占星術の占い師が自問自答しています。「じゃあ、なんなんだ? 占星術が有効な理由は!! って言っていると、答えは『わからん』なのです」と。

 実は正直に告白すれば、この某占い師さんとのメールでのやりとりによって、私自身の冥王星に関する諸々の考えを持つに至ったわけです。

 この某占い師さんは非常に正直者だと思います。上記の質問に対して凡才占い師は次のように答えるでしょう。「卜術(易やタロットなど)を除く占いは統計学だから有効なのだ」と。
 この日記を読んでいる読者さんが、もし占い師に占いを頼む時は上記の質問をして占い師の答えをチェックするのも良いと思います。すなわち「何故占いが有効なのか?」の質問に対して、もし占い師の回答が「(卜術を除く)占いは統計学だから有効なのだ」と答えたならば、その占い師は凡才占い師と認識して頂いて結構だと思います。
 では何故上記の答えが、凡才占い師になってしまうのか? それは、その占い師が物事の本質(原因・ファンダメンタルズ)を認識する事が出来ない凡才人間だからです。

 物事には必ず原因(本質・ファンダメンタルズ)があって始めて結果(現象)が出て来ます。統計うんぬんとは、結果(現象)の次元です。凡才占い師の理屈で言えば、結果なり現象なりだけを集めれば(統計すれば)、それで占いの本質が理解・解明出来る事になるわけです。この事は私から言わすと、「原因と結果が逆立ちしている」と言わざるを得ません。だから私から言わせれば、そのような考えを持った連中は「凡才占い師」のレッテルを貼るわけです。
 占い師にとって統計を集める事(経験を重ねる事と同義)は非常に大切な事です。が、それは原因を解明する為の手段として認識しなければいけないわけです。統計をたくさん集めて精度がアップしたからといって、そこで終わってしまえばその占い師さんの質的成長は何も無いわけです。

 では、先ほどからまわりくどく説明させて頂いている、原因(本質・ファンダメンタルズ)があって始めて結果(現象)があるという事について、以下に私なりの考えを述べてみたいと思います。

 人間を含む宇宙森羅万象は、全て普遍の根本原理によって貫かれています。根本原理には当然の事ながら法則性や規則律があります。結局「何故占いが有効なのか?」に関する回答は、普遍の根本原理が人間にも貫かれているので、個別(個人、例えばA さん)に対して資質なり性格なりを解明するのに有効な法則性や規則律を当てはめる事によって、上記A さんの資質なり性格なりを解明する事が可能となりますし、宇宙森羅万象とAさんとのかかわりを解析すれば、年ごとの運気・運勢あるいは吉方位・凶方位を解明出来るわけです。

 では次に上記の法則性や規則律をふまえて、冥王星に関して西洋占星術の立場からアプローチします。

 今から数年前、「13星座占い」という新しい占いがはやりました。これは、マーク矢崎を筆頭とするチンドン占い師とフジテレビ&テレビ朝日のチンドンプロデューサーが結託してデッチ上げたブームです。当時、西洋占星術の占い師さんでまともな人たちは、上記のチンドン占いに対して批判的な考えを持っておりました。しかし一部の占い師、すなわちゼニさえ儲ければ良いといった性根の腐った占い師や、手段を選ばず己が有名にさえなれば良いという売名目的の連中が、フジテレビ&テレビ朝日を筆頭とするセンセーショナルマスコミに出演しては、占いの本質に疎い一般国民に対して××◯◯な事をしゃべっておりました。

 私は前述の13星座占いをチンドン占いと表現しておりますが、下記で読者さんに西洋占星術と13星座占いの違いについて少し説明させて頂き、何故私が13星座占いをチンドン占いと表現しているのか、の意味を理解して頂きたいと思います。

 まともな西洋占星術では黄道を12等分し、1等分(30度)ごとに12星座を配置します。つまり、夜空に見える各12星座を黄道にそのまま配置するのでは無く、あくまで1星座あたりの持ち分を30度として、12星座が均等に黄道円周(360度)内に配置されるようにします。これに対してチンドン13星座占いでは、上記12星座を黄道にそのまま配置し、なおかつヘビ使い座が黄道に少し引っかかっているとの理由から、同星座を新たに加え12+1で13星座という事にデッチ上げているわけです。ですから、まともな西洋占星術では黄道円周(360度)内に12星座が1星座あたりの持ち分を30度として規則律を持って配置されていますが、チンドン13星座占いでは黄道円周(360度)内に13星座が不規則に配置されているわけです。そこで前述した「何故占いが有効なのか?」に対しての回答である、「普遍の根本原理が、……うんぬん」を、思いだして欲しいわけです。根本原理には法則性や規則律があると前述いたしました。まともな西洋占星術における12星座の黄道上の配置には法則性や規則律が存在しますが、チンドン13星座占いにおける黄道上の配置には法則性や規則律のカケラもありません。だから私は、13星 座占いはチンドン占いだとレッテルを貼るわけです。

 では次に命術(西洋占星術・四柱推命など。生年月日・生まれ時間を基として、人間の宿命や運気・運勢を推し量る占い。ただし九星気学も生年月日を基とするが、同占法は本来、人間の宿命や運気・運勢を推し量る占いでは無く、家相や方位・方角といった万物を推し量る占いなので命術には含まない)の基本原理を少し説明します。

 西洋占星術と四柱推命は、今から約五千年前のカルデアの地(シュメール・アッカド文明)におきたカルデア人の星占いがギリシャと中国に渡り、それぞれ発展進化したものです。そして、上記ふたつの命術の根本的な法則性や規則律は全く同じで、ホロスコープ(命式表)の作成および宿命・運勢・吉凶禍福の判断は、12数と10数をクロスさせて鑑定してゆきます。すなわち、西洋占星術の場合は12星座と10惑星をクロスさせ、四柱推命の場合は12支と10干をクロスさせて鑑定します。

 四柱推命の12支と10干は、完璧な法則性や規則律を持っているので何ひとつ問題はありませんが、西洋占星術の12星座と10惑星のうち1つだけ不規則な星があります。それが例の冥王星です。

 先ほど12星座を黄道に配置する際には、12星座が均等に黄道円周(360度)内に配置されると説明しました。つまり、12星座に関しては規則律を保っていると言えるわけです。問題は10惑星にあります。この日記の先頭に表があったと思います。そこには各惑星のAU理論値とAU実際値との誤差を掲載しています。AU理論値の基となっているのがティティウス=ボーデの法則です。ティティウス=ボーデの法則の説明文は表の下にあります。参照して下さい。
 ティティウス=ボーデの法則によるAU理論値=(4+3×2n)÷10 方程式のnに、水星は−∞、金星は0、地球は1、火星は2、木星は4、土星は5、天王星は6、海王星は7、冥王星は8、をそれぞれ当てはめていきます。表にも載せていますが、水星から天王星までのAU理論値とAU実際値との誤差は6%以内に収まります。つまり、ここでも規則律を保っていると言えるわけです。海王星の誤差は28.9%でかなり大きいとは思いますけど、大目に見て規則律の許容範囲というところにしたいです(汗)。問題は冥王星の誤差95.2%です。これは許容範囲からははるかに外れて、法則性・規則律にはまったく当てはまりません。つまり冥王星という惑星は、12星座と10惑星の中で唯一法則性・規則律の無いデタラメな星だと言えるわけです。(説明がかなり遅れましたが、西洋占星術でいう10惑星とは、天文学上の9惑星から地球を除き太陽と月を入れたものです)

 ここまで説明させて頂いて、やっと私の意見を言える条件が揃いました。つまり私が何を言いたいのかと申しますと、冥王星という惑星は少なくとも西洋占星術で使う惑星としては全くふさわしくない星だと言いたいわけです。結論を言えば、冥王星を10惑星から陥落させるべきだと主張します。しかし、読者の方で今回の日記を最初からキチンと読んでいる方は次のように主張されるかもしれません。「冥王星を10惑星から陥落させるのは良いとしても、お前は命術である西洋占星術は12星座と10惑星が揃っていなければいけないと主張していたではないか?」って。全くその通りです。それに対する答えは下記で説明させて頂きます。

 少し上にスクロールして頂くと「ティティウス=ボーデの法則によるAU理論値=(4+3×2n)÷10」と黄色い文字で書いてあります。そしてnの値に、火星は2、木星は4、と書いてあります。さて、2と4はありますが3がありません。実はnの値3に対応する星が存在します。名前を小惑星(セレス、パラス、ジュノー、ヴェスタ、4大小惑星とも言う。セレスはケレスと同じで読み方が違うだけです)と言います。
 上記の質問に対する答えは簡単です。チンドン13星座占いと同じで何ひとつ規則律・法則性の無い冥王星を10惑星から削除する代わりに、nの値3にほぼ等しい小惑星セレスを10惑星に加えるわけです。そうすれば、西洋占星術の12星座と10惑星が全て規則律・法則性を持った星となるわけです。
 天文学上の惑星とは違う太陽や月を西洋占星術上の惑星としてカウントするなら、天文学上ですら惑星としての地位が風前の灯である規則律・法則性のカケラも無い冥王星を削除して、規則律・法則性のキチンとした小惑星セレスを入れても何ひとつ問題はないと思いますけどね。

 ところが、西洋占星術ではティティウス=ボーデの法則は相手にしていないのだそうです。つまり、正統派西洋占星術では冥王星がティティウス=ボーデの法則に合致していようが、していまいが、何の関係もないみたいです。ですから今の段階では、上記の私の意見は彼らにとって寝言程度の価値しか無いみたいです。

 あと数年後あるいは十数年後、それまでは今のままの状態で西洋占星術界は平穏無事でしょう。しかし、天文学界で正式に冥王星が惑星よりTNOへと格下げになった時が見物ですね。その時は高見の見物をさせていただきましょう。へへへ。

 前述しましたが、読者の方で西洋占星術を主力占法とされている占い師さんの能力をチェックされる時は、(1)ティティウス=ボーデの法則をキチンと認識しているか? (2)鑑定をする際に冥王星と小惑星セレスのどちらの影響力を重視するか? (3)「占いは統計学である」に対してどのような意見を持っているか? この3つのポイントをチェックされると良いと思います。

 占いの世界では、テクニカルだけを習得してもある程度の鑑定は出来ます。それはエンジンや足回りの構造を全く知らなくても、ハンドルやブレーキやらの操作さえ知っていれば車を操縦出来るのと同じです。しかし、ファンダメンタルズ(人間を含む宇宙森羅万象すべてを貫く普遍の規則律・法則性)をキチンと認識しているのか、認識出来ていないのか、ソコは重要になると思いますよ。高い金を払って自分の人生のアドバイスをしてもらうのであれば、表面上のテクニカルだけを聞くよりも、性根の入ったファンダメンタルズまでアドバイスしてもらった方が絶対にお得ですよ!

 出来れば今回の日記は、西洋占星術を主力占法とされている占い師さんには見て欲しくありませんね! ケンカになっちゃうよ! すんませーーん!

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