ヘンデル: ヴァイオリン・ソナタ集

(最終更新日2015/04/27) 所有35枚中 (済35/未0) (CD感想欄へ)

ヴァイオリン・ソナタ集(29)
演奏者 レーベル 収録年 収録曲 演奏 録音 補足
ベズノシウク harmonia mundiy20073,10,12,14,15 バロックVn
ベッツィーナ Pierre Verany1994 3,6,10,12,13,14,15バロックVn
カンポーリ Decca 1952 3,10,12,13,14,15
バートン Cedille 1996 3,6,10,12,13,14,HWV358,359a,408,412
ブラウン Philips 1978-83 1b,3,6,10,12,13,14,15
ダスカラキス Naxos 2009 3,6,10,12,13,14,15,HWV358,HWV359,他バロックVn
ガンツ Polyphonia不明 3,10,12,13,14,15LP
グリュミオー Philips 1966 3,10,12,13,14,15
ホロウェイ crd 不明 3,6,13,HWV359a,408,412バロックVn
フーラ Varsumat 1996 3,10,12,13,14,15
キム ALM Records2007 3,6,12,13,14,15,HWV412バロックVn
クロサキ Virgin 2002 3,6,12,13,14,HWV358,HWV359aバロックVn
ラウテンバッハーBarenreiter不明 3,10,12,13,14,15
マンゼ Globe 1995 3,13,H359a,HWV408,HWV412バロックVn
マンゼ harmonia mundi1998 3,6,12,13,14,15,HWV358,359a,408,412バロックVn
メニューイン EMI 1967 3,10,12,13,14,15
ネーゲル Da Camera Magna19833,6,10,12,13,14,15
パウク Hungaroton1985 1b,3,6,10,12,13,14
ペラシー BNL 1996 6,10,12,15,HWV358,HWV359a
ロザンド Biddulph 1992 3,10,12,13,14,15
シュマール DS 1980,82 10,12,13,15
シュナイダー Classico 2004 3,6,13,HWV358,HWV359aバロックVn
スーク Erato 1965 10,13,14,15
スーク Denon 1975 3,10,12,13,14,15
シェリング DG 1981 3,10,12,13,14,15LP
ウォルフィッシュhyperion 1994 3,6,13,HWV358,HWV359aバロックVn
江藤俊哉 Camerata 1982 3,10,12,13,14,15
桐山建志 ALM Records2009 3,6,10,12,13,14,15,HWV359aバロックVn
寺神戸亮 Denon 1993 3,6,13,14,HWV358,359aバロックVn
 
カップリング収録盤
演奏者 レーベル 収録年 収録曲 演奏 録音 補足
エルマン Biddulph 1949 3,13,15
ハイフェッツ RCA 1953 13,15
天満敦子 Art Union1993 13,15
豊田耕兒 N.Columbia不明 3,12,13 教則用
豊田耕兒 Tower Records1965 3,13,15
藤田容子 Sony 1988 10,13,15
フェイスアイコンについては「フェイスアイコン」を,評価点については「演奏・録音 評価基準表」をご参照下さい。
「収録曲」は,番号のみのものは作品1の曲番を示しています。

CD感想


レイチェル・バートン(Rachel Barton)

レーベル Cedille Records
収録曲 Op.1-3, 6, 10, 12, 13, 14, HWV358, HWV359a, HWV408, HWV412
演奏者 レイチェル・バートン(Rachel Barton)(Violin)
デイヴィッド・シュレーダー(David Schrader)(Harpsichord)
ジョン・マーク・ローゼンダール(John Mark Rozendaal)(Cello)
録音データ Recorded December 3-5, 1996 at WFMT Chicago
使用楽器 “ex-Lobkowitz” Antonius & Hieronymous Amati of Cremona, 1617. (モダン仕様)
所有盤 CDR 90000 032 (P)(C)1997 Cedille Records (輸入盤)

モダン楽器による演奏です。 要所要所でバロック的装飾が入るものの,全体の印象は極めて現代的です。 何といってもそのテンポ感が素晴らしいです。 まさに「快速」です(単に速いという意味ではなく,文字通り快い速さということです)。 直線的で前進感があり,若々しく溌剌としており,聴いていて清々しいです。 そして,こういった演奏でありながら,音の隅々にまで神経が行き届いた感じもあって,この点でも好感が持てます。

バロック楽器での演奏が一般的になり,モダン楽器での演奏がほとんど姿を消してしまった今日において, 一般に評価される演奏かどうかはわかりませんが,モダン楽器演奏の一つの可能性を示すものではないかと感じます。 興味深い演奏で私はこの演奏が大変気に入っています。

録音:

程良い距離感で,残響も少なく,音の捉え方自体は悪くないのですが,高域の伸び感が足りず, どこかすっきりしない,そして自然さに欠ける録音になっているのがとても残念です。

P.S.

公式ホームページがあります。 楽器はモダン仕様に改造された1617年製の"ex-Lobkowitz" A&H Amati(Stradivari Societyからの貸付品)とのことです。 ジャケット写真を見ると,弓はバロック仕様のものに見えます。

(改2015/04/27) 追記
(記2003/03/18)


アリアドネ・ダスカラキス(Ariadne Daskalakis)

レーベル NAXOS
収録曲 Op.1-3, 6, 10, 12, 13, 14, 15, HWV358, HWV359a, HWV408, HWV412
演奏者 アンサンブル・ヴィンテージ・ケルン(Ensemble Vintage Koln)
アリアドネ・ダスカラキス(Ariadne Daskalakis)(Violin)
ライナー・ジッパーリング(Reiner Zipperling)(Viola de Gamba)
ジェラルド・ハンビッツァー(Gerald Hambitzer)(Harpsichord)
録音データ Hessischer Rundfunk, Frankfurt am Main, Germany, from 25th to 28th May, 2009
使用楽器 a'=415Hz Januarius Gagliano from 1732 (バロック仕様)
所有盤 8.572245 (P)2010 (C)2011 Naxos Rights International Ltd. (輸入盤)

バロック・ヴァイオリンによる演奏。 装飾が多めに取り入れられていますが,自然な流れの中で入ってくるため違和感がなくすんなりと耳に入ってきます。 緩徐楽章でのニュアンス豊かで伸びのある美しい音色が印象的,急速楽章の溌剌とした表現も素晴らしいです。 技術的にも上手いですし,音楽的にも優れていると思います。

録音:

少し残響を含んでいるものの,直接音主体で明瞭感・透明感に優れる良好な録音です。 もう少しボディ感があるとなお良かったのですが。 また,チェンバロとチェロが少し焦点がぼけたような音色なのが残念なところです。

(記2012/04/08)


豊田耕兒(Koji Toyota)

レーベル Tower Records
収録曲 Op.1-3, 12, 15
演奏者 豊田耕兒(ヴァイオリン)/豊田元子(ピアノ)
録音データ 1965年1月 ビクタースタジオ
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 NCS 612-613 (P)(C)2008 TOWER RECORDS (国内盤)
TOWER RECORDS VICTOR HERITAGE COLLECTION
カップリング曲:エックレス/ヴァイオリン・ソナタト短調,ヴェラチーニ/協奏ソナタホ短調,甲斐直彦/ヴァイオリン・ソナタ, ヴェーベルン/4つの小品作品7,バルトーク/ルーマニア民族舞曲,ストラヴィンスキー/ディヴェルティメント

時代を感じさせるモダン楽器の古いタイプのスタイルには違いないのですが, 意外にも急速楽章の“ノリ”が良く溌剌としていて胸のすくような気持ちの良い演奏でもあります。 これだけでも,あぁ聴いて良かった! と思えます。

録音:

かすかにスタジオの残響はありますが,明瞭そのもので好印象です。 テープのヒスノイズが大きく,また,若干高域の伸びが不足しているのが残念ですが, 音の捉え方が良いのでそれほど気になるものではありません。

(記2011/09/30)


フィリップ・ネーゲル(Philipp Naegele)

レーベル Da Camera Magna
収録曲 Op.1-3, 6, 10, 12, 13, 14, 15
演奏者 フィリップ・ネーゲル(Philipp Naegele)(ヴァイオリン)/Paul Rey Klecka(チェンバロ)
録音データ 1983年録音
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 SM 93340/41 DA CAMERA MAGNA (輸入盤) (*LP)

一所懸命がんばって弾いているのですが,どこかおっとりしていて微笑ましいです。 メトロノームに合わせて弾いたようなテンポ感を持った演奏なのですが,全然退屈しません。 キレの良い演奏ではありませんが,技術的弱さがほとんど欠点につながっていないと思います。 こういったところがヘンデルの面白いところ,と改めて感じさせてくれます。

録音:

わずかに残響感がありますが,明瞭感が高く,音色も自然な好録音に思います。 ヴァイオリンだけでなく,チェンバロの音もバランス良く,また,楽器そのものの深い響きをくっきりと捉えていて好感を持ちました。

P.S.

LPジャケットにはソナタ第七番まで記載されていました。 第七番とは何か?と思ったら,Op.1-6(HWV364a)でした。

(記2004/08/04)

フィリップ・ネーゲル(Philipp Naegele)

レーベル Da Camera Magna
収録曲 Op.1-3, 6, 10, 12, 13, 14, 15
演奏者 フィリップ・ネーゲル(Philipp Naegele)(ヴァイオリン)/Paul Rey Klecka(チェンバロ)
録音データ 1983年録音
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 DaCa 77 036 DA CAMERA MAGNA (輸入盤)

上記がCD化されたもの。 内容は全く同じです。 (第7番と書かれていることまで同じ)

(記2011/09/30)


ジーン・キム(Jin Kim)

レーベル ALM Records
収録曲 Op.1-3, 6, 12, 13, 14, 15, HWV412
演奏者 ジーン・キム(Jin Kim) (バロック・ヴァイオリン)
岡田龍之介(Ryunosuke Okada) (チェンバロ,オルガン)
録音データ Recorded on 30-31 August & 1 September 2007 at Yamanashi-City Hanakage Hall
使用楽器 記載なし (バロック仕様)
所有盤 ALCD-1097 (P)(C)2008 ALM RECORDS (国内盤)

バロック・ヴァイオリンによる透き通った音色が美しい,伸びやかな佳演。 全体に大人しめで装飾も控えめですが,癖のない素直で優しさのある音楽が良いと思います。 曲によってチェンバロとオルガンが使い分けられていて,華やかなチェンバロと落ち着いたオルガンのコントラストが面白い効果を出しています。 どちらかといえば心休まるオルガンの方がいいかなと思います。

録音:

わずかに響きの被りが感じられるものの,直接音主体で明瞭感が高く,高域のヌケも良好です。 すこしマイク位置が近く濃い音の捉え方で,高域もかなりきつめで刺激的なので, これを良しとするかは好みで分かれるかもしれませんが,私としては問題ありません。 もう少しすっきり録って欲しいとは思いますが。

(記2010/04/15)


桐山建志(Takeshi Kiriyama)

レーベル ALM Records
収録曲 Op.1-3, 6, 10, 12, 13, 14, 15, HWV359a
演奏者 桐山建志(Takeshi Kiriyama) (バロック・ヴァイオリン)
大塚直哉(Naoya Otsuka) (チェンバロ)
録音データ Recorded at Chichibu Muse Park Music Hall 15-17 March 2009
使用楽器 Minoru Sawabe, 1991 Tokyo (Modell: J. Guarneri "Dell Gesu", 1740 Cremona) (バロック仕様)
所有盤 ALCD-1112 (P)(C)2009 ALM RECORDS (国内盤)

バロック・ヴァイオリンでの演奏ですが,楽器のことがほとんど意識されないほど素直でストレート, 私にはどちらかといえばモダン・テイストに聴こえます。 なんでバロック楽器で演奏しているのだろうと不思議に思います。 同氏のバッハの無伴奏ヴァイオリンでも感じたことですが,モダン楽器の方がキレの良い伸びやかな素晴らしい演奏になるんじゃないかと思うのですが。 演奏としては好きな方ので,余計にそう思います。

録音:

残響は多めですが,楽器音をすごく濃く捉えているため明瞭感はあります。 私としてはもっとすっきりと自然な距離感で録音して欲しかったところですが, 残響まみれの録音に比べればずっと良く,音楽を楽しむ上でも支障がないことから,まずまず納得は出来ます。

(記2010/04/12)


パブロ・ベズノシウク(Pavlo Beznosiuk)

レーベル harmonia mundi usa
収録曲 Op.1-3, 10, 12, 14, 15
演奏者 アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック(Academy of Ancient Music)
パブロ・ベズノシウク(Pavlo Beznosiuk) (バロックVn)
リチャード・エガー(Richard Egarr) (ハープシコード)
レイチェル・ブラウン(Rachel Brown) (フルート&リコーダー)
フランク・ドゥ・ブリュイヌ(Frank de Bruine) (オーボエ)
録音データ Recorded September 2007 at Potton Hall, Suffolk, England
使用楽器 Matthys Hofmans, Antwerp, 1676 (バロック仕様)
所有盤 HMU 907465/66 (P)(C)2009 harmonia mundi usa (輸入盤)
カップリング曲:その他作品1のリコーダー,フルート,オーボエのためのソナタを含む

アルバムのタイトルが,“12 Solo Sonatas op. 1”となっており,フルート,リコーダー,オーボエのソナタと一緒に収録されています。 HWV372は,Op.1-14,HWV373はOp.1-15とされているのが多いのですが,ここではそれぞれOp.1-10(Roger),Op.1-12(Roger)とされています。 私としての最大の不満は,通常演奏される6曲の中で最も好きなHWV371 Op.1-13が抜けていることです。 正直言ってこれはちょっと頭にきています(^^;。

演奏は,これぞバロックだ!というような古雅な雰囲気で貫かれています。 どちらかといえば大人しくて地味,モノトーンで色彩感がありません。 残念ながらあまり楽しくありません...

録音:

残響というよりホールの癖のある響きをもろに取り込んだ録音で, 確かに場の雰囲気は出ているものの,その代償として楽器の音色は著しく損なわれてしまっています。 目くじらを立てるほどのことではないかもしれませんが,私の好みではありません。

(記2009/09/30)


CD image
演奏:3.0
録音:2.5

エリザベス・ツォイテン・シュナイダー(Elisabeth Zeuthen Schneider)

レーベル Classico
収録曲 Op.1-3, 6, 13, HWV358, HWV359a
演奏者 トリオ・コレッリ(Trio Corelli)
エリザベス・ツォイテン・シュナイダー(Elisabeth Zeuthen Schneider) (バロックVn)
ウルリク・スパン・ハンセン(Ulrik Spang-Hanssen) (オルガン)
ヴィゴ・マンゴレ(Viggo Mangor) (アーチリュート)
録音データRecorded at Slangerup Church 2004.
使用楽器 記載なし
所有盤 Classcd 620 Classico (輸入盤)
備考 "Complete Sonatas for violin and basso continuo"というタイトルです。 ヘンデルの真作のみを収録するというスタンスのようです。

バロック・ヴァイオリンでの演奏で,通奏低音はオルガンとリュートです。 この演奏のおもしろいところは,各曲の最初に,ヴァイオリン,オルガンまたはリュートの何れか独奏で即興的なプレリュードが置かれているところです(1分〜1分半程度)。 また,中間の緩徐楽章の最初にも同様に,独奏による短い即興演奏?が織り込まれています。 これはなかなかおもしろい趣向で,私は気に入りました。 通奏低音にチェンバロではなくオルガンが使われている点も私好みです。

演奏ですが,バロック・ヴァイオリンであることが全く意識にのぼってこないほど自然で素直であり, 真面目で明るく,そして屈託のないのびのびとした表現が好印象です。 一方,どことなくリズムのノリが悪く,音楽がスムーズに流れていかないところが少し歯がゆく感じられます。 惜しいと思います。

録音:

残響の多い環境で録音されており,明らかに直接音成分よりも間接音成分比率が高く,明瞭感,音色が著しく損なわれています。 特に音色が変にギラついていて聴き苦しいです。 全く私の好みに合いません。

(記2005/12/09)


No picture
演奏:3.5
録音:3.5

ヘンリク・シェリング(Henryk Szeryng)

レーベル Deutsche Grammophon
収録曲 Op.1-3, 10, 12, 13, 14, 15
演奏者 ヘンリク・シェリング(Henryk Szeryng) (ヴァイオリン)
ユゲット・ドレフェス(Huguette Dreyfus) (チェンバロ)
録音データ1981年11月9日〜13日,エバンゲリック教会(パリ)
使用楽器 記載なし
所有盤 バイオリン教則大全集(Deutsche Grammophon)より (国内盤) (*LP)
カップリング曲:コレッリ/ソナタニ短調Op.5-12「ラ・フォリア」

(意外にも!)優しく気品に満ちた好演です。 全体に丁寧,丹念であり,テンポもゆったりしたもので,愉悦感というよりもほのぼのとした暖かさ,滋味を感じます。 技術的には多少の切れの悪さを感じますが,曲が曲だけにほとんど気になりません。

録音:

残響が少なく明瞭感の高い好ましい録音です。 もう少し抜けのよさ,鮮度の良さが感じられれば良かったのですが。

P.S.

K.N.さんの知人の方が所有されている「バイオリン教則大全集」に収められている同曲のLPを聴かせていただくことが出来ました(貴重な録音を有り難うございました)。 1981年といえば,シェリングのかなり晩年の録音であると思います。 この録音は,私の探した限りはCDが見つかりませんでした。 CD化されていないように思います。 →CD化されました!(下記参照)

(記2003/06/11)

CD image

ヘンリク・シェリング(Henryk Szeryng)

レーベル Deutsche Grammophon
収録曲 Op.1-3, 10, 12, 13, 14, 15
演奏者 ヘンリク・シェリング(Henryk Szeryng) (ヴァイオリン)
ユゲット・ドレフェス(Huguette Dreyfus) (チェンバロ)
録音データ1981年11月9日〜13日,エバンゲリック教会(パリ)
使用楽器 記載なし
所有盤 PROA-17 (P)1981 Deutsche Grammophon (国内盤)
製作・発売:ユニバーサル・ミュージック株式会社
TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION No.4 (タワーレコードの企画盤)
カップリング曲:コレッリ/ソナタニ短調Op.5-12「ラ・フォリア」

タワーレコードの企画盤。 「バイオリン教則大全集」に収録されていたもので,一般向けとしては初のCD化とのことです。

(記2005/11/01)


CD image
演奏:3.0
録音:4.0

天満敦子 (Art Union 1993)
本多昌子(ピアノ)
収録曲: Op.1-13, 15

高い弓圧,深いヴィブラートで濃厚に歌うヘンデル。 ポルタメントも時折聴かれます。 バロック的奏法を取り入れる演奏が多数を占めつつある現代において, そんなことには全くお構いなし,ひたすら我が道を突き進む演奏に,どこか懐かしさを感じます。 半世紀前の巨匠風,どことなくオールドスタイル,といったところでしょうか。 ある意味,現代楽器による素直な表現とも言えると思います。 弓圧が高すぎてちょっと音がつぶれ気味なのが残念です。 気持ちはよくわかるのですが...

録音:

残響感がほとんどない,非常に鮮明な録音です。 楽器から発せられる音の全てが克明に伝わってきます。 明瞭感,解像感が高く,音色も自然,まさに私好みの好録音! ホールでの録音とありますが,スタジオ録音的な音のとらえ方です。 オーディオ的なクオリティもまずまず良いと思います。

所有盤:

ART-3084 (P)1993 Art Union corporation Tokyo (国内盤)
"望郷のバラード1993/天満敦子 (BALADA Atsuko Temma Plays Favorite Violin Pieces)"
録音:1993年5月10,11日 東京,府中の森芸術劇場・ウィーンホール
カップリング曲:コレッリ(ダヴィード,エネスコ編曲)/フォリー・ディスパーニュ(ラ・フォリア), プニアーニ/ラルゴ・エスプレッシーヴォ,ベートーヴェン/メヌエット ト長調, ゴセック/ガボット,ブラームス/ハンガリア舞曲Nr.17,2,1, クライスラー/ベートーヴェンの主題によるロンディーノ, サラサーテ/アンダルシアのロマンス,ポルムベスク/望郷のバラード

P.S.

録音が好印象です。 バッハの無伴奏ヴァイオリンを何でこんな風に録音してくれなかったんだろうと悔しく思います。

(記2005/04/19)


演奏:
録音:

アンドリュー・マンゼ(Andrew Manze) (Globe 1995)
リチャード・エガー(Richard Egarr) (チェンバロ)
ロバート・アーリック(Robert Ehrlich) (リコーダー)
マーク・レヴィー(Mark Levy) (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
<The Cambridge Musick>
収録曲: Op.1-3, 13, H359a, HWV408, HWV412

バロックヴァイオリンによる演奏。 "The Cambridge Musick"というグループによる演奏ですが,ヴァイオリン・ソナタはチェンバロとの二重奏のみです。 (蛇足ですが,購入時,全然演奏者を気に留めていなかったのですが, 聴き始めて「ぬ!この音色は!」と,解説書を良く見て初めてマンゼ氏の演奏だと気が付きました...)

ダイレクトに聴き手の情緒をくすぐるような美しく官能的な音色にまず魅了されるのですが, それにも増して,急速楽章の元気で小気味よい表現に心奪われます。 要所要所に入る装飾にも氏ならではの個性がしっかり織り込まれています。 特にOp.1-13(HWV371)の出来が素晴らしいです。 チェンバロも単なる通奏低音に終わることなく,積極性に絡んできて,この楽しい曲を一層盛り上げています。

他に,リコーダーソナタ,ガンバソナタ,トリオソナタ等が納められています。 トリオソナタでは,リコーダーも健闘しているのですが,やはり楽器の性質上か,どうしても大人しい印象になってしまい, ヴァイオリンがこれに合わせて抑え気味になっているのが少々残念なところです。

録音: 残響感がほとんどなく,明瞭感のある好録音です。 ヴァイオリンの透明感ある音色や細かいニュアンスもしっかり伝わってきますし, チェンバロの一つ一つの粒立ちの良さ,クリアさは特筆出来ると思います。 残響まみれで聴くに堪えなかったり,まるで現実感のない作為的な音作りの録音が多い昨今ですが, こういう至極普通の素直ですっきりした録音の良さを今一度見直して欲しいと思います(>録音エンジニアの皆様)。

所有盤: GLO 6032 (P)(C)1995 Klaas Posthuma Productions v.o.f (輸入盤)
Recorded in Utrecht, Autust 1995.
カップリング曲:Op.2-1, Op.2-4, HWV360, HWV377, HWV364, HWV365, HWV369, HWV362, HWV367a

P.S. マンゼ氏は,この録音の後に,エガー氏とヴァイオリンソナタ集を録音しています。 後の録音の方が,音楽的な深さ,広がりがより増していると思いますが, この録音のストレートさ,元気さも捨てがたく,優劣付け難いと思います。 (録音の音質は,こちらの方がはるかに良いです)

(記2004/11/04)


演奏:
録音:

ギルバート・ベッツィーナ(Gilbert Bezzina) (Pierre Verany 1994)
フレデリック・オーディベルト(Frederic Audibert)(チェロ)
ヴェラ・エリオット(Vera Elliott)(チェンバロ)
収録曲: Op.1-3, 6, 10, 12, 13, 14, 15

明記されていませんが,バロックヴァイオリンによる演奏のようです。 要所要所で装飾が入っていますが,しつこさがなく素直で淡泊な印象を受けます。 特に細かい音型のところで,通奏低音のリズムに乗りきれず, 縦の線が合っていない(リズムの足を引っ張っているように感じる)部分が散見されるのが残念なところです。

録音: バロックの録音で良よくあるパターンの録音に思います。 残響の多い環境で録音されていますが,ヴァイオリンは比較的近接で録音されているようで, 明瞭感はそれほど悪くありません。 一方,チェロ,チェンバロは距離感があるのに音像が大きく,残響に埋もれてモワモワしています。 全体としては,濃くゴチャゴチャした感じの強い,すっきりしない録音に思います。

所有盤: PV795032 (C)(P)1995 Pierre Verany (輸入盤)
Recorded on March 27/30 1994.

P.S. ベッツィーナ氏は,Ensemble Baroque de Niceのディレクターとのこと。

(記2004/10/12)


演奏:
録音:

豊田耕兒 (日本コロムビア 録音不明)
辛島輝治(ピアノ)
収録曲: Op.1-3, 12, 13

生真面目な印象を受ける演奏です。 テンポを揺らすこともありませんし,装飾も楽譜に記載されているのをそのまましっかり守って弾いています。 急速楽章はテンポも速く軽快で気持ちよいのですが, 一方,ヴィブラートの深くかかった力強く重厚な音色が今ひとつミスマッチという感じです。 演奏スタイルはさすがに一時代前の雰囲気です。 一見教則用らしいカチッとした演奏のようで,実は演奏者の個性がしっかりにじみ出ていると思います。 バロック音楽を,ヘンデルを聴いているという感じはあまりしません。

録音: このCDの前半(第6集,Op.1-12,13が含まれる)は,Lchがピアノ,Rchがヴァイオリン, Lchだけを出せばカラオケになります。 後半(第7集,Op.1-3が含まれる)は,ステレオ録音になっています。 教則用CDなので,こういう録音になっているのだと思いますが,前半はヘッドホンだとかなり聴きづらいです。

肝心の録音ですが,スタジオで録音されたのか, 残響がほとんど(というか全くに近い!)感じられず,極めて明瞭で生々しいです。 演奏の細部まで,細かなニュアンス,質感まで,本当によく伝わってきます。 これぞ私の大好きな録音の典型です。 音の捉え方も濃厚になりすぎず,適度な距離感があってすっきりしています。 気のせいか,後半のステレオ録音より前半のL/Rch別録音の方が音質が良いように感じます。

教則用ということで,スタジオで意識的に残響を排除して録音されたのではないかと思いますが, それが良かったのではないかと思います。 音色は,50年代前半のスタジオ録音を聴いているかのような古めかしさを感じます。 オーディオ的クオリティも良いとは言えないのが少々残念なところですが, 基本的な音の捉え方が良いので,聴いていて全く気になりません。

所有盤: COCG-12661 (P)1995 NIPPON CLUMBIA CO., LTD. (国内盤)
「鈴木鎮一バイオリン指導曲集III 第6集,第7集」
カップリング曲:コレッリ/ラ・フォリア,クーラント,アレグロ,フィオッコ/アレグロ,ラモー/二つのガボット,モーツァルト/メヌエット,バッハ/コンチェルト第一番,ジーグ,クーラント
「※1970年,1972年発売のLPをCD化したもの」との補足あり。

P.S. 教則用CDをこのように評するのもどうかと思いましたが,教則用の弾き方や表現があるとも思えず, 同列に扱わせていただくことにしました。

(記2004/05/14)


演奏:
録音:

スザーネ・ラウテンバッハー(Suzanne Lautenbacher) (Barenreiter 録音不明)
フーゴー・ルフ(Hugo Ruf)(チェンバロ)
ヨハネス・コッホ(Johannes Koch)(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
収録曲: Op.1-3, 10, 12, 13, 14, 15

何とも気品のある薫り高い演奏です。 緩徐楽章は少し速め,急速楽章はゆったりと,いずれもほとんどインテンポで生真面目で気高い印象が強いです。 この遅めのテンポ設定(というか後ろに引っ張られる独特のリズム感),甘美系の音色のためでしょうか, 力強く高いテンションで朗々と歌っているのに,聴き手に迫ってくる感じはほとんどありません。 演奏者の個性が色濃く反映されているので,聴く人によって好き嫌いがはっきり分かれそうです。 私の場合,表現自体には好感を持ちましたが,正直なところ音色はちょっと苦手です(録音のせいかもしれません)。

録音: わずかに残響感があるものの,明瞭感はそれほど損なわれていません。 録音年代がよく分かりませんが,音色は少々古くさく感じます。 音の捉え方は私の好みですが,音像がでかく,ちょっとしつこい感じがしないでもありません。

所有盤: OS-770-MC Barenreiter Musicaphon (国内盤 発売元:日本コロムビア) (*LP)

(記2004/04/26)


演奏:
録音:

ミッシャ・エルマン(Mischa Elman) (Biddulph 1949)
ウォルフガング・ローズ(Wolfgang Rose)(ピアノ)
収録曲: Op.1-3, 13, 15

甘美な音色,ポルタメントの多用,気ままなテンポ(ピアノがかわいそう...), そういった全ての要素が古き良き時代(と私が勝手に思っているだけですが)を想起させます。 ゆったりとした時間の流れをもった異次元の空間に入り込んだような,そんな不思議な,そして暖かい気分にさせてくれます。 演奏自体が好きかどうかは別として,こういった体験ができる価値ある貴重な演奏だと思います。

録音: モノラル録音。 歪み感の多さ,音色の古さは仕方ないですが,ノイズ感もあまりなく,帯域感も悪くなく, 1949年の録音とは思えないクオリティの良さに驚きます。 極めて明瞭な音の捉え方にも好感が持てます。 鑑賞に十分耐えうるどころか,全く問題ないと思います(もちろん1949年の録音として考えると,ということですが)。

所有盤: 80206-2 (P)(C)2003 Biddulph Recordings (輸入盤)
Recorded on 12 October 1949, 23 & 28 November 1949
カップリング曲:バッハ:ヴァイオリン協奏曲第二番,バッハ:無伴奏ヴァイオリンパルティータ第三番よりプレリュード, ヘンデル:ラルゴ,ガヴォット

P.S. エルマン氏は,1891年ロシア,タルノイ生まれ。 1911年から米国に移住,1967年にニューヨークで死去。

(記2004/03/10)


演奏:
録音:

藤田容子 (Sony 1988)
雄倉恵子(チェンバロ)
収録曲: Op.1-10, 13, 15

控えめな表現ながら,モダン楽器らしい素直でロマンティックな歌いまわしが気持ちの良い好演です。 何よりふくよか,伸びやかな音色が素晴らしいです。 優しさ溢れる雰囲気に浸れるのですが,速い楽章はもう少し躍動的であって欲しいなとも思います。 贅沢な要望でしょうか?

録音: 残響感がやや多めに取り入れられていますが,明瞭感,解像感,高域の伸び感などまずまずで, 気持ちよいといえばそうかもしれません。 全体の雰囲気としては,イージーリスニング的な,やや作為的に感じられる音作りです。 私としてはやっぱり残響が鬱陶しく,もう少しすっきりと録音して欲しかったとちょっと残念に思います。

所有盤: 30DC 5109 (P)(C)1988 CBS/Sony Group Inc. (国内盤)
Recorded at Ishibashi Memorial Hall, 4 & 5th April, 1988.
カップリング曲:パガニーニ:ヴァイオリンとギターのソナタ作品2(ギター:福田進一)

P.S. 1988年の解説書によると,藤田容子さんは,大阪府箕面市生まれ, 辻久子,田中千香士らに師事,1982年にバンベルク交響楽団に入団,主席奏者として活躍, 1986年に退団後,ヨーロッパ,日本でソロや室内楽で活躍中,ジュネーブ在住,とのこと。

(記2004/02/01)


演奏:
録音:

フレデリック・ペラシー(Frederic Pelassy) (BNL 1996)
ヴィンセント・ワルニエ(Vincent Warnier)(オルガン)
収録曲: Op.1-6, 10, 12, 15, HWV358, HWV359a

これは本当にヘンデル?バロック音楽?と思ってしまいます。 映画の一シーンを見ているかのような錯覚に襲われる,非常にロマンティックな演奏です。 暖かく美しい音色で繊細に歌われる旋律がオルガンの音色に見事に溶け合って,独特の音世界を構築しています。 派手さはありませんが,大人しく優しい雰囲気に溢れていて心に響いてきます。

録音: 響きの豊かな録音です。 最初,響きの多さに「好みではない」と思っていましたが,ペラシー氏持ち前の美しい音色はそれほど失われていないことがわかってきました。 この響きの豊かさはオルガンの下支えによるものであって,確かにヴァイオリンの音自身の響きもあるものの, 主音に被って音色を大きく損なう類のものではないようです。 聴き重ねていくうちに全く気にならなくなりました。

所有盤: BNL 112875 (P)(C)1997 SCAM/BNL (輸入盤)
Enregistre a St-Ismier (Isere, France) en Avril 1996 avec l'aimable concours de l'Association des Amis de l'Orgue et de la Ville de Saint-Ismier.

P.S. 公式ホームページがあります。 ペラシー氏は1972年生まれ,フランス,パリ在住。 このCD,私の大好きなOp.1-3, 13が収録されていないのが残念! 上記の録音データは,フランス語で何が書いてあるのか今ひとつわかりませんが,それらしいところを書き写しました。 1996年4月の録音であることは間違いないと思います。

(記2003/06/05)


演奏:
録音:

ヨゼフ・スーク(Josef Suk) (Erato 1965)
スザナ・ルージィチコヴァ(Zuzana Ruzickova)(チェンバロ)
収録曲: Op.1-10, 13, 14, 15

明るく暖かみのある甘美な音色であり,程良く上品にアクセントも効かせて,この演奏者の美点が良く活かされている個性的な好演奏です。 全体にゆったりしたテンポ感を持ちながら快活さを失わないところはさすがです。 チェンバロも控えめながらシンプルで明るい音色であり,気持ちがよいです。

録音: かなり近接マイクで録音された感じであり,残響感がほとんどなく,明瞭感,解像感の極めて高い好録音です。 わずかに高域がすっきりせず鮮度が落ちる感じがある点だけが残念なところです。 また,マスターテープの保存状態が良くなかったのか,ヘッドが汚れたときに発生するような歪みが感じられるときがあります。

所有盤: B15D-39195 (P)1989 Editions Costallat France (発売元:BMGビクター)(国内盤)
録音:1965年11月(※)

P.S. ※CDの解説書には録音日時が明記されていませんが,レコード芸術誌付録の「レコード・イヤー・ブック」では, 「1965年11月の録音(仏エラート原盤)」という記載がされているということで,このデータを採用しました。 (K.N.さんに調べていただきました。有り難うございました)

個性的な演奏ではありますが,10年後のDenon盤の方がより奏者の個性が強くあらわれていると思います。

(記2003/05/27)


演奏:
録音:

パヴェル・フーラ(Pavel Hula) (Varsumat 1996)
イルジナ・ポコルジナー(Jirina Pokorna)(オルガン)
収録曲: Op.1-3, 10, 12, 13, 14, 15

モダン仕様のヴァイオリンによる演奏。 表現に癖のない素直な演奏ですが,聴いていてどこか苛々させられるところがあります。 ノリが悪いというか何というか... 別にリズムが崩れているわけではなく,カッチリとテンポを守っているように思えるのですが, なぜか後ろに後ろに引っ張られる感じがします。 さらに,オルガンの伴奏に乗り切れておらず,先走ったりしてどうも落ち着きません。 先走っているのに後ろに引っ張られるという妙な感覚に苛々させられるような気がします。 オルガンは高めの音のパイプを効果的に使ってとてもチャーミングで結構好きなのですが... ちょっと残念です。

録音: 残響感が少なく比較的明瞭感のある好ましいですが,わずかな反射音(?)のために少し音色が濁って聴こえる感じがします。

所有盤: VA 0053-2 131 (C)MUSICVARS (輸入盤)
Recording digital: in the Theatre Pribram, April 1996

P.S. フーラはコチアン弦楽四重奏団のトップ奏者ということです。 ちょっと低い評価となってしまいましたが,聴き始めたときはむしろ好ましく感じていました。 聴き込むにつれてだんだん不満が出てきたという感じです。 ノリが悪いと思うのは私だけかもしれません。

(記2003/05/24)


演奏:
録音:

ジョルジ・パウク(Gyorgy Pauk) (Hungaroton 1985)
マリア・フランク(Maria Frank)(チェロ),Janos Sebestyen(チェンバロ)
収録曲: Op.1-1b, 3, 6, 10, 12, 13, 14

モダン仕様のヴァイオリンによる普通の演奏(としか言葉が出てきません)。 表現にも癖がなく,技術的にも全く不安もなく,素直で良い演奏だと思うのですが, 今ひとつ訴えかけてくるものを感じることが出来ず,印象が薄い感は否めません。

録音: 残響は決して多くないのですが,わずかな響きによって音色の透明感が失われているような気がします。 チェンバロの音は明瞭感,透明感があって良い感じですが,チェロの音がなぜかちょっと浮いて現実感がない感じがします。 とはいうものの,全般的にはそれ程印象は悪くなく,むしろ好ましい感じです。

所有盤: HCD 12657 (P)1994 Hungaroton Classic Ltd. (輸入盤)

(記2003/05/21)


演奏:
録音:

エリザベス・ウォルフィッシュ(Elizabeth Wallfisch) (hyperion 1994)
リチャード・トゥニクリフ(Richard Tunnicliffe)(チェロ),ポール・ニコルソン(Paul Nicholson)(チェンバロ)
収録曲: Op.1-3, 6, 13, HWV358, HWV359a

バロックヴァイオリンによる演奏。 ヴィブラートのかけ方,弓運びなど,私が漠然と抱いているバロックヴァイオリンに対する演奏のイメージがそのまま再現されたような感じです。 目新しさや斬新さはありませんが,バロック音楽に対する誠実な姿勢を感じる好演奏です。 終始軽やかなタッチであり,また明るく優しくアットホームな雰囲気もあって,親しみやすいです。 ヘンデルらしい愉悦感を堪能できました。

音色は明るく美しいのですが,全体に音を短めに切る奏法を採っているためか,やや伸びやかさに欠ける点が少し残念に思います。

録音: 残響感がわずかであり,ヴァイオリンの音が非常にクリアに捉えらえられた好録音ですが, これに対して通奏低音の明瞭感,解像感が今ひとつであり,どこか物足りなさを感じます。 確かに,ヴァイオリンが際立って聴こえる効果はあるとは思いますが。

所有盤: CDA66921/3 (P)(C)Hyperion Records Ltd, London. (輸入盤)
"George Frederic Handel Twenty Sonatas, 'Opus 1' for soloist and continuo"
Recorded on 15-17 March, 20-22 June, 20, 21 December 1994

P.S. ヴァイオリン以外に,オーボエ,フルート,リコーダーのソナタが含まれています。 タイトルに"Opus 1"とありますが,このCDでは,クリュザンダー版(あるいはそれ以前の版)での"Opus 1"を指しているのではなく, ソロ・ソナタ全体をこう呼んでいるようです。 そして,最近の研究の成果を反映して,偽作の疑いのあるものは除外しているようです。

"Twenty Sonatas"とあり,しかも3枚組だったので,偽作も含めヴァイオリン・ソナタが網羅されていることを期待していただけに,ちょっと残念でした(高かったのに...)。

(記2003/05/13)


演奏:
録音:

アンドリュー・マンゼ(Andrew Manze) (harmonia mundi 1998)
リチャード・エガー(チェンバロ)
収録曲: Op.1-3, 6, 12, 13, 14, 15, HWV358, HWV359a, HWV408, HWV412

バロックヴァイオリンによる演奏。 緩徐楽章(特に第一楽章)での極めてゆったりしたテンポの中での即興的な表現,天上的な響きの美しさがたまりません。 全体を通して情緒感に溢れていて,他の演奏にはない個性の輝きを感じます。 時々やりすぎ(暴走気味)かなと思うところがないこともありませんが。

録音: 響きの豊かな録音で,緩徐楽章では「おぉ,なかなか」と思うところもありますが, 速いパッセージや激しいところでは音の濁ってかなり聴きづらいです。 優秀録音かもしれませんが,残念ながら全く私の好みではありません。

所有盤: HMU 907259 (P)(C)2001 harmonia mundi usa (輸入盤)
Recorded November 28-30, 1998 at Skywalker Sound, division of Lucas Digital, LTD, LLC, Nicasio, California

(記2003/04/24)


演奏:
録音:

アルフレード・カンポーリ(Alfredo Campoli) (Decca 1952)
ジョージ・マルコム(チェンバロ)
収録曲: Op.1-3, 10, 12, 13, 14, 15

時折入るポルタメントや大仰なテンポどりに時代を感じさせる要素があるにしても,比較的すんなり受け入れられる自然な表現に好感が持てます。 暖かさと快活な愉悦感のある好演奏です。

録音: モノラル録音。 古い録音で,音色がそれなりに変化しているのは仕方がないとして,比較的デッドな環境で生々しく捉えられているため, 全くといって良いほど鑑賞の妨げになっていません。 好録音です。

所有盤: POCL-4701(466 285-2) (P)1953 The Decca Record Company Limited, London (国内盤)
Date: July, 1952. Location: Decca Studio, London.
カップリング曲:タルティーニ/ヴァイオリンソナタ「悪魔のトリル」

P.S. カンポーリは1906年ローマ生まれ。 「1702年製のストラディヴァリから醸し出される美しい音色と,イタリア人らしいベルカント風の甘い情感で聴衆を魅了しました」とあります。 このヘンデルのソナタ集は,LP初期のカンポーリの代表盤として名高かったということです。

ロザンド盤と同じく,Op.1-13の第四楽章で,私の持っているベーレンライター原典版(全音)と比較して, 19小節から24小節までの6小節(および後半の同じ場所)が抜け落ちています。

(記2003/04/16)


演奏:
録音:

ユーディ・メニューイン(Yehudi Menuhin) (EMI 1967)
ジョージ・マルコム(チェンバロ),アンブローズ・ガウントレット(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
収録曲: Op.1-3, 10, 12, 13, 14, 15

メニューインの明るく優しく音色が心地よい好演です。 快活に演奏されているのですが,音色が穏やかなため,全体に暖かい雰囲気に包まれています。 ただ,チェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバとの共演ではありますが,演奏スタイルがやや古さを感じさせることもあって,バロック的な雰囲気は少ないです。 メニューインの芸術を堪能するための演奏ではないでしょうか。

チェンバロの音がポキポキというかペキペキというか(うまく表現できません),とにかく軽く歯切れが良くて,これも聴いていて楽しくなります。

録音: 残響がほとんどなく,非常に明瞭感の高い録音です。 楽器の音色も自然で,私の好みの録音です。 ただ,やはり古さを感じさせる音質であり,また,どこかゴチャゴチャしており,全体の雰囲気としての自然さ,現実感が薄いようにも感じます。

所有盤: 7243 5 73347 2 3 (P)1968 EMI Records Ltd. (C)1999 EMI Records Ltd. (輸入盤)
カップリング曲:Concerto grosso Op.6-11,12,Water Music, Suite No.1-3
EMIのダブル・フォルテシリーズ,2枚組。

(記2003/04/10)


演奏:
録音:

アーロン・ロザンド(Aaron Rosand) (Biddulph 1992)
ヒュー・サン(ピアノ)
収録曲: Op.1-3, 10, 12, 13, 14, 15

ポルタメントを多用して,ロマンティックに歌い込んだ濃厚な演奏です。 ロザンド節全開です。 これはもうバロック音楽を聴いているという感じではありません。 ロザンドの個性豊かな音楽性を楽しむためのCDです。 しかし,私は結構好きだったりします。

録音: 残響がほとんど感じられず,生々しくストレートに捉えた好録音です。 私の好きな録音の典型ですが,ちょっときつすぎるかもしれません。 音色がかなりざらついてしまっていますが,おそらくこれが間近で聴いたときの本来の音なのでしょう。 ヴァイオリンとピアノのバランスは,ややヴァイオリンにフォーカスされすぎているような気もしますが, これ以上ピアノが大きくなっても,もしかしたら聴きづらいかもしれません。

所有盤: LAW 004 (C)(P)1992 Biddulph Recordings (ARBD-1004 (P)Art Union Corpration 直輸入盤)
録音:1992年フィラデルフィア

P.S. Op.1-13の第四楽章ですが,何か抜けているような感じがしたので,私の持っているベーレンライター原典版(全音)を見ながら聴いてみたところ, 19小節から24小節までの6小節(および後半の同じ場所)が抜け落ちていることがわかりました。 CDケース裏には,"Handel (ed. Friedrich Chrysander)"と書かれています。 おそらく「楽譜はクリュザンダー版を使った」ということなのでしょう。 このベーレンライター原典版とはちょっと違うのということなのでしょうか??? 聴き慣れないのでちょっと違和感があります。

(記2003/04/09)


演奏:
録音:

ヒロ・クロサキ(Hiro Kurosaki) (Virgin Veritas 2002)
ウィリアム・クリスティー(チェンバロ,オルガン)
収録曲: Op.1-3, 6, 12, 13, 14, HWV358, HWV359a

バロックヴァイオリンによる演奏。 明るく伸び伸びとしており,また,細やかな起伏に富んでいて,バロックヴァイオリンの美点がヘンデルの音楽にとって最大限に活かされていると思います。 所々に入る装飾もツボにはまっていますし,HWV358では編曲といっても良いくらいの装飾が痛快なくらい決まっています。 音色も伸びやかで透明感があり,清々しいです。

伴奏はチェンバロとオルガン(Op.1-3とHWV358)が使い分けられており,決して表立って意識されないものの,しっかりヴァイオリンを支えています。 オルガンの伴奏は地味ながら素朴な暖かさがあってなかなか良いです。

録音: わずかに残響感がありますが,空間性,空気感に貢献しており,煩わしく感じません。 明瞭感,解像感,高域の伸び感も十分あって,極めて自然で聴きやすい好録音です。

所有盤: 7243 5 45554 2 8 (P)2003 The copyright in this recording is owned by EMI Records Ltd./Virgin Classics (C)2003 EMI Records Ltd./Virgin Classics (輸入盤)
Recording: Chapelle de Jesus Enfant (Paroisse Sainte Clotilde), Paris, 4-6 September 2002

P.S. このディスクは,いわゆるコピーコントロールCDです。 CDケース裏面の端に"Copy Controlled"と書かれており,判別限界と思えるくらいの小さい文字で注意書きがあります。 解説書には何も書かれていません。 また,2003年4月3日現在,Virgin Classicsのサイトにもコピーコントロールに関する情報が見あたりません。

パソコンのCD-ROMドライブに入れると,ディスクに付属のプレーヤアプリケーションが自動起動され,再生が始まります。 47kbpsの圧縮音声の表示が出ます。

使用されているコピーコントロール技術はおそらくCDS-200で,パソコンでのリッピング等が出来ませんが,その他に, SCMS(Serial Copy Management System)のコピー制限がかけられており,MD, DAT, 音楽用CD-Rへのデジタル・コピーも出来ません。 現在国内盤として発売されている一般的なコピーコントロールCDは,例えば東芝EMIのサイトのQ & Aにも書かれている通り, MD, DAT, 音楽用CD-Rへのデジタル・コピーができることが明言されています。 このディスクは,これら一般的な国内盤のコピーコントロールCDの仕様とは異なるようです。

(記2003/04/03)


演奏:
録音:

江藤俊哉 (Camerata 1982)
ヴァルデマール・デーリング(チェンバロ)
収録曲: Op.1-3, 10, 12, 13, 14, 15

何とも恰幅のよい演奏です。 堂々としており,音色も厚く豊かで中身がしっかり詰まっている感じで,聴き応え十分です。 まさに演奏者の個性を色濃く反映した演奏だと思います。 ただ,ヘンデルの音楽にマッチしているかというと,ちょっとどうかな,と感じます。 人それぞれの受け止め方はあると思いますが,聴いていて楽しくなるという感じはあまりありませんでした。

録音: 残響があるという感じではないのですが,響きによってやや音色が変化しているように聞こえます。 高域の伸び感がなくすっきりしませんし,明瞭感も少々良くないように感じます。

所有盤: 25CM-163 (P)1998 Manufactured by Camerata Tokyo Inc. Japan (国内盤)
録音:1982年8月16,17日 本庄文化会館

(記2003/03/19)


演奏:
録音:

ヤッシャ・ハイフェッツ(Jascha Heifetz) (RCA 1953)
エマニュエル・ベイ(ピアノ)
収録曲: Op.1-13, 15

威勢の良さ,歯切れのよさに思わず微笑んでしまいます。 時折入るポルタメントが演奏スタイルの古さを感じさせますが,最近の録音では聴けないということもあって,かえって新鮮に思います。 この演奏もハイフェッツの個性の塊といった感じですが,こういうのもなかなか楽しくて良いかな,と思います。

録音: モノラル録音。 かなり古い録音で,鮮明さに欠け,高域の伸び感も十分とは言えませんが,響きがほとんどなく,楽器音を非常に生々しく捉えており, 古さを感じさせるものの,細かいニュアンスまでしっかり聴き取ることが出来る,私好みの録音です。 スタジオでの録音だと思いますが,ホールや教会での録音と全く違う雰囲気を持っており,ピアノ伴奏ということもあって, なぜかとてもアットホームな印象を受けます。 不思議です。

所有盤: BVCC-37114 (P)1974, 1994 & (C)2001 BMG ENTERTAINMENT (国内盤)
"THE ART OF JASCHA HEIFETZ VOL.11"
Recorded November 30, 1953, Radio Recorders, Hollywood.
カップリング曲:モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ K.296, K.378, K.454

(記2003/03/14)


演奏:
録音:

ジョン・ホロウェイ(John Holloway) (CRD 録音不明)
L'Ecole d'Orphee (スーザン・シェパード(チェロ),ルーシー・カローラン(チェンバロ))
収録曲: Op.1-3, 6, 13, HWV359a, HWV408, HWV412

バロック・ヴァイオリンによる演奏ですが,音色と奏法にバロック・ヴァイオリンらしさが多少感じられるものの, 現代楽器による演奏とさほどイメージが異ならず,オーソドックスな印象を受けます。 要所で装飾が入りますが,極めて控えめです。 全体にとても整っていますし,躍動感もあり,すんなりと受け入れられる演奏なのですが,なぜか印象が薄いです。

通奏低音も控えめであまり意識されません。

録音: やや距離感があって残響も少し感じ,明瞭感,解像感がやや足りない感じがありますが, その割にとてもすっきりした録音であり,音色も比較的自然,高域の伸び感もほどほどにあって悪くありません。

所有盤: CRD 3374 (P)(C)1991 CRD RECORDS LTD. (輸入盤)
"Georg Friedrich Handel / The Chamber Music Vol. II"
Recorded at The Church of St. George the Martyr, Queen Square, London WCI.
オーボエ・ソナタとのカップリング。室内楽曲を集めたシリーズの第2巻。 ヘンデル作かどうかわからない例の4曲はこのシリーズに含まれていないようです。

P.S. ホロウェイが1975年に結成した L'Ecole d'Orphee という室内楽グループによる演奏。

(記2003/03/13)


演奏:
録音:

ヨゼフ・スーク(Josef Suk) (Denon 1975)
スザナ・ルージチコヴァー(チェンバロ)
収録曲: Op.1-3, 10, 12, 13, 14, 15

演奏者の個性を強く感じる演奏です。 演奏は,ややゆったり目のテンポで上品かつ穏やかで優しい雰囲気を湛えていますが,一方でしっかりしたアクセント付けによって芯の強さ,躍動感も感じます。 しかし,何と言ってもヴィブラートの効いた独特の音色が特徴です。 高域の伸びた澄んだ音色であり,かつ,甘美で暖かみを感じさせるところはさすがと言えます。 ただ,やはり演奏者の個性が強すぎて純粋にヘンデルを楽しむ,という感じではありません。

この演奏でもう一つ特筆すべきは,チェンバロの音色の美しさです。 また,録音のせいもあると思いますが,奥に引っ込むことなくヴァイオリンを支え,その上でしっかりと音楽を主張しているようで聴き応えがあります。

録音: 残響感がほとんどなく,それぞれの楽器音を極めて鮮明に,ストレートに捉えた好録音です。 音色も自然で帯域感も申し分ありません。 チェンバロも引っ込むことなく対等に捉えられている点も好感が持てます。 ただ,録音環境,空間性を再現するような録音ではないため,この点で多少の不自然さを感じます。

所有盤: COCO-70453 (P)2002 NIPPON COLUMBIA CO.,LTD. (国内盤)
録音:1975年6月30日〜7月2日,フランス,トゥール近郊,ベナルディエールのグランジュ
スプラフォンとの共同制作(COCO-85012の原盤による再発売商品)

(記2003/03/11)


演奏:
録音:

寺神戸亮 (Denon 1993)
クリストフ・ルセ(チェンバロ),鈴木秀美(バロック・チェロ),上村かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
収録曲: Op.1-3, 6, 13, 14, HWV358, HWV359a

バロックヴァイオリンによる演奏です。 バロックらしい装飾が要所要所で入るものの,素直でオーソドックスな印象を受けます。 溌剌としたリズム感と伸びやかな歌い回しが,この曲の愉悦性をうまく引き出していると思います。

通奏低音はチェンバロとチェロ(またはヴィオラ・ダ・ガンバ)です。 表立って意識されることはありませんが,地味ながらもしっかりヴァイオリンを支えていると思います。

録音: やや距離感があって響きが多く,音色を損なっており,透明感のない冴えない録音です。 明瞭感,解像感も良くありません。 演奏が良いだけに,聴いていて苛立ちを覚えます。残念です。

所有盤: COCO-75858 (P)1994 NIPPON COLUMBIA CO.,LTD. (国内盤)
録音:1993年2月26日〜3月9日,オランダ,ハーレム,ルター教会

(記2003/03/05)


演奏:
録音:

グスタフ・シュマール(Gustav Schmahl) (Deutsche Schallplatten 1980,82)
ジークフリート・パンク(ヴィオラ・ダ・ガンバ),ヴァルター・ハインツ・ベルンシュタイン(チェンバロ)
収録曲: Op.1-10, 12, 13, 15

現代楽器による演奏ですが,かなりバロックを意識した装飾が全体にわたって施されています。 しかし,この演奏の特徴は,独特のリズム感にあると思います。 最初,速い楽章のテンポの遅さに戸惑いを感じるのですが,これがまた,単に「遅い」とか「ゆったりしている」とかいった表現では片づけられません。 独特のリズム感に支えられた穏やかで優しい表現が必然的にこのテンポを要求しているという感じです。 従って,遅いからといって音楽が沈滞することはなく,むしろ聴き込むほどに虜にされていってしまう魅力があります。 この演奏は,他のどの演奏とも似ておらず,他の演奏には全く無関心であるかの如く独自の世界を築いています。 目から鱗が落ちる思いです。

音色も現代楽器とは思えない暖かさとふくよかさに満ちており,豊かなヴィブラートで歌われる節回しと相俟って,この演奏を一層引き立てています。 通奏低音は控えめで通奏低音に徹しており,意識に上ってくることはあまりありません。

録音: やや響きがありますが,近接でヴァイオリンにフォーカスされており,明瞭で生々しい好録音です。 音色は自然ですが,ちょっと濃厚に捉えすぎているかもしれません。 バランスとしてはチェンバロがやや引っ込んだ感じで,もう少し前に出てきてもよい感じがします。

所有盤: TKCC-15253 (P)2002 Made by Tokuma Japan Communications Co., LTD. (国内盤)
録音:1982年(Op.1-10,12),1980年(Op.1-13,15),ドレスデン・ルカ教会

P.S. 素晴らしい演奏ではありますが,この曲に初めて接する方にはあまりお勧めではないかな?と思います。

(記2003/02/28)


演奏:
録音:

アルテュール・グリュミオー(Arthur Grumiaux) (Philips 1966)
ロヴェール・ヴェイロン=ラクロワ(チェンバロ)
収録曲: Op.1-3, 10, 12, 13, 14, 15

独特の甘美な音色,ややぶつけるように飛ばすスタッカート,ちょっと唐突ながら思いっきりの良いアクセントなど, どこを取ってもグリュミオーを意識させられる演奏です。 これはもうヘンデルのソナタを楽しむというより,グリュミオーの芸術を堪能するためのCDと言ってしまっても良いのではないでしょうか。 演奏自体は,装飾も控えめで,楽譜を忠実に再現していこうとする正統的なものであると思います。

録音: 古い録音ですが,音の捉え方がよく,グリュミオー独特の甘美な音色がストレートに伝わってくる好録音です。 残響感もほとんどありませんし,おそらく音色も自然に保たれていると思います。 ヴァイオリンにフォーカスされていて,ややチェンバロが奥まって聴こえます。 もう少し対等に録音されていても良かったのではないかと思います。

所有盤: PHCP-603(432 709-2) (P)1966 (C)1990 Philips Classics Productions (国内盤)
録音:1966年1月2-6日,アムステルダム

P.S. アナログ時代から定盤として名高い演奏で,私もLP時代からよく聴いている演奏ではありますが, 最近様々な演奏に接してくると,郷愁を誘うこの演奏になかなか手が伸びづらく,何となく避けてしまっている自分に気が付きます...

(記2003/02/21)


演奏:
録音:

アイオナ・ブラウン(Iona Brown) (Philips 1978-83)
アカデミー室内アンサンブル(通奏低音)
収録曲: Op.1-1b, 3, 6, 10, 12, 13, 14, 15

現代楽器によるストレートな演奏です。 装飾も楽譜に記載されているトリル+α程度であり,この点では全くシンプルです。 演奏自身は上品でありながら,軽快なリズム,溌剌とした弾むようなアクセント,などによってとても快活であり, また,控えめながも歌い回しのツボをきっちりおさえていて,聴いていて楽しくなります。 演奏者の強烈な個性があるわけではありませんが,ヘンデルのソナタの世界を満喫できる普遍性のある好演奏だと思います。

通奏低音はチェンバロとチェロです。 通奏低音に徹しており,控えめで表立って意識されることはほとんどありません。 これはこれでよいのかもしれませんが,表現のバランスとしては,もう少し積極性があっても良いかと感じました。(録音のせいかもしれません)

録音: わずかに響きを伴っていますが,解像感,明瞭感の劣化はほとんどなく,全体にすっきりした印象を受ける好録音です。 高域の伸び感もあって音色も自然です。 ヴァイオリンに比べてチェンバロとチェロがやや奥まった感じです。 特にチェロはもう少し鮮明さが欲しいところです。

所有盤: PHCP-9185-6 (P)1982,1984 (C)Philips Classics Productions (国内盤)
録音:1978年〜1983年, ロンドン
作品1全曲(作品1の1異稿を含む全16曲)が収録されています(2枚組)。 独奏者として,アイオナ・ブラウンの他に,ウィリアム・ベネット(フルート),ミカラ・ペトリ(リコーダー),ニール・ブラック(オーボエ)が参加しています。

P.S. カップリングとして収められているペトリ演奏のリコーダー・ソナタがまた好演です。 録音も良く,ペトリの透明感ある明るいリコーダーの音色が堪能できます。 こちらはファゴットとチェンバロが通奏低音です。

(記2003/02/19)