そんな感じ
 
 
 
 

 多分好奇心


 
 その次に興味
 

 あいつに対する感情はそんなところから始まった
 
 
 
 
 
 
 

 恐怖ではなかった。あの時、襟を掴まれ吊り上げられた時一番先に湧き上がって来たのはこのヒトの心の中に巣食っているのは一体何なのかという疑問だった。
 「お帰りジェン、遅かったね」
 今日一日何処へ行くとも言わず出て行った僕の部屋でお留守番させられていたテリアモンは、かなり不機嫌そうな声で出迎えてくれた。
 「何処行ってたんだよー。あの騒ぎから一週間しか経ってないのにな〜、僕なんかまだ心理的ダメージ残ってるのにな〜。」
 「悪かったって」
 「行くなとは言わないけどさ、ボク連れて行ってくれたって良いのに〜」
 ぴょこんと器用に僕の頭に乗ると頭上から抗議。
 確かに連れて行ってあげたいとも思ったけど、相手の正体もわからない今、テリアモンを連れて行くには多少の不安もあったし、何よりあのときのあいつの反応を見れば、彼がデジモンに対して好意的でないことは明らかだ。
 「ねぇどこ行ってたの?」
 だからそんな風に聞かれても。
 「内緒」
 と答えるしかない。
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふーん」
 「何だよ」
 機関銃のように抗議していたテリアモンが不満を含みつつも何か納得したようだ。
 それもある意味不気味。
「いいなよ、テリアモン」
 頭の上のテリアモンの脇をコショコショとくすぐりながら極めて、紳士的かつ優しげに僕。
 テリアモンは小さな子どもが上げる様な甘えた笑い声を立てながら頭の上で器用に転げる。
 「あはは、ずるいよ、ジェン。くすぐったい、ってばぁ」
 小さい手足を力いっぱいめちゃくちゃに動かして、大笑いしながら体をひねり。軽くジャンプし一回転しながらベッドに綺麗な着地をして見せた。
 「ボクがシュウチョンにあんなことや、こんなことされてる間、ジェンもあいつとあーんなことや、こーんなことしてたのかぁって思っただけだよ」
 ベッドにちょこんと座ると、僕を見上げながらテリアモンがにやりと笑う。
 その笑顔に邪気がない分、恐ろしい。
 大体ボクは今日何処へ行くとも、誰と会うとも言わずに出て行ったハズだ。なのに「あいつ」って?それに何かを確信したようなこの口ぶりは??
 テリアモンの何気ない一言に、いくぶん動揺したのか、一瞬返事に窮してしまった。
 それがいけなかった。
 「あー!やっぱりそうだったんだ!!!!かま掛け、今のかま掛け」
 「っ、テリアモンーーーーーー」
 「でもね、大体誰に会いに行ってたかも想像ついてるんだよボク。白状しちゃいなよジェン」
 思わず脱力してベッドにうっつぷした僕の頭を小突く。
 「じゃ、当ててごらんよ」
 むくりと、頭を持ち上げて僕。
 「いいの?」
 「その代わり、ヒントなし。答えが間違ってても僕は正解を教えないよ」
 「いいよ、自信あるもん」
 ふふふ、と小さく笑うと人差し指を一本口の前に持ってきて一言。
 「サングラス」
 もう一度僕は脱力するしかなかった。
 「すべてお見通しって訳か」
 「パートナーだからね」
 一本とったとばかりに明るい声。
 「でも、当たったのは半分。結局会わなかったから」
 「そうなんだ、ジェンって同じ年の子には強気だけど。そうゆうとこ弱いんだ」
 「違うよ、何処にいるか見当つけてたけど。今日は運が悪かったのか外に出てこなかったんだ」
 だから会えなかったの。と強がる。というかそれが事実で、決して気後れしたからではない。
 「でもなんで会いに行ったりしたのさ、この間のリベンジ?」
 両手で首をしめる真似事までしておどける。
 パートナーだから。と言っても、この僕の行動までは理解できなかったらしい。
 無理もない、相手が相手だから。
 「情報収集・・・・・・・・・・・・のつもりだったんだけど、正直自分でも判らない」
 「ジェン?」
 「都庁前で首締め上げられただろ?何で僕あの時反撃できなかったんだと思う」
 「相手が大人だったからかなぁ」
 「相手が誰だろうと、理不尽な暴力に黙ってるほど僕はお人好しじゃないよ」
 「そうだよね、ジェンなら金的の一つや二つ蹴り上げてるよね」
 「いや、そこまでは・・・」
 テリアモンの不名誉な僕のイメージを一応は否定しておく。
 「でね、何で反撃できなかったんだろう。って考えてたらさ、思い出したんだよ」
 一呼吸置く。
 そしてもう一度あの場面を心の中で描く。
 そう、僕は見てしまったから。
 「あいつの眼見ちゃったんだよ、凄く怯えてた」
 「え〜。怯えてたかな〜〜〜。それに眼なんて見えないでしょ?サングラスで。見間違いじゃないの」
 テリアモンの意見ももっとも。
 「光の加減でさ、見えたんだよ」
 デジモンに対してだったのか。
 自分が呼び込んでしまった予測不可能な状況にだったのか。
 それとも僕ら「テイマー」に対しての物だったのか。
 怯えのような、恐怖のようなあの瞳。
 心の中に一体何を飼っているのか知りたいと思った。
 「いつも物を上から言うような高圧的な態度だったろ、でもなんか心の弱い部分見ちゃったって言う感じでさ」
 「ふ〜ん。それで興味持っちゃったんだ、ジェンも大変な人気に入っちゃったね」
 「気に入っちゃったって・・・・・・」
 いや、気に入ったと言うか何というか・・・興味を持ったのは事実だけれど。
 「ジェンて判らないことは横においとくのやな人だもんね」
 「判る?」
 「パートナーだからね」
 身体は小さいが懐の大きな僕の友達は、もう一度全てを見抜いたように「ふふふ」と笑った。
 
 
 
 
 
 
 
 


あとがき


やっちまいました、勢いだけで。
14話の山木が健良を締め上げるシーン見ただけで書いちまいました。
笑ってやって下さい、勢いだけで書いたからすげー変だしの二人でもっと何か書きたいな。これだって序章みたいなもんだし(笑)