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ナイトノイズ

NIGHTNOISE

アイルランドに根差した音楽を演奏するグループ,ナイトノイズとそのメンバーのCDを紹介するページです。

最終更新日 2005/02/21

ナイトノイズのこと

ナイトノイズはアイルランド的,ケルト的な音楽を現代的センスで演奏するグループです。 グループの中心,ミホール・オ・ドーナル,トリーナ・ニ・ゴーナル兄妹はアイルランドのドニゴール州出身(二人は共に,アイルランド,ゲール地方の民族音楽研究家でもあるらしい), フルートのブライアン・ダニングも同じくアイルランド出身(クラシックの教育を受け,ナイトノイズ参加以前はジャズ演奏で知られていたらしい), ヴァイオリンのビリー・オスケイはニューヨーク出身とのことですが,後にスコットランド出身のジョン・カニンハムに交代しています。

彼らの音楽を一言で説明するのは本当に難しいです。 CDを順に追って聴いていくと,ビリー・オスケイが参加している前半の4枚はウィンダム・ヒル・レーベルらしい, いわゆるニューエイジ・ミュージックと呼べるものだと思いますが,ビリー・オスケイからジョン・カニンハムに交代して全員がケルト地方出身になってからは, アイルランド色が強くなってきていると感じます(あくまでもウィンダム・ヒル・レーベルらしさは失っていませんが)。 しかし,ミホールやトリーナがかつて所属していたボシー・バンドやレラティヴィティの音楽を聴いていると, これは彼らの本来の音楽への当然の回帰なんだな,と納得します。 私は,前半のニューエイジ的音楽も,後半のアイルランドの民族のにおい漂う音楽も,どちらも好きです。 最近はボシー・バンドも聴けるように耳が慣れてきました。 ちなみに,ボシー・バンドは民族意識を高揚させるような熱いダンス・チューンが中心で,ナイトノイズの穏やかさを期待して聴くとちょっとびっくりします。 レラティヴィティはどちらかといえば,ナイトノイズのルーツを感じさせる内容です。

私がナイトノイズの音楽を初めて知ったのは,Winndham Hill Records Sampler '89というサンプルCDで, ここに含まれていた「ヒュー(Hugh)」という曲が最高(トリーナのピアノが絶品!)で,この曲に惚れ込んだのがファンになったきっかけです(蛇足ですが,このCDに含まれているテレーズ・シュローダー・シェーカーのゴシック・ハープ曲も絶品です)。 この曲はナイトノイズの中で最も好きな曲の一つで,もしナイトノイズを聴きたいと思われるなら,まずこれを聴いて欲しいと思います。 最近は,メンバーの3人がアイルランドに戻ったらしく,ナイトノイズとしての活動が聞こえて来ないのが残念です。

今はとりあえず手持ちのCDを並べただけですが,また順次感想を追記していきたいと思っています。

(記2003/09/28)

ナイトノイズのCD


Nightnoise (Billy Oskay and Micheal O Domhnaill)

収録曲
1. Nightnoise (Billy Oskay)
2. The 19A (Micheal O Domhnaill)
3. Bridges (Micheal O Domhnaill)
4. False Spring (D.Bottemiller, Billy Oskay)
5. Duo (Billy Oskay)
6. City Nights (Billy Oskay)
7. After Five (Micheal O Domhnaill)
8. Menucha (A Place with Water) (Billy Oskay)
9. The American Lass (Micheal O Domhnaill)
10. The Cricket's Wicket (Micheal O Domhnaill)
アーティスト
ビリー・オスケイ(Billy Oskay) - violins, violas, piano, harmonium
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - guitars, whistles, piano, harmonium
トミー・トンプソン(Tommy Thompson) - bass on Nightnoise and City Nights
所有盤
WD-1031 (C)(P)1984 Windham Hill Records (輸入盤)
Recorded during 1983 at the home of Billy Oskay, Portland, OR

ナイトノイズの始まりとなったこのCD,ビリー・オスケイ, ミホール・オ・ドーナルの二人がいろいろな楽器を持ち替えながら多重録音を駆使して製作したと思われます。 いかにもウィンダムヒルレーベルらしい音楽作り(音作り)で,全編にわたって穏やかで郷愁を誘う曲が多いです。 ウィッスル?(whistle:アイルランドの6穴の縦笛?)が辛うじてアイルランド風味を醸し出している程度で,ほとんど民族的な色合いはありません。 ウィンダムヒルを意識したのか,ビリー・オスケイ主導で曲づくりがなされたのか...

演奏は,ビリー・オスケイのヴァイオリンとミホール・オ・ドーナルのギターが中心ですが, ヴァイオリンが重要な役割を果たしているにもかかわらずひたすら控えめ, 目立つ旋律はピアノであったりウィッスルであったりして, ヴァイオリンが好きな私にとってはやや不満に思うこともありましたが(そもそもヴァイオリンの音がスカスカで良くない!), 全体の仕上がりが良いので許してしまいます。

アルバムの中では,静かなヴァイオリンのトレモロから始まり,やがてテンポの良い気持ちの良い音楽に移っていき, またトレモロで静かに終わるタイトル曲の "Nightnoise", ミホール・オ・ドーナルの渋いギター伴奏が秀逸な "The 19A", アルバム最後を飾るにふさわしい名曲 "The Cricket's Wicket" が特にお気に入りの曲でが, その他にも心惹かれるフレーズが随所に現れ,どの曲も捨てがたいです。 ナイトノイズの中でも最も好きな中の一枚です。

(記2003/11/17)


Something of Time (Nightnoise)

収録曲
1. Timewinds (Billy Oskay)
2. Perchance to Dream (Billy Oskay/Micheal O Domhnaill)
3. The Erebus and the Terror (Micheal O Domhnaill)
4. On the Deep (Micheal O Domhnaill)
5. Hourglass (Micheal O Domhnaill)
6. Shadows on a Dancefloor (Micheal O Domhnaill)
7. Wiggy Wiggy (Micheal O Domhnaill)
8. Tundra Summer (Billy Oskay)
9. Apres-Midi (Triona Ni Dhomhnaill)
10. Something of Time (Micheal O Domhnaill)
11. Toys Not Ties (Brian Dunning)
12. I Still Remember (Billy Oskay)
13. One for the Lad (Micheal O Domhnaill)
アーティスト
ビリー・オスケイ(Billy Oskay) - violin, viola, harpsichord, synthesizer, harmonium
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - guitars, whistles, harmonium, piano, harpsichord, synthesizer, voice
ブライアン・ダニング(Brian Dunning) - flutes, alto flute, pan pipes
トリーナ・ニ・ゴーナル(Triona Ni Dhomhnaill) - harmoniums, synthesizer, harpsichord
所有盤
WD-1057 (C)(P)1987 Windham Hill Records (輸入盤)
Recorded at "Nightnoise" Studio, Portland, OR 1985/1986

ナイトノイズのグループとしての第一作ですが,音楽としては前作の"Nightnoise"の延長線上にあります。 シンセサイザーの多用に加え,フルートやパイプ,ヴァイオリンの音色に残響効果を付けて, 音作りとしても,前作以上にニューエイジ色を強めています。 音楽的にはビリー・オスケイが主導権を握っているのかな?という感じです。 トリーナ・ニ・ゴーナルも参加しているものの,解説書をよく見ると1曲しか参加していません(9曲目のApres-Midi)。

前作同様,郷愁を誘う穏やかな曲が多く,いわゆるヒーリング音楽(この用語は大嫌いなのですが)的色彩が強いです。 ああ,これぞナイトノイズらしい!と思える美しい和音の響きに溢れています。 親しみやすいメロディーが少なく,正直なところ何度聴いても曲を覚えられないのですが, ただただボーっと聴き流していると,とても心が休まります(でもちょっと寂しい気分かな...)。 生々しいアンサンブルが好みの私としては,この作為的音作りは大いに不満なので, 心が動かされてしまうのがちょっと悔しいです(笑)。 それだけ曲と音作りが素晴らしくマッチしているということでしょう。

(記2004/02/27)


At The End Of The Evening(邦題:夜の終わりに) (Nightnoise)

収録曲
1. ウィンデル Windell (Billy Oskay/Micheal O Domhnaill)
2. ある夏の朝 Of a Summer Morn (Micheal O Domhnaill)
3. ヒュー Hugh (Triona Ni Dhomhnaill)
4. 輪馬車 Jaunting (Brian Dunning)
5. 中庭 The Courtyard (Billy Oskay)
6. 「歌を私に」 "Bring me back a song." (Micheal O Domhnaill)
7. 高原の雪 Snow on High Ground (Triona Ni Dhomhnaill)
8. レースにて At the Races (Triona Ni Dhomhnaill)
9. 忘れられたカーニバル Forgotten Carnival (Brian Dunning)
10. キュイリンの丘 The Cuillin Hills (Triona Ni Dhomhnaill)
11. カンサスの太陽 Her Kansas Sun (Billy Oskay)
12. 夜の終わりに End of the Evening (Triona Ni Dhomhnaill)
13. 白鳥 The Swan (Micheal O Domhnaill)
アーティスト
ビリー・オスケイ(Billy Oskay) - violin, viola, keyboards
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - guitars, keyboards, whistles
ブライアン・ダニング(Brian Dunning) - flutes, pan pipes
トリーナ・ニ・ゴーナル(Triona Ni Dhomhnaill) - keyboards, whistles, accordion, vocals
所有盤
Pony Canyon D25Y5118 (C)(P)1988 Windham Hill Records (国内盤)
Recorded and Mixed at Nightnoise Studio, Portland, OR, Winter '87/Spring '88

ナイトノイズのグループとしての第二作目となります。 このアルバムからブライアン・ダニングとトリーナ・ニ・ゴーナルが本格的に参加しています。 特にトリーナが5曲を提供し,音楽的にも重要なポジションを占めるに至っています。 ビリーとミホールが中心になって進めてきた今までのナイトノイズの音楽は, 都会的に洗練されながらも,孤独さ,寂しさといったものを感じさせる,どちらかといえばモノトーン,寒色系の音楽で, このアルバムでも彼ら主導の音楽はそういう雰囲気が漂っています。 それに対してトリーナの曲は,田舎の暖かさ,優しさを感じさせる暖色系の音楽で,このアルバムに色彩感,リズム感をもたらしています。 ビリー主導のナイトノイズもそれなりに好きなのですが,やっぱりトリーナの音楽の方が肌に合う感じがします。

曲の方ですが,やっぱりナイトノイズの最高傑作「ヒュー」が群を抜いて素晴らしい! トリーナのニュアンス豊かなピアノが最高で,ピアノってこんなに表情豊かだったんだ,と改めて思い知らされました。 ギター,フルート,ヴァイオリンの伴奏も控えめながら曲に最高にマッチした彩りを添えています。 もう何百回も聴きましたが,何度聴いても感動します。 「レースにて」は,今までのナイトノイズにはないリズミックな舞曲調。 ピアノも格好いいですが,ヴァイオリンとフルートの即興的掛け合いも聴き応えあり。 「キュイリンの丘」は,明るく暖かみのあるほのぼのとした雰囲気が心地よい佳作。 タイトル曲の「夜の終わりに」は,このアルバムで唯一トリーナの歌が聴ける曲。 これも暖かみがあってなかなかいい感じです。 (以上,いずれもトリーナの曲)

(記2004/03/14)


The Parting Tide (Nightnoise)

収録曲
1. Bleu (Brian Dunning)
2. An Irish Carol (Triona Ni Dhomhnaill)
3. Jig of Sorts (Triona Ni Dhomhnaill)
4. Through the Castle Garden (Triona Ni Dhomhnaill)
5. Island of Hope and Tears (Triona Ni Dhomhnaill)
6. The Kid in the Cot (Brian Dunning)
7. The Tryst (Billy Oskay)
8. Snow is Lightly Falling (Triona Ni Dhomhnaill)
9. The Abbot (Micheal O Domhnaill)
アーティスト
ビリー・オスケイ(Billy Oskay) - violin, viola, keyboards
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - guitar, keyboards, whistle, backing vocals
ブライアン・ダニング(Brian Dunning) - flutes, alto flute, pan pipes
トリーナ・ニ・ゴーナル(Triona Ni Dhomhnaill) - keyboards, piano, whistle, accordion, vocals
所有盤
WD-1097 (C)(P)1990 Windham Hill Records (輸入盤)
Recorded and mixed by Billy Oskay at Nightnoise Studios, Portland, OR

ナイトノイズのグループとしての第三作目となります。 ビリー・オスケイの参加する最後のアルバムです。 このアルバムまでくると,すっかりトリーナが音楽的にも主導権を握りつつある感じですが, それでも全体の仕上がりとしては,今までのナイトノイズの路線が継承されています。

しかし,ちょっとこのアルバムは暗い! ジャケット写真の影響か,どんよりと厚い雲に覆われた冬の北陸の荒海を想起してしまいます(なんじゃそりゃ?)。 曲は悪くないんですが,CDを取る手が思わず鈍ってしまいます。

とまあ,こんなCDなのですが,5曲目の"Island of Hope and Tears"は「超」を付けてもいいくらいの名曲です。 トリーナのしっとりしたピアノの弾き語りが最高です。 全然違う曲なんですが,原由子さんの「花咲く旅路」を思い浮かべてしまいました(なんででしょう?)。 遊佐三森さんのアルバム「水色」の中でも日本語の歌詞をつけて取り上げられています。 その他では,2曲目の"An Irish Carol"は8:00に及ぶスケールの大きな曲で,ほの暗さが漂うものの, 前半のトリーナのゲール語?の歌が素晴らしく,後半のピアノを中心としたアンサンブルも心に響きます。 3曲目の"Jig of Sorts"は,このアルバムの中の唯一の快活なダンス音楽で,フルートやイーリアン・パイプの即興的ソロも聴きものです。 ピアノではなくシンセサイザーが使われているのがちょっと残念なところです。 7曲目の"The Tryst"は,純粋に器楽アンサンブルとして楽しめる曲。 和音の進行がいかにもナイトノイズ的で好きです。

(記2004/03/28)


Shadow of Time (Nightnoise)

収録曲
1. One Little Nephew (Micheal O Domhnaill)
2. The March Air (Micheal O Domhnaill)
3. Shadow of Time (Triona Ni Dhomhnaill)
4. Silky Flanks (Brian Dunning)
5. Water Falls (Triona Ni Dhomhnaill)
6. Fionnghuala(Mouth Music) (trad.)
7. Night In That Land (Johnny Cunningham)
8. This Just In (Triona Ni Dhomhnaill)
9. For You (Brian Dunning)
10. Sauvie Island (Micheal O Domhnaill)
11. The Rose of Tralee (Charles W. Glover)
12. Three Little Nieces (Triona Ni Dhomhnaill)
アーティスト
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - vocals, guitar, whistles, harmonium, synthesizer
ブライアン・ダニング(Brian Dunning) - flute, alto flute, whistle, vocal drone, synthesizer
トリーナ・ニ・ゴーナル(Triona Ni Dhomhnaill) - vocals, piano, accordion, whistle, synthesizer, harmonium
ジョン・カニンハム(Johnny Cunningham) - fiddles
所有盤
01934 11130-2 (C)(P)1993 Windham Hill Records (輸入盤)
Recorded and mixed at White Horse Studio, Portland, OR, January-February 1993

このアルバムからビリー・オスケイ(violin)に代わってジョン・カニンハム(fiddle)が参加しています。 単にヴァイオリンからフィドルに変わったというだけでなく,このナイトノイズの音楽そのものに大きく影響を与えています。 今までのナイトノイズはどちらかといえば,いかにもニューエイジ的,都会的な雰囲気の漂う曲が多かったのですが, このアルバムからはアイルランド色が一気に濃くなっています。 以前のナイトノイズもそれなりに好きなんですが, やっぱりこのアルバムからの雰囲気の方が好きかなと思います(カニンハムのフィドル自体はそれほど好きにはなれないのですが...)。

曲は本当に穴がなく,秀作揃いです。 1曲目の"One Little Nephew",2曲目の"The March Air"は, 新しいナイトノイズのサウンドを象徴するような情緒豊かな音楽。 "Shadow of Time"はタイトル曲にふさわしい名曲! トリーナのしっとりした歌声が素晴らしい。 "Fionnghuala"は無伴奏コーラス(マウス・ミュージックと言うらしい), ゴーッと底鳴りするシンセサイザーの上で,まるでリズム楽器のように歌われます(ゲール語?)。 最初は気味が悪かったのですが,何度も聴いているとやみつきになります。 "Night In That Land"はどこか懐かしくなるようなメロディーが印象的。 ともすれば陳腐になってしまいそうな曲想ですが,聴いていてホッとするような暖かい音楽に料理されています。 これは本当に素晴らしい! "Three Little Nieces"は,トリーナのリリカルなピアノが秀逸です。

(記2004/04/22)


A Different Shore(邦題:記憶の岸辺) (Nightnoise)

収録曲
1. コール・オブ・ザ・チャイルド Call of the Child (Brian Dunning)
2. エイモンに For Eamonn (Micheal O Domhnaill)
3. フォーリング・アップルズ Falling Apples (Triona Ni Dhomhnaill)
4. 橋の上の大道芸人 The Busker on the Bridge (Brian Dunning)
5. マドリードの朝 Morning in Madrid (Johnny Cunningham)
6. 幼い姪 Another Wee Niece (Triona Ni Dhomhnaill)
7. 記憶の岸辺 A Different Shore (Johnny Cunningham)
8. マインド・ザ・ドレッサー Mind the Dresser (Triona Ni Dhomhnaill)
9. 飛び去る雲 Clouds Go By (Brian Dunning)
10. スーアン Shuan (Micheal O Domhnaill)
アーティスト
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - vocals, guitar, whistles, synthesizer
ブライアン・ダニング(Brian Dunning) - flute, alto flute, bass flute, whistles, vocals, accordion
トリーナ・ニ・ゴーナル(Triona Ni Dhomhnaill) - piano, lead vocals, accordion, whistle, synthesizer
ジョン・カニンハム(Johnny Cunningham) - fiddle, vocals
所有盤
BMG BVCW-655 (C)(P)1995 Windham Hill Records (国内盤)
Recorded at White Horse Studio, Portland, OR

このアルバムでは,前作「シャドウ・オブ・タイム」でのアイルランド音楽への回帰傾向がより強まっています。 解説書にも書いてありますが,多重録音が減り,シンセサイザーサウンドの後退,といった傾向が顕著です。 そして,ニューエイジ的サウンドから脱皮し,明瞭でタイトなサウンドに変化しています。 特に今までにも増して,ミホールのギターが素晴らしい。 シャープで切れの良いコードストローク,味わい深いアルペジオなど,決して前面には出てきませんが, どの曲においても音楽的に重要な役割を果たしていると思います。 本当に「巧い!」というのはこういう事なんだ,と感じます。

コール・オブ・ザ・チャイルド」は,ミホールのタイトなギターストロークの上で奏でられるブライアンのウィッスルが聴きもの。 これを聴いただけで「今までとはちょっと違うぞ」と期待感が高まります。 「エイモンに」は,ドローン的に流れるシンセサイザーの上にミホールのアルペジオとブライアンのウィッスルが叙情豊かに奏でられるスケールの大きな作品。 「橋の上の大道芸人」は,アコーディオンの旋律から始まり,フルートのソロ,そしてなんとイーリアン・パイプのすごいソロ(誰が吹いているのか?), マウスミュージック(ナイトノイズらしい!)と,本当に大道芸のように次々と展開し,カッコよく最高に楽しい作品。 「幼い姪」は,トリーナのピアノが中心,中間部の軽やかなピアノソロが清々しい。 タイトル曲の「記憶の岸辺」は,カニンハムの奏でるしっとりした旋律が印象的な佳作。 冒頭の低い音域のフルートの旋律(これがバス・フルートか?)も特徴的です。 アコーディオンの単純な旋律が心地よく響く「飛び去る雲」は種も仕掛けもないストレートさがいいです。 そして最後の「スーアン」,ブライアンのウィッスルの旋律,響きが染み渡ります。 ミホールのアルペジオも素晴らしい。 アルバムの最後を飾るにふさわしい傑作です。 感動的!

ナイトノイズの中で最も好きなアルバムで,以降の活動を楽しみにしていたのですが, これを最後にスタジオ録音がなくなってしまいました。 本当に残念です。

(記2004/05/23)


White Horse Sessions (Nightnoise)

収録曲
1. シルキー・フランクス Silky Flanks (Brian Dunning)
2. シャドー・オブ・タイム Shadow of Time (Triona Ni Dhomhnaill)
3. ジグ舞曲 Jig of Sorts (Triona Ni Dhomhnaill)
4. スーアン Shuan (Micheal O Domhnaill)
5. ドゥ・ウィ Do We (Brian Dunning)
6. Murrach na Gealaich (Murdo of the Moon) (Johnny Cunningham)
7. Hugh (Triona Ni Dhomhnaill)
8. ムーンダンス Moondance (Van Morrison)
9. クリケット・ウィケット The Crickets Wicket (Micheal O Domhnaill)
10. ナイト・イン・ザット・ランド Night in That Land (Johnny Cunningham)
11. 競馬場にて At The Races (Triona Ni Dhomhnaill)
12. ハートウッド〜MUSIC MEETS ART テーマソング Heartwood (Triona Ni Dhomhnaill)
アーティスト
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - vocals, guitar, whistles, synthesizer
ブライアン・ダニング(Brian Dunning) - flute, alto flute, bass flute, whistles, vocals, accordion
トリーナ・ニ・ゴーナル(Triona Ni Dhomhnaill) - piano, lead vocals, accordion, whistle, synthesizer
ジョン・カニンハム(Johnny Cunningham) - fiddle, vocals
所有盤
BMG BVCW-676 (P)1996 Windham Hill Records (国内盤)

今のところ,ナイトノイズ唯一のライヴ・アルバム。 ナイトノイズが当時ホームグラウンドにしていたという,オレゴン州ポートランドのホワイト・ホース・スタジオでのライヴ録音とのこと。 選曲は,新曲を含んでいるものの,ナイトノイズのベストアルバムと言って良いくらい名曲を揃えてきています。 しかもライヴということで,私としては最高にうれしい!

ライヴということもあると思いますが,演奏がこれまたアグレッシヴで,ナイトノイズを「ヒーリング音楽を演奏するグループ」 なんていう姿勢で聴くと,のっけからガツンとやられます。 やっている音楽の内容は多少違えど,結局彼らは,彼らのルーツであるボシーバンドの頃へ帰りたがっているのではないかと, このライヴを聴いていると,そう思えてきます。

一方しっとりした曲は,スタジオ録音ほどの雰囲気は持っていないものの,作為的な音作りが控えめであり, スタジオ録音とはまた別の魅力を放っています。

曲については特に触れるまでもないのですが,特にお気に入りの曲については,少しコメントしておきたいと思います。 1曲目の「シルキー・フランクス」,いきなりびっくり! フルートが主役ですが,ユニゾン?で絡んでくるピアノとギターが煽る煽る! このアグレッシヴさがたまりません。 中間部のギターのアルペジオも秀逸。 「シャドウ・オブ・タイム」はスタジオ録音に比べると少々テンポが速く快活,全く別の魅力を感じます。 「スーアン」は,ギターのアルペジオの上で奏でられるニュアンス豊かなウィッスルが本当に素晴らしい! 6穴の単純な縦笛からこんな豊かな音楽が紡ぎ出されるとは! (どうやってなめらかなグリッサンドをやってるんだろう?という純粋に技術的な興味もあります) ナイトノイズ随一の名曲「ヒュー」はさすがにスタジオ録音ほどの雰囲気は出せていませんが,これはこれで好きです。 初期の名作「クリケット・ウィケット」,ホッとします。 前半の表情豊かなピアノ,後半の可愛らしいハイトーンのウィッスル,大好きです。 「ナイト・イン・ザット・ランド」,フルートとヴァイオリンの表情豊かな旋律が最高。 そして続けて演奏される「競馬場にて」,勢いあるアンサンブルが素晴らしいです。 ライヴの最後を飾るにふさわしい快演。

誠に残念なことに,このアルバムを最後にナイトノイズの活動が途絶えているみたいです。 アルバム「シャドウ・オブ・タイム」以降,彼らの本領が徐々に発揮されてきて, これから先どんな素晴らしい音楽を聴かせてもらえるんだろう!と楽しみに待っていたのに... 細々でもいいからぜひ復活して欲しい,と切に願っています。

(記2004/08/07)


ナイトノイズのメンバーが参加するCD


The Bothy Band 1975 - The First Album (The Bothy Band)

収録曲
1. The Kesh Jig/Give Us a Drink of Water/The Flower of the Flock/Famous Balllymote
2. The Green Groves of Erin/The Flowers of Red Hill
3. Do You Love an Apple
4. Julia Delaney
5. Patsy Geary's/Coleman's Cross
6. Is Trua Nach Bhfuil Me in Eirinn
7. The Navvy on the Line/The Rainy Day
8. The Tar Road to Sligo/Paddy Clancy's
9. Martin Wynne's/The Longford Tinker
10. Pretty Peg/Craig's Pipes
11. Hector the Hero/The Laird of Drumblaire
12. The Traveller/The Humours of Lissadell
13. The Butterfly
14. The Salamanca/The Banshee/The Sailor's Bonnet
アーティスト
Paddy Keenan - Uileann Pipes, Whistle
Donal Lunny - Vocals, Bouzouki
Matt Molloy - Flute, Whistle
Triona Ni Dhomhnaill - Harpsichord, Bodhran, Vocals
Micheal O Domhnaill - Vocals, Guitar
Tommy Peoples - Fiddle
所有盤
GLCD-3011 (P)(C)1983 Green Linnet Records, Inc. (輸入盤)

正直言ってボシーバンドはまだ耳慣らしの域を出ておらず,感想を書けるほど聴き込んでいるわけではありませんが, そう言っていても始まらないので,一つ一つ聴き進めながらその時々の感想を綴っていこうと思っております。

このCD,文字通りのボシーバンドのファーストアルバムです。 この後のアルバムにも共通することですが,イーリアン・パイプ(Uileann Pipes),ウィッスル(Whistle)が前面に出てきていること, 気持ちを鼓舞させるような激しいダンスチューンが多いこと, 同じ音型の速いパッセージを皆で合奏する,大ユニゾン大会とも言えるような演奏スタイル(パイプの音程が微妙にずれているのがまた独特の雰囲気出してます!), これらが全体を特徴づけていると思います(もちろんこれだけではありませんが)。

このアルバムでは,フィドルがTommy Peoplesという人で,これがまたコテコテのフィドルで, イーリアン・パイプと相俟って民族的色合いをさらに濃くしています。 この人はこのアルバムだけの参加のようです。

以下,印象に残った曲です。 2曲目の"The Green Groves of Erin/The Flowers of Red Hill"は,どこかで聴いたことのある曲だと思ったら, ヨーヨー・マ,エドガー・メイヤー,マーク・オコーナーが1995年に発表した「アパラチアン・ワルツ」の中に収められている1曲目の「アイルランドの緑の木立/赤い丘の花(Traditional)」と同じ曲でした。 3曲目の"Do You Love an Apple"も,ジョージ・ウィンストンの1991年のアルバム「サマー」の1曲目のイントロに用いられています。 ここではトリーナのさわやかで気持ちのよい歌が聴けます。 5曲目の"Patsy Geary's/Coleman's Cross",7曲目の"The Navvy on the Line/The Rainy Day"などは,軽快で本当に楽しいダンス音楽。 6曲目の"Is Trua Nach Bhfuil Me in Eirinn"は,ジョン・レンボーンにもつながるような哀愁漂うブリティッシュ・フォーク。 10曲目の"Pretty Peg/Craig's Pipes"は,トリーナの軽妙な歌声が楽しい,メロディーラインが独特の佳作。

(記2005/02/21)


Old Hag You Have Killed Me (The Bothy Band)

収録曲
1. Music In The Glen
2. Fionnghuala
3. The Kid On The Mountain
4. Farewell To Erin
5. Tiochfaidh An Samhradh (Summer Will Come)
6. The Laurel Tree
7. 16 Come Next Sunday
8. Old Hag You Have Killed Me
9. Calum Sgaire
10. The Ballintore Fancy
11. The Maid Of Coolmore
12. Michael Gorman's
アーティスト
Paddy Keenan - Uileann Pipes, Whistle, Low Whistle
Matt Molloy - Flute, Whistle
Kevin Burke - Fiddle
Triona Ni Dhomhnaill - Vocals, Clavinet, Harmonium
Donal Lunny - Vocals, Bouzouki, Guitar, Bodhran
Micheal O Domhnaill - Vocals, Guitar
所有盤
GLCD-3005 (P)(C)1982 Green Linnet Records, Inc. (輸入盤)
Recorded at Rockfield Studios, July 1976


Out of the Wind into the Sun (The Bothy Band)

収録曲
1. The Morning Star (Trad.)
2. The Maids of Mitchelstown (Trad.)
3. Rip the Calico (Trad.)
4. The Streets of Derry (Trad.)
5. The Pipe on the Hub (Trad.)
6. The Sailor Boy (Trad.)
7. The Blackbird (Trad.)
8. The Strayaway Child (Michael Gorman)
9. The Factory Girl (Trad.)
10. Slides (Trad.)
アーティスト
Paddy Keenan - Pipes, low whistle, B-flat chanter, whistle
Matt Molloy - Flute, whistle
Kevin Burke - Fiddle
Triona Ni Dhomhnaill - Vocals, clavinet, harmonium, electric piano
Donal Lunny - Bouzouki, guitar, bodhran, synthesizer
Micheal O Domhnaill - Guitar
所有盤
GLCD-3013 (P)(C)1985 Green Linnet Records, Inc. (輸入盤)
Recorded at Lombard Sound, Dublin - June, 1977


BBC Live In Concert (The Bothy Band)

収録曲
1. Martin Wynne's/The Longford Tinker
2. Two Jigs/The Kid In The Mountain
3. Patsy Geary's/Coleman Cross
4. Sixteen Come Next Sunday
5. Michael Gorman's/Road To Lisdoonvarna/Joe Cooley's
6. Lucy Campbell/The Laurel Tree
7. Fionnghuala
8. Farewell to Erin
9. The Kesh Jig/Give Us A Drink Of Water/The Flower Of The Flock/Famous Ballymote
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10. The Tar Road To Sligo/Paddy Clancy's
11. The Maids Of Mitchelstown
12. I Wish My Love Was A Red Red Rose
13. Pipe Solo: Garret Barry's/The Bucks Of Oranmore
14. The Morning Star/The Fisherman's Lilt/The Drunken Landlady
15. Do You Love An Apple?
16. A Jig and Five Reels: Roger Sherlock's/Around The World/Rip The Calico/Martin Wynne's/Enchanted Lady/HolyLand
アーティスト
Micheal O Domhnaill - Guitar/Vocals
Triona Ni Dhomhnaill - Clavinet/Vocals
Donal Lunny - Bouzouki
Kevin Burke - Fiddle
Matt Molloy - Flute
Peter Brown - Uilleann Pipes (Track 1-9)
Paddy Keenan - Uilleann Pipes (Track 10-16)
所有盤
SFRSCD 063 (P)1976-78 BBC Music (C)1988 Strange Fruit (輸入盤)
Track 1-9: Recorded - Paris Theatre 15th July 1976
Track 10-16: Recorded - Kilburn National 24th July 1978


After Hours - Recorde Live in Paris (The Bothy Band)

収録曲
1. The Kesh Jig/Give Us a Drink of Water/Famous Ballymote
2. The Butterfly
3. Casadh an tSugain
4. Farewell to Erin
5. The Heathery Hills of Yarrow
6. The Death of Queen Jane
7. The Pipe on the Hob/The Hag at the Churn
8. The Priest/Mary Willie's/This Is My Love, Do You Like Her?
9. How Can I Live at the Top of a Mountain?
10. Rosie Finn's Favourite/Over the Water to Charlie/The Kid on the Mountain
11. The Green Groves of Erin/The Flowers of Red Hill
アーティスト
Micheal O Domhnaill - Vocals, Guitar, Harmonium, Organ
Triona Ni Dhomhnaill - Vocals, Clavinet, Harmonium, Bodhran
Donal Lunny - Vocals, Bouzouki, Guitar, Bodhran
Kevin Burke - Fiddle
Matt Molloy - Flute
Paddy Keenan - Uilleann Pipes, Whistle, Low Whistle
所有盤
GLCD 3016 (P)(C)1984 Green Linnet Records, Inc. (輸入盤)(発売元:MSI)


Relativity

収録曲
1. The Hut on Staffin Island/Sandy MacLeod of Garafad/The Soft Horse Reel (Phil Cunningham)
2. There Was A Lady (Traditional)
3. Gile Mear (Sean Clarach Mac Domhnaill
4. Gracelands (Phil Cunningham)
5. When Barney Flew Over the Hills (Words traditional/ Music Triona Ni Dhomhnaill)
6. Leaving Grittay/The Pernod Waltz (John Cunningham/Micheal O Domhnaill)
7. An Seanduine Doite (Traditional)
8. John Cunningham's Return to Edinburgh (Phil Cunningham)/Heather Bells (Traditional)/The Bell Reel (John Cunningham)/The Limerick Lasses (Traditional)
9. Ur-Chill An Chreagain (Art Mac Cumhaigh)
アーティスト
ジョン・カニンハム(Johnny Cunningham) - Fiddles
トリーナ・ニ・ゴーナル(Triona Ni Dhomhnaill) - Vocals, Clavinet
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - Vocals, Guitars, Keyboards
フィル・カニンハム(Phil Cunningham) - Accordion, Keyboards, Whistles, Bodhran
所有盤
GLCD 1059 (P)(C)1985 Green Linnet Records, Inc. (輸入盤)
Recorded and mixed at REL Studios, Edinburgh, Scotland, August, 1984


Gathering Pace (Relativity)

収録曲
1. ブラックウェル・コート Blackwell Court (Phil Cunningham)/ハイランド・ラディー Highland Laddie (Trad.)/ギリーズ・タクシー Gillies' Taxis (Phil Cunningham)/ダブル・ライズ The Double Rise (Phil Cunningham)
2. ギャザリング・ペイス Gathering Pace (Triona Ni Dhomhnaill)
3. マンスター州賛歌 Rosc Catha Na Mumhan (Piaras Mac Gearailt)
4. ミス・タラ・マクアダム Miss Tara MacAdam/カイル行き始発列車 The First Train to Kyle (John Cunningham)
5. もし市場に行ったなら Ma Theid Tu un Aonaigh (Trad.)
6. いとしのスーザン Siun Ni Dhuibhir (Trad.)
7. 彼女が眠るとき When She Sleeps (John Cunningham)
8. ジョニーからモリーへの伝言 Said Johnny To Molly (Trad.)
9. マンデイ・モーニング・リール The Monday Morning Reel (Phil Cunningham)/カッティング・ア・スライド Cutting A Slide (Phil Cunningham)/ロバート・ザ・ミノウ Robert the Minnow (John Cunningham)/ホグティーズ・リール Hogties' Reel (Phil Cunningham)
10. ミセス・アンナ・マックレー Ceol Anna (Phil Cunningham)/別れの歌 A Ribhinn Og Bheil Cuimhn Agad (Trad.)
アーティスト
ジョン・カニンハム(Johnny Cunningham) - fiddle, vocals
トリーナ・ニ・ゴーナル(Triona Ni Dhomhnaill) - clavinet, synthesizers, vocals
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - guitar, vocals
フィル・カニンハム(Phil Cunningham) - accordion, whistles, synthesizers, vocals
所有盤
MSI 30011 (C)(P)Green Linnet, Inc USA (国内盤)


スカラ・ブレイ (Skara Brae)

収録曲
1. 赤い髪の娘 An Cailin Rua
2. ヒュウディの子守唄 Suantrai Hiudai
3. アイルランドの美しき丘 Banchnoic Eireann O
4. アンジェラ Angela
5. ぼく 気持ちが悪いんだ Taim Breoite go Leor
6. ドゥン・ラワの島 Inis Dhun Ramha
7. わびしき兵士 An Saighdiuir Treigthe
8. おいらはおいら ひとはひと Cad e sin don te sin
9. 牛騒動 An Chrubach
10. 縄をなう Casadh an tSugain
11. 若きカトリン Caitin Og
12. エルディ・クアン Airdi Cuan
13. 眠れぬ夜 Ta me mo Shui
14. 黄色いサンカノゴイ An Buinnean Bui
15. カトリン・ティリャル Caitlin Tiriall
アーティスト
トリーナ・ニ・ゴーナル(Triona ni Dhomhnaill)
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill)
モレート・ニ・ゴーナル(Maighread Ni Dhomhnaill)
ダヒー・スプロール(Daithi Sproule)
所有盤
TRCD0031 (CEFCD 031) (P)1971 (C)1998 Gael-Linn (国内盤:トリニティー・エンタープライズが輸入販売)

素晴らしい! 感激しました! 大好きです,こんなの。 なんと素朴で清々しいフォークミュージックであることか。 特に最初の「赤い髪の娘」が絶品。 ゲール語のハーモニーが本当に心地よく,何度も何度も聴き返してしまいました。

無伴奏コーラスあり,ギターデュオあり,クラヴィネットのソロ(この音がまたショボくていい味出してます)あり,バラエティに富んでいますが, 基本的にはアイルランドに伝わる伝統音楽がベースになっており,一貫した雰囲気を持っています。 とにかく聴いていて心にしみる音楽ばかりです。 音楽的にはペンタングルに影響を受けたと解説書にあります。 ペンタングルのメンバーであったジョン・レンボーンの「Sir John Alot...(Shanachie 97021)」というCDを持っているのですが, 確かにこのCDで聴けるブリティッシュ・トラッドの音楽が底に流れている気がします。

1970年,彼らが大学生(?)の時に,半日で作り上げられたというこのアルバム,若者らしい素直さに溢れています。 またこの録音が最高に素晴らしい。 全くの演出なく本当にストレートに録音されており,30年以上経っているとは思えない, 全く古さを感じさせないクオリティで目の前に蘇ってきます。 ストレートに録音することがどれだけ大切なことか,改めて認識させられました。

さらに!この素晴らしいCDを日本に輸入し,丁寧な解説まで付けてくれているトリニティー・エンタープライズにも拍手を贈りたいです。 このレコード会社のゲール・リンのページに,このCDの紹介とサンプル音源があります。 是非サンプル音源を聴いてみていただきたい!

(記2003/12/10)


Toriona ni Dhomhnaill

収録曲
1. When I Was A Fair Maid
2. Na Gamhna Geala
3. The Wee Lass On The Brae
4. O'Carolan's Farewell To Music
5. Shil Me Fein
6. Turlough Og O'Boyle
7. Foinn Bhriotaineacha (Breton Tunes)
8. As I Roved Out From The County Cavan
9. Kitty From Ballinamore
10. Stor A Stor A Ghra
11. Here's To All True Lovers
アーティスト
Triona ni Dhomhnaill - vocals, harpsichord, bodhran
Micheal O Domhnaill - guitar
Paddy Keenan - uillean pipes
Paddy Glackin - fiddle
Declan McNelis - bass guitar
Gerry Malone - highland pipes
Mairead ni Dhomhnaill - vocals
Peter Brown - flute
所有盤
GLCD-3034 (P)(C)1984 Green Linnet Records, Inc. (輸入盤)
Recorded and mixed at Eamonn Andrews Studios, Dublin, Ireland.
First released by Gael Linn Records, Dublin, Ireland, 1975

トリーナが1975年に発表したソロアルバム。 ミホール,モレートをはじめ,周辺のミュージシャンがゲスト参加しています。 このアルバムの中心は当然ながらトリーナであり,若々しく張りのある歌声が堪能できるのがうれしいです。 また,伴奏の中心であるハープシコードが独特の雰囲気を醸し出していて,これもなかなかの聴きものです。 私自身,あまりアイルランド音楽に詳しいわけではありませんので,正しく音楽を捉えられているのかよく分かりませんが, 全体としてほの暗く哀愁が漂っており,かなりアイルランド民族色を強く感じます。

特に強く印象に残ったのは,このアルバムの中でも明るく快活な冒頭曲 When I Was A Fair Maid, 約10分にも及ぶ大曲 Here's To All True Lovers です。 特に最後のこの曲は圧巻! トリーナの独唱から始まり,ジョン・レンボーンを思わせるミホールのギター伴奏(これがまた渋くて最高!)が途中で加わり, そしてハープシコードの伴奏が加わり,最後にパイプとフィドル(このフィドルがまた超ヘタクソで味わい深い!)が加わって終わるのですが, その上でしっとりと歌われるトリーナの歌声がまた最高にいいです。 英語が苦手なので歌詞がわからないのが残念。

録音は,独唱系のものは極めて明瞭に,自然な音質で捉えられており,好ましく感じられますが, 多重録音などしているものは自然さが失われ,あまり感心できません。 ばらつきがあります。 幸運なことに,上記2曲は良い部類に入ります。

このCDもスカラ・ブレイ同様,トリニティー・エンタープライズが輸入販売しているようです(ジャケット写真は異なりますが同じものです)。 ゲール・リンのページに,このCDの紹介とサンプル音源があります。 日本語解説と対訳が付いているとのこと(欲しい...)。

(記2004/02/02)


Promenade (Kevin Burke and Micheal O Domhnaill)

収録曲
1. The Pigeon on the Gate/Lafferty's Reel/Matt People's Reel
2. Load Franklin
3. Walsh's Hornpipe/The Old Torn Petticort(Reel)/The Bank of Ireland
4. Coinleach Ghlas An Fhomhair
5. The Promenade
6. Ar A Ghabhail Go Baile Atha Cliath Domh
7. The Whole Chicken in the Soup/The Bird in the Bush/The New-mown Meadow/The Silver Spear
8. The Reverend Brother's Jig/Sean Ryan's Jig
アーティスト
ケヴィン・バーク(Kevin Burke) - fiddle
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - vocals, guitar, electric piano
トリーナ・ニ・ゴーナル(Triona ni Dhomhnaill) - vocal harmony
ドーナル・ラニー(Donal Lunny) - bouzouki & bass bouzouki
デクラン・シノット(Declan Sinnott) - electric bass & electric guitar
所有盤
LUNCD028 (P)(C)1979 Mulligan Music (輸入盤)


Portland (Kevin Burke and Micheal O Domhnaill)

収録曲
1. Maudabawn Chapel (Martin Byrnes)/The Wild Irishman (Michael Coleman)/The Moher Reel (Lucy Farr)
2. Eirigh a Shiuir (Nelli Ni Dhomhnaill)
3. Breton Gavottes (Padrig Sicard)
4. The Rolling Waves (unknown)/The Market Town (O'Neill's Music of Ireland)/Scatter the Mud (O'Neill's Music of Ireland)
5. Aird Ui Chumhaing (Aodh O Domhnaill)
6. Paddy's Return (Tulla Ceili Band)/Willly Coleman's (Willy Coleman)/Up in the Air (Kevin Burke/Micheal O Domhnaill)
7. Lucy's Fling (Lucy Farr)/S'iomadh Rud a Chunnaic Mi (Finlay MacNeill)/Some Say the Devil is Dead (unknown)
8. Is Fada Liom Uaim I (Nelli Ni Dhomhnaill)
9. Tom Morrison's (Tom Morrison)/The Beare Island Reel (Dale Russ)/George White's Favourite (Paddy Killoran)/Dipping the Sheep (O'Neill's Music of Ireland #1515)
アーティスト
ケヴィン・バーク(Kevin Burke) - fiddle
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - vocals, guitar, harmonium
所有盤
GLCD 1041 (P)(C)1982 Green Linnet Records, Inc (輸入盤)


Reprise Athchuairt (Paddy Glackin & Micheal O Domhnaill)

収録曲
1. ジグ:エリザベス・ケリィズ・ディライト Elizabeth Kelly' Delight/エリザベス・ケリィズ・ジグ Elizabeth Kelly's Jig
2. 歌:ロッホ・ロモンドの麗しき岸辺 The Bonny Banks of Loch Lomond
3. リール:ジョン・ケリィのコンサティーナ・リール John Kelly's Concertina Reel/陽気な姉妹 The Merry Sisters/銀の槍 The Silver Spear
4. エア:グリーン・フィールズ・オヴ・アメリケィ The Green Fields of Amerikay
5. ホーンパイプ:寂しい茂み The Lone Bush/アーマー生まれのクイン Quinn from Armagh
6. 歌:麗しの髪のブリド Brid Bhan
7. ダブル・ジグ:オーストラリアン・ウォーターズ Australian Waters/ウエディング・ジグ The Wedding Jig
8. スライド:売れ残るよりは結婚を I'd Rather Be Married Than Left/おいかけてみなよ,チャーリィ Chase Me Charley/キルクミン・スライド The Kilcumin Slide
9. 歌:フィーラ・バータ(船頭) Fear an Bhata (The Boatman)
10. エア:虐殺される女たちの嘆き The crying of the women in the slaughter
11. リール:黄金の鍵盤 The Golden Keyboard/サラマンカ The Salamanca/ジェニィズ・チキン Jenny's Chickens
アーティスト
ミホール・オ・ドーナル Micheal O Domhnaill - vocals, guitar
パディ・グラッキン Paddy Glackin - fiddle
----- Guests -----
フィリップ・ベグリー Philip Begley - bass, keyboards
ジェームス・ブレナハセット James Blennerhassett - cello
キアラン・ブレナン Ciaran Brennan - double bass
ノエル・ブリッジマン Noel Bridgeman - percussion
ブライアン・ダニング Brian Dunning - alto flute
ノエル・ヒル Noel Hill - concertina
パディ・キーナン Paddy Keenan - low whistle
トリーナ・ニ・ゴーナル Triona ni Dhomhnaill - vocals, bodhran
マーティン・オコナー Martin O'Connor - accordion
所有盤
GLCD-3034 (P)(C)1984 Green Linnet Records, Inc. (輸入盤)
Recorded and mixed at Eamonn Andrews Studios, Dublin, Ireland.
First released by Gael Linn Records, Dublin, Ireland, 1975


First Flight (Gerald Trimble with john cunningham & micheal o domhnaill)

収録曲
1. Paddy O'Brein's/Scatter The Mud/Arthur Darley's
2. Lady Hamilton of Dalrymple/Johnny's Wedding/Nellie O'Donovan/Last Night's Joy
3. War Hent Kerrigouarch/Gavotte de Scrignac
4. The York Reel/Dancing Feet
5. Martin Wynne's #2
6. The Sailor's Return/The Return to Camdentown/The Maid Behind the Bar
7. The Captain's Hornpipe/The First Flight of Geese
8. Mr. Webster/Miss Jane Maclnnes-Dandeleith
9. The Three Men of Brittany/The Wild Man of Steel
10. Elizabeth's Air
11. The Pumpherston Hornpipe/Open the Door to Three/The Judge's Dilemma
アーティスト
Gerald Trimble - citterns
Micheal O Domhnaill - guitar
John Cunningham - fiddle, synthesizer
Claire Connors - piano
Terry Teachout - bass
Dave Brown - bodhran
David Agee - bones
Colleen Williams - flute
Doug McBain - tenor saxophone
Dan Leonard - tenor banjo
John Higgins - side drums
所有盤
GLCD-1043 (P)(C)1983 Green Linnet Records, Inc. (輸入盤)
Recorded and mixed at Sound Recorders, Kansas City, Missouri.


心の絆 Idir an Da Sholas (between the two lights) (Maighread & Triona Ni Dhomhnaill with Donal Lunny)

収録曲
1. スペインの乙女 The Spanish Lady
2. 兵士はつらい Liostail me le Sairsint
3. ドーナル・オグ(若きドーナル) Donall Og
4. クラウディの岸辺 The Banks of Claudy
5. わが魂の宝 Bruach na Carraige Baine
6. 月白酔夜 Nil se ina la
7. キャン・ドゥランの砂丘 Meilte Cheann Dubhrann
8. 岸辺を歩いて Ar a dhul chun an chuain dom
9. 最高の漁師たち Foireann an Bhaid
10. 鱈の歌 Faoitin
11. 転べ転べよ,牧師さん Pill, Pill a Ruin o
12. タイディ・アン(蛙と鼠) Tidy Ann
アーティスト
Maighread Ni Dhomhnaill/Triona Ni Dhomhnaill/Donal Lunny/Micheal O Dhomhnaill/Maire Breatnach/John McSherry/Lloyd Byrne/Sharon Shannon/Caoimhe Ni Chomhrai/Caitriona Ni Chonaonaigh/Roise Goan/Liz & Yvonne Kane/Laoise Kelly/Roundstone Boyz/Bill Whelan
所有盤
VICP-61035 (P)(C)2000 ビクターエンターテインメント (国内盤)
Recorded at the Fort in Roundstone, Conamara, Galway, May 1999.


水色 (遊佐未森)

収録曲
1. 合歓の木陰で
2. 大きな靴
3. 水色
4. 緑の絵
5. 夢でいいから
6. Island of Hope and Tears
アーティスト
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - guitar, backing vocals
ブライアン・ダニング(Brian Dunning) - flute, penny whistle, uileann pipe
トリーナ・ニ・ゴーナル(Triona Ni Dhomhnaill) - piano, backing vocals
ジョン・カニンハム(Johnny Cunningham) - violin
ジミ・シーバー(Jami Sieber) - cello
ボブ・スターク(Bob Stark) - synthesizer programming
遊佐未森 - vox, backing vocals, synthesizer
所有盤
ESCB 1428 (C)(P)1994 Sony Music Entertainment Inc. (国内盤)


ロカ (遊佐未森)

収録曲
1. ロカ
2. 素肌
3. クローバー
4. ハモニカ海岸
5. 潮見表
6. やさしい歌
7. あけび
8. テーブル・エンド・エンジェル
9. 午後のかたち
10. アネモネ
11. アカシア
アーティスト
Micheal O Domhnaill - acoustic guitar
Triona Ni Dhomhnaill - piano, backing vocals
Brian Dunning - flute, penny whistle
Donal Lunny - bouzouki, bodhran
Anne-Marie O'Farrel - irish harp
Maighread Ni Dhomhnaill - backing vocals
その他大勢
所有盤
ESCB 1799 (C)(P)1997 Sony Music Entertainment Inc. (国内盤)