角館に行った。
ご存じの通り、今年は異様に暖かくって、桜は 4 月中旬で終わっている。去年の角館は、GW と桜の開花がドンピシャで空前の人出だったらしいが、今年は、桜に関して言えば淋しいものだった。桧木内川の 2km に渡る桜並木も真緑である。
武家屋敷の通りに園芸屋があって、武家屋敷と言えば、の枝垂れ桜の苗を売っていた。
横に「
キシミレ」と書かれた鉢があったのだが、それがなんだかわからない。
最初、「レ」は字ではなくチェック マークで、「キシミ」という花なのかと思った。それも随分と変な名前なので横にいた母に聞いたらば「黄スミレ」だ、と言うではないか。このあたりでは「スミレ」を「
シミレ」と言うのだ。これには驚いた。
*1
そこにはカタクリもあった。
これは知らない人も多いと思うが、カタクリって非常に栽培が難しいらしい。自生のカタクリをひっこぬいて自宅の庭に植えても、まず育たないと聞く。
*2
カタクリの自生地が観光地になっているところは多いが、そんなわけだから抜いて行かないようにな。その個体は死ぬから。単に自然破壊を後押しするだけだ。カタクリって、花咲くまで
10 年かかるんだってよ。
カタクリの白い花は珍しいらしい。
なので、黒いビニールのポットに入ってるそれは \1,000 と高め。この中のどれかが白い奴だから、なんだそうな。白い奴って \20,000 もするんだと。
「
たがらくじだ」
とその婆ちゃんは言っていた。
蒲細工の店をのぞく。
「茶み」というのがあった。
俺の語彙では「茶さじ」である。
これは方言語彙ではない。為念。初めて聞いた、ってだけの話。
因みに、「茶身」と書く。
山谷 初男氏は――話が急展開だが、角館に行ったのは、俳優の山谷 初男氏と、秋田市の Dance Avenue Studio S というところのジョイント ライブを見に行くためだったのである。
場所は、旅館をやっていた山谷氏の生家を移築して作った劇場、「はっぽん館」。
山谷氏、愛称「はっぽん」さんは、歌う。今後は歌に力を入れたい、というようなことも言っていた。
はっぽんさんのアルバム「放浪詩集 新宿」は、詩が寺山 修二、演奏が はちみつぱい、という 70 年代 (前半) カルチャーを知っている人は悶絶しそうな面々が作ったものだ。実に面白い歌の数々。生で見ちゃった聞いちゃった。
試しにと思って
Yahoo! オークションを覗いてみたら、あった
(2002/5/1 現在)。あること自体にも大分、驚く。\5,000 近くしていたので入札はあきらめた。まぁ、安い方なんじゃないかって気はするんだが。ネット オークションから撤退しようとしている身にはちょっとキツい出費である。
*3
ステージは、その「放浪詩集 新宿」を中心に、新宿の雑踏、空気、匂いをダンスで再現する、というような構成であった。
すまんが、俺はダンスはよくわからん。スタイルの良い美人を多数見ることが出来てうれしかった、という程度のことは言えるが。
氏は角館出身。
角館というのは、武家屋敷でも有名だが、「火除け」でも知られている。
これは、武家町と商人町の間にある空白域である (だった)。文字どおり、延焼を防ぐためにわざわざ設けた空き地なんである。
というようなことが関係あるのかどうか、武士と商人はうまくやっていたのか、言葉遣いが上品である、なんてことを言われる。そんなこともあって「みちのくの小京都」なんて呼ばれるのだろうか。
*4
はっぽんさんの発話で特徴的なのは、「~なんです」に相当する「
~んす」。
例えば、「私はあんまりお酒は飲まないんです」は「
酒飲まねんす」となる。おそらく、ダ行の音が脱落したことに寄るものだと思うが、確かに上品な感じがする。あるいは、女っぽいと感じる人もあるかもしれない。
藤あや子も角館出身。
「角館」については、「
かくのだて」「
かくだて」の 2 つの呼び方がある。
どうやら地元の人は「
かくだて」と呼ぶようだ。それこそ武家屋敷のある中心地区を指すらしい。人によっては「
かくのだて」は行政区域、てな意識があるみたい。
地図を見てもらうと判るが、実は角館町は岩手県に境を接している。確かに広い。これがすべて同じ町よ、と言われて違和感を覚える人もいるだろうなぁ。
去年の暮れに、木村 拓哉が堀部安兵衛を演じて忠臣蔵をやっていたが、はっぽんさんはそこで木村 拓哉と競演し、あいつはすごい、と思ったのだそうだ。
そんなことを熱く語った結果、はっぽんさんの周囲では木村 拓哉の人気急上昇。局地的ながら、おじさんによるファンクラブがあるとかないとか。