家づくりのエポック

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家づくり

小学校時代を振り返ってみると,誰しも「隠れ家」に憧れたことがあったはずです.そして,その憧れた時の年齢は,ほぼ同じです.そう,3年生,4年生くらいの時です.ギャング・エイジの頃に,子供は「隠れ家」憧れるのです.

これはもちろん,子供の内面の成長,つまり,子供自身の中に「内面」が生まれはじめたことの兆候なのですから,これを教育の中で無視することはできません.それゆえ,シュタイナー教育では3,4年生の時期に「家づくり」のエポックが登場するのです.そこで,週1回の3年生クラスで2,3学期に「家づくり」を実践してみました.

とは言うものの,それ以前の学年では,2回ほどこのエポックを失敗しました.1回目はどうにか完成に至ったものの,かなり急ぎの仕事になってしまい,作るときも,作ったものにも子供が愛着を持てなかったようでした.

「家づくり」と聞くと,子供はそれぞれにイメージを膨らませます.よく出てくるのが「2階建てにしたい」という希望です.そして,その2階建は,自分が中に入れる大きさを想像しているようです.シュタイナー学校ですと,上級生が以前にどんなものを作ったのかを見ている子供が多いでしょうから,子供たちの想像も相応なものになっているはずです.しかし,一人ひとりの子供が置かれている状況はすべて違いますから,そこでのイメージも千差万別であって当然でしょう.1回目の家づくりで失敗した理由の一つは,子供たちが自分で描いた「家づくり」のイメージを強引に「現実的レベル」に引き降ろしてしまったからのように私は反省しています.

子供の作業能力

ドイツのシュタイナー学校で家づくりが行われる際に使われる方法は,主にレンガ積みです.これですと,一つ一つの作業にたいした熟練を必要とせず,40人の労力があれば,次第に出来上がっていきます.ところが,木造となると話は急にややこしくなります.以前,木工経験のあまりない方が,子供クラスで家づくりの計画しました.大きさは中型犬の犬小屋くらいですが,その方は柱や梁の継ぎ目をすべてホゾ組みで設計しました.(念のために付記しておきますが,「ホゾ組」というのは,一方に四角い穴を開け,もう一方の先を細く加工しその穴に組み入れる方法です).3年生の子供たちにノミを持たせ,木に穴を開けることがどれくらい困難かを予想していなかったようです.直方体の枠を作るためには,そのホゾ組加工を最低でも16箇所やらなくてはいけません.これは,DIYをやる大人にとっても,ちょっと骨の折れる仕事です.

1年目の「やっつけ家づくり」の際に,子供たちにノコギリを使わせてみました.たまたまDIYショップで「子供用ノコギリ」というのを見つけたので,私が自分で使っている大人用と2本を持っていき,さらにはその子供たちの家にあるノコギリを持ってきてもらいました.

はじめはもちろん,非常にぎこちない手つきで切り始めます.けれども,新たな道具を使うこと自体が大きな喜びであるのは間違いありません.順番に板を切る練習をしていきますと,「ぼくはこのノコギリがいい」と言いはじめました.それは私が常用しているノコギリです.実際に試して比べてみるとよくわかりますが,安物は安物なりの切れ味でしかありません.子供の教育の場では,できるだけきちんとした道具が必要になります.シュツットガルトのシュタイナー学校には木工教室が完備され,手入れの行き届いた水準以上の道具が置かれていました.子供たちに木工を教えようとするなら,教師は刃物を適切な方法で研ぐことぐらいできなくてはいけないようです.

子供にノコギリを引かせると,ノコギリがなかなかまっすぐに前後しません.腕が直線上を前後するのではなく,どうしても曲線の往復になってしまいます.そうなると,切り進むうちに歯が板に挟まって身動きが取れなくなってしまいます.腕の力を抜き,「まっすぐに引く」感覚を覚えさせるために,大人が後ろから子供の手をとって作業を介助してやるとよいようです.(もちろん,大人がノコギリをきちんと扱えることが前提ですが).
3年生くらいではじめてノコギリを使うのですから,ごく一部の例外を除いて,当然のことながら下手くそです.しかしながら,日を置いて2回,3回と繰り返すうちに,子供はめきめきと腕を上げます.それを目の当たりにしたときには,本当に感動しました.その他,釘打ち,ハンド・ドリルの穴あけといった仕事も,彼らにとっては大きな喜びです.まだ何かを作れるだけの技量はありませんが,作業そのものに喜びを感じています.

その中で,大多数の子供が熱中する作業があります.ヤスリがけです.その中でもとりわけサンドペーパーがお気に入りです.磨いていくうちに表面がしだいにすべすべになっていくのが楽しいようです.しかし,「スベスベにする」ことが容易に自己目的化しますので,作業をやらせる前に,何のためにどれくらいスベスベにする必要があるのかをはっきり言っておいた方がいいようです.ちなみに,この仕事は練習の必要があまりありません.子供の手でも初めから「戦力」として期待できます.2001−2002にかけて作った家では,必ずしもノコギリを使う必要はなかったのですが,作業を体験させるという意味で,上述の作業を組み込みました.

イメージのすり合わせ

家づくりと聞くと,多くの子供は非常に大きなイメージを描きます.白紙を渡して,どんな家を望んでいるかを描かせてみると非常に興味深い結果が帰ってきます.それを現実的な線に引き降ろすに当たっては,十分に時間をかけ,子供と話し合わなくてはなりません.ところが,この「現実的」というのが,意欲も失せてしまいそうなチープなものでしかないのです.

仮にレンガを積んで,1畳の大きさで高さ1mの家を作るとします.レンガを平積みにしますと1個で壁を21.5cm×6cm=129平方cmカバーできます.1畳サイズの家の壁の面積は,540cm(外周)×100cmですから,約54000平方cmです.これで概算しますとレンガが約400個必要です.レンガ1個が\80だとすると,\32000の費用がかかりますし,その運搬も容易ではありません.それにも増して,取り壊した後のレンガの処理にも困ります.

コンパネと呼ばれるベニヤ板を使えば,2畳くらいの家が安価にできますが,これだと板を並べて組み立てるだけという感じになってしまいます.

また,私たちが子供クラスで使わせてもらっている場所には非常に大きな制約がありました.つまり,作りかけの家をそこに置いておくことができない,のでした.そうした状況をふまえ,私が唯一可能な方法として思いついたのが,考案者であるバックミンスター・フラーの名を冠したフラー・ドームでした.富士山の山頂ドームもこの構造ですし,堂島アヴァンザの裏手にある神社らしきものもこの構造をステンレスで作ったものです.



説得工作

子供は一人で一つ作りたい,という願望を強く持っています.これに対しては,「仕事を甘く見ちゃいけない.大きなものはみんなで力を合わせないと作れない」という点を強調し,「まず1個つくって,その後で一人で作ることにしよう」といった提案をしながら,かわしました.実際,1個つくる大変さを体験しますと,「一人で一個」は口にしなくなります.

とは言うものの,私たち大人もこうした子供の願望と五十歩百歩でして,あれもやりたい,これもやりたいと口にはしますが,どれくらいの労力と時間が必要は全くわかっていない場合も多々あります.夢を失ってはいけませんが,夢ばかり見ていては大人ではないでしょう.ひょっとしたら,夢を実現していく道筋を体験し,知っているのが大人なのかもしれません.

ここで,自分の作りたい家の構想を絵に描かせますと,子供を現実に戻すのに非常に有効ですし,そればかりでなく,子供の様子を知る手がかりがたくさん得られます.2階建てにこだわる子いれば,わりとあっさりと自分が置かれている現実を理解する子もいます.こだわりがある場合,その細部に関しては何らかのイメージができあがっているのですが,それ以外の部分についてはまったく考えがおろそかであったりするのです.たとえば,小学生が「今日,ぼくが夕飯を作りたい」と言って始めたとします.それで,大好きなハンバーグを作り,ご飯を炊くかもしれません.ところが,サラダなど,他のおかずについては,何も考えていなかったりするのです.しかし,これもよく反省してみますと,大人も別な場面では同じことをしています.こんなときに他人から未熟者扱いされたら,大人でも気持ちよくはありません.事柄が自分に軌道修正を迫っている,と子供が感じられるやり方で接するのが理想でしょう.

こんなことをやりながら,子供たちにはいろいろな民族の家についてお話していきました.エスキモーの家はもちろんのこと,アラブの日干し煉瓦の家についても話しました.土をこねてそれを天日で乾かしただけのものでも家が作れるのです.でも,それを日本に持ってきたらどうなるでしょう.基本的には泥でできた家ですから,雨が降ると泥が少しずつ流れていってしまいます.台風が来て大雨が降ったら壁はベチョベチョになってしまうはずです.こんな話をすると,家と土地とが密接につながっていることが子供たちの意識に上ります.アフリカに住むマサイ族の話も子供たちは興味を持って聞きます.ウシやヤギなどの家畜を連れ,乾燥した大地を移り歩いていく民族です.アフリカとはいえ,乾燥した土地では夜はとても冷えます.家なしでは生活できません.何を材料にして作ったらいいでしょうか.土は砂が多く粘土のようには固まってくれませんし,もし練るとしても水は貴重です.また,すぐその場で手に入る材料でなければ家は作れません.このように話を進め,マサイ族が潅木の枝とウシの糞で家を作ることを紹介します.

このように紹介していきますと,人々が自分たちの家を身近に手に入る素材で作っていることに子供の注意を向けやすくなります.そうしておいてから,私たちにとって身近に手に入る素材が何であるかを検討していきます.まず出てくるのが木です.実際,日本という国は木が多く,先祖たちはみな木で家を作ってきました.しかし,現在では自由に切れる木などはなく,ホームセンターで買わなくてはいけない素材になっています.こうして考えていきますと,必然的にたどり着くのはダンボールです.

昔,シュタイナー教育に興味を持った小学校の先生が,ダンボールを使って「家づくり」に挑戦したのだそうです.ところが結果は,教室の中に「路上生活コーナー」ができただけだったそうです.何か工夫をしないと,どうしてもそこに落ち着いてしまいそうなのですが,さいわい,ここで紹介したフラー・ドームなら決して単なるダンボール・ハウスには見えません.

子供の中に出来上がりのイメージがありませんと,作業のモチベーションが上がらないのは目に見えています.作業自体は単調でも,出来上がりのイメージが明確にあると,飽きてしまうことが少なくなります.編物などはその典型でしょう.マフラーなりセーターなりを編もうとしていることを自分が知っているからこそ,個々の単調な作業が退屈にならないで済むのではないでしょうか.

出来上がりのイメージという点で,伝統のある学校は非常によい循環が生まれる可能性があります.つまり,下級生が上級生の成果を体験することで,「自分たちもああしたものを作るんだ」とイメージできるからです.たとえば,シュツットガルトのシュタイナー学校の演劇やオーケストラの水準は非常に高いのですが,それは伝統の積み重ねの中で生まれてきているのだと思いますし,一朝一夕にできるものではないはずです.
しかしながら,私の子供クラスではこの「伝統の力」は当てにできません.どうにかして,出来上がりのイメージを子供に提示しなくてはなりません.そこで私は,模型を作りました.実際,模型の威力は大きく,子供たちは何をどうしてどのようなものを作るかを了解してくれました.

フラー・ドーム

フラー・ドームの構造は単純です.サッカーボールを見ますと,正五角形の面が12個,正六角形の面が20個あります.そして,それぞれを五角形,六角形の傘にしたと思ってください.すると五角形,六角形が平面ではなく,中央がやや持ち上がった形になります.その〈傘〉を組み合わせてドームにするわけです.平面ですと曲げの力に対して弱いのですが,傘型にすることでずっと丈夫になります.もちろん,傘の頂点を高くしますと丈夫になりますが,ドームとしての美しさを出すためには,ある一定の割合にする必要があります.これを具体的に作るためには,2種類の二等辺三角形を使います.つまり,五角形傘を作るための二等辺三角形と六角形傘を作るための二等辺三角形です.

完全な球状の形にするためには,五角形用二等辺三角形を5×12=60枚,六角形用二等辺三角形を6×20=120枚つくる必要があります.しかし,カマクラ状の小屋では下1/4が不要ですし,窓および入り口部分は木で作りますので,前者が5×5=25枚,後者が6×11.5=69枚ということになります.作業としては,ダンボールを三角形に裁断するのに一番時間を必要とします.また,大型カッターを使いますので若干の危険を伴います.それで,10人の子供に対し,補助に3人のお母さんに入っていただき,作業を進めました.また,お母さん方との話し合いで,「子供たちで三角形を作りきれなかったら切断を親が手伝う」ということになっていましたので,子供たちにはできるところまでやってもらうつもりでいました.単調な切断作業が2,3回(2,3週)続き,子供たちは明らかに飽きはじめていました.そこで,やや飽きっぽいA君をつかまえ,みなの前で「この仕事には飽きてきたみたいだから,続きはお母さんにやってもらうこともできるから,無理しなくてもいいよ.でも,子供たちだけで作るかい?」と尋ねてみました.すると,きっぱりと「自分たちでやるわい」という答えが返ってきました.教師としては,しめしめ,という感じです.

作業を進めるにあたって,厚紙で所定の三角形の原寸の型紙を用意しました.それをダンボールに当てて外形を描き,長めの板を定規代わりにしてカッターで裁断するわけです.床にカッターの傷がつかないように,カッティングマットを使いましたが,足りないときにはダンボールを下敷きにしました.この点に関しては大人が万全を期して,仮に子供が床に傷をつけてしまっても,「準備が不十分だった」ということで大人が責任を取る必要があります.できるだけ,子供の失敗を責めないようにすべきです.大人でもそうした失敗をやらかすのではないでしょうか.
定規の幅が狭いと,抑えるために指がカッティング・ラインの方にはみ出しやすく,非常に危険です.私自身,子供の頃,その失敗でひどく指を怪我したことがあります.

さて,カッターで切る際には,切り方をきちんと教えてやらなくてはなりません.刃の角度,力の入れ方などです.カッターを使う際には,大人でも刃をかなり立てているのをしばしば見かけます.極端な場合は,鉛筆で線を描くときと同じくらいの角度です.しかし,刃は寝かせた方が安定して切れます.20度から30度くらいの傾きです.カッターを握った手の指が切るダンボールに触れてもいいくらいです.

作業の様子
切断作業中の子供たち
切断の際の定規には幅のある板を使っている.


子供は一回で切断しようと,どうしても力をいれます.そうしますと,危険ですし,また線も曲がりやすくなります.「5回,あるいはそれより多くなぞって切れればいいよ」と教えてやります.そして,1回目は特に弱い力で正確に線をなぞるようにします.定規を当てていても,力を入れすぎると線が曲がりやすくなります.
上の記述でもおわかりでしょうが,教える際には大人としてやすやすとやっている行為をもう一度意識化しなおして,どこに困難があるのかを把握し,予想可能な過ちはチェックしておく必要があります.自分が当たり前にやっていることを自覚化する,というのは必要な準備でもありますが,大人にとってはすばらしい内的な練習でもあります.しかし,チェックを十分に行っていても,考えられないような失敗というのは出てきます.「落としブタ」と聞いて煮物に豚肉を落とした,とか,「サイの目に切りなさい」という指示に,「サイの眼ってどんな形でしたっけ」といった有名なお話もあるではないですか.

三角形を切り進めるのと平行して,五角形傘,六角形傘を組み立てていきます.これには透明荷造りテープを使いました.紙のガムテープを使いますと,その上からはテープを張ってもテープが効かなくなってしまいますから,注意した方がよいでしょう.

5枚(6枚)の三角形をできるだけきっちりと隙間のないように気をつけ,非常に平べったいながらも〈傘形〉になるように注意しながら張り合わせていきます.五角形の方は〈頭〉がやや尖っているので安定した形になりますが,六角形の方は非常に平面に近く,しばしば〈オチョコ〉状態になるものができてしまいました.ドームを組み立てるまでは〈オチョコ〉が災いしてドームが崩れてしまうのではないか,と心配しましたが,オチョコになってもドームは安泰でしたので助かりました.

素材がダンボールですと軽すぎて大地に結びつく感じがありませんので,何か土台を考えなくてはいけません.土台ですから,もちろん,重いにこしたことはないのですが,持ち運びのことも考えなくてはなりません.そこで角材をノコギリで切ってそれを土台にすることにしました.かくして,ホームセンターで2×4材を購入し,それを所定の長さに切らせました.これは松材でやわらかく,大変切りやすいので,子供たちのお気に入りの仕事でした.

土台と本体もガムテープで固定することにしました.
問題は,入り口と窓でした.それぞれ正六角形,正五角形に切り,さらにその中をくり抜くのですから,工作は容易ではありません.今回は,コンパネを材料に私が裁断し,工作して作って持っていきました.ジグソウを使い慣れた人なら問題なく作れますが,そうでないと難しい仕事です.ダンボールを六角形の枠状に切り,それを数枚か重ねて接着する方が現実的かもしれません.あるいは,5mm厚のベニヤを大型カッターナイフで切るという手もあります.

土台部分
土台部分の組み立て

こうして材料がそろって作業が一段落したところで組み立て決行日を決めましたが,本当に組みあがるのかが心配です.苦労を重ねてきたものが,最後でぽしゃってしまっては教育的にもダメージが大きすぎます.そこで,お母さん方に協力していただき,事前に組み立ててみました.理科の教師が授業で実験をする際には,必ず事前に予備実験をしするのと同じです.すると何の問題もなく,30〜40分で組みあがりました.パーツさえそろっていれば,本当に短時間で組み立てられるのです.それでも,決行日はいつもより時間を長くとり,組み立ててからその中でお汁粉を食べ,ひとしきり遊び,最後に分解しました.

屋根部分
屋根を運ぶ

10人の子供たちが,言われなくても自分から仕事を探し,喜びをもって組み立てていった姿は忘れられません.
完成
完成!!
土台は木材です.

批判

フラードームを使った「家づくり」に対し,シュタイナー教育運動の仲間から以下の2点の批判を受けました.「これがシュタイナー教育だとみんなに思われてしまったら困る」というものでした.
  1. 柱の体験がない
  2. 旧約聖書のアダム&イヴの関係からいえば,作る家は「素朴」でなくてはいけない.その点,フラードームはモダンすぎる.
これらの点について,批判は全くその通りです.

しかし,私にも私なりの考えがあります.

シュタイナー教育者は理念(イデア)を見据え,それを理想としなくてはいけません.その意味で,私たちは
徹頭徹尾,理想主義です.しかし,理念が物質界に受肉する際には,さまざまな制約を受けます.大輪の花を咲かせることのできるキクの種であっても,物質的条件によってはみずぼらしい花しかつけることができないかもしれません.しかし,それでもキクなのです.逆に言えば,シュタイナー教育には決定版の教材というのは存在しません.どの一つをとっても,「ある一つの実践」でしかありえないのです.

私の計画による家づくりは,時間的にも物質的にも非常に制約された中で行わざるをえませんでした.その意味では,非常にみずぼらしい家づくりです.しかし,週一回のクラスでも家づくりが可能であることを示すことはできたと考えています.

もちろん,条件さえそろえば,もっと本格的な「家づくり」をやりたいと思っています.

組み立て

基本パーツ

基本パーツは以下の二等辺三角形です.必要な数は,六角形用が69枚,五角形用が25枚です.

三角形の形

この三角形を組み合わせて,まず傘状の形をつくります.六角形用からは六角形の傘,五角形用からは五角形の傘ができます.他に,六角形用を3枚用いて,六角形の半分のもの(台形)を5つ作ります.

土台は2×4材を用いましたが,ある程度重みのあるものでしたら,何でもかまわないと思います.
この設計ですと,長さ400mmのものが4本,405mmのものが10本必要です.

屋根

屋根部の中心は五角形傘です.その周りに六角形傘を6枚,貼り付け,その六角形同士も貼り付けますと,屋根になります.
屋根部分

壁部分は六角形傘と台形を交互に貼り付けて,円周状にします.台形は長い辺が下にくるようにしてください.六角形傘の一つは入り口として,枠だけのものを用います.

壁-1

次に,台形部の上に五角形傘をつなぎ合わせます.五角形傘の一つは窓になりますので,やはり枠だけのものを使ってください.

壁-2

仕上げ

壁部に屋根部を乗せ,粘着テープで張り合わせれば完成です.