さらに美味しく もっと楽しい   (お気づきの点は、コメントいただければ幸いです。)

              マイビア ○秘テクニック

はじめての方はもちろんのこと、経験のある方にもお勧めしたいちょいとしたステップアップの作り方のテクニック集です。
マイビア造りでは、手間と仕上がりは正比例します。
どこまでするかは、本人の自由ですが、ちょいとしたことなら是非トライしてみましょう。
なお全般に関してましては、基本的な内容を中心に、器材・用具については、現在当店が販売している商品を主体に解説しています。



●モルト缶フックで楽々仕込み〜

●冬こそ本格ラーガービールにチャレンジ!

●よりクリアなマイビアを楽しむドライイーストの事前準備の手法

●角丸発酵容器のお手入れ  ー シーズン前後が効果的ですね

●筒型発酵容器のお手入れ  ー シーズン前後のお手入れで よりクリアなマイビアを!


●水の全量殺菌で、雑味のないクリアな仕上がりを年中可能に!

●よりクリアな仕上がりになるダブルステージ発酵に挑戦!

●さらに美味しくなる「ホップ」の使い方



●モルト缶フックで楽々仕込み〜

暑い季節だとそうでもないが、寒い時期だと仕込み時にモルト缶の中身が缶の側面にひっついてしまい、どうにもこうにも往生することはないですか。
今回は一次発酵の手順のおさらいと、モルト缶フックを使っての、中身を手間をかけずにきれいに取り出す方法を解説します。


前もって缶詰のラベルをはがしておきます。カッター等で縦に一箇所切目を入れるとするするとはがせます。

一箇所が接着でとめられていますのでどちらか一方の端をきれいにしておきましょう。 
(ワート溶液にあたるかもしれないので)
 
最後に缶全体をきれいに洗っておきます。
 





缶きりで缶詰の上部を一部を残して切っておきます。
2Lのお湯を沸かします。沸騰したら必要量の補糖を入れます。
入れ終わったらよくかき混ぜ、一度沸騰させてから火を止めます。



 


モルト缶フックを鍋の胴に取り付けます。(幅がある方を鍋にかけます)
モルト缶の中身を落とします。缶ふたは90度よりちょっと外側に曲げます。
中身があらかた出たら、缶をフックに引っ掛けます。
このとき缶ふたがモルト缶自体を支えるような感じになります。
(缶ふたをつけるのがいやな場合は、あらかじめふたを切り取っておきましょう)


 


このまま5分から10分ほどおけば、中身がきれいにとれます。







●冬こそ本格ラーガービールにチャレンジ!

真冬ともなれば、モルト缶に付属のイーストで仕込むのは温度が低くて
なかなか大変ですね。
ヒーター等を使って仕込んでおられる方もおられると思います。

ところがこの時期だからこそ仕込めるマイビアがあります。
それはラーガーイーストを使った本格ラーガービールです。

実はモルト缶に標準添付のイーストは、ブラックロック社 エドメ社ともに
エイルビール用のエイルイーストです。
つまり、ラガーモルトの銘柄の場合、仕込みはエイルイーストになっているのですね。
これは、誰にでもわかるような共通の作成方法と、温度管理の柔軟さから
そうなっている訳ですが、こういう寒い時期にこそ、銘柄本来の味を
堪能してみましょう。

下面発酵用ラーガーイースト(11.5g)の発酵温度は12℃から20℃で
ベストな温度は14度前後です。(約10日程度の発酵)
発酵温度が高くなるにつれ、発酵日数が短くなります。
9度でも発酵しますが、その分日数がかかります。

いつ発酵が終了したのか気になる方は比重計を使うとわかりやすいでしょう。
5日目くらいから計ってみて、比重の値に変化がなくなれば、
ほぼ終了時期と判断できます。

標準添付のイーストは、通常の時期の仕込み用にとっておくとよろしいですね。
モルト缶に標準添付の量は5-6gが一般ですが、これは必要最低限の量なので
1.5-2倍の量があったほうが、スムーズな発酵ができます。
とりわけ加糖している場合はなおさら必要となります。

熟成は低温で4-6週間かけるとベスト。(好みによりますが)
「ラガー」とは、’発酵終了後に低温で熟成させたビール’がもともとの意味です。
なおラーガーイーストは1仕込に一袋全量お使い下さい。

出来上がりは、今までのエイルイーストとは味わいが全く違ってきます。
共通しているのは、非常にクリアな味 そしてクリアな色ですね。
低温仕込みですからエステル臭もほとんどなく、クリアな香りです。
「おおっ」と思わす感嘆してしまうかもしれません。

 

ラーガーイーストを使ってのお勧めの銘柄は
ブラックロックでは、ラーガー・ドライラーガー・メキシカンラーガー・
コロニアルラガー・ボック・エクスポートピルスナー がベストマッチ。
エドメでは、クラッシックピルスナー・オリジナルドラフト がいいですね。


ドライラーガー・メキシカンラーガーに添付の「エンザイム」は、
低温ではほとんど活動しませんので、これまた通常用にとりおきされるとよろしいで
しょう。
エンザイムは ドライラーガー・メキシカンラーガー 以外の銘柄にも働きます。

ただしエンザイムをブラック系の苦味の強いものに使いますと、超辛口に仕上がります。
「辛口がいい」とおっしゃる方は春にお試しあれ。
(極、いや激辛口と言った方があたっているかもしれませんが)



●よりクリアなマイビアを楽しむドライイーストの事前準備の手法

マニュアルでは、冷えたワート溶液上に振りかけると説明しています。
これでもいいのですが、少しだけ工夫をしてみましょう。
とりわけ、発酵がなかなか始まらないといらいらした方にはお薦めです。

乾燥酵母は、いわば休眠状態の酵母です。
この酵母をいきなり低い温度の水で戻すとショック死しやすいと言われています。
しかもそれがワート溶液ですと、目を覚ましてすぐに食事をせよということですのでなおさら酵母にとっては過酷な状態ですね。
パンを作るとき、パン種にいきなり酵母を入れるとうまく発酵しないのと同じですね。
日本酒の製造工程で、「酒母」を造り、増殖した元気な酵母を使って本仕込みをするのに似ています。

一般的に予備発酵といわれるのは、ぬるま湯200cc(30度位)にスプーン2杯程度(6-8g)の砂糖を溶かし数時間ほど事前に発酵させてその酵母溶液を使います。
ただこの方法ですと目を覚まさせてすぐに食事をさせるのとさほど変わらないので時間もかからず、簡単にできる方法を紹介します。

冷ましたワート溶液を鍋から発酵容器に移す10-15分ほど前に35度から40度程度のぬるま湯100ccに溶かしておきます。(ラガー酵母も同様)ワート溶液を発酵容器に移した後に酵母溶液を入れておしまいです。
ただ時間にはくれぐれも注意です。
長時間ぬるま湯につけておきっぱなしにしますと、蘇った酵母が空腹で死んでしまいます。
より凝った方法を試されたい方は、一時間前にぬるま湯に酵母を入れて10分ほどしてから少々のレモン汁とワート溶液を入れて目覚ましと予備発酵を行うとよろしいでしょう。

以下の画像は少量のぬるま湯にイーストを入れて、10分後にワート溶液(スタウト)を投入、その後1時間半ほどの間の変化です。発酵しているのがよくわかりますね。

          



●角丸発酵容器のお手入れ  ー シーズン前後が効果的ですね

実際、消毒には皆さんかなり気を使っておられるようです。
今回はコックの内側のブラシでは洗えない部分の○秘テクニックを披露しますよ。

1.用具を準備しましょう −−発酵容器・メンテナンス用ブラシ(当店にて扱っています)・スポンジ・漂白液・中性洗剤・ウエスなどの柔らかい布・タッパ−など

  よく晴れた日がいいですね

2.発酵容器本体を洗います

汚れをふやかすためにコックをつけたまま、内側に水をこぼれるまで満たします。
フタも中に浸けておきましょう。
中性洗剤をひとかけ入れ10分ほどそのままにします。
(注:汚れがひどい場合は洗剤の代わりに、漂白液を少し入れましょう)

フタを取り出して、柔らかいスポンジを軽くあてて内部を洗います。
発酵容器本体は、つるっとしていて非常に洗い易いですが、引っかき傷ができるとそこに
細菌などが忍び込みますので、硬いブラシでごしごしと擦ることは避けましょう。


   

コックを開けて水を通します。
中の水を全部出してから容器の外側を洗います。
取っ手付け根の出っ張り部分はブラシできれいに洗いましょう。
コックをはずして、取付部分の穴をウエスなどの乾いた布でよく拭きます。


    


3.フタを洗います。

フタの内側の溝部分は、メンテブラシで溝をよく洗います。
フタの両面をスポンジで軽く洗いましょう。
よく洗ったら、風通しのよい場所で本体共に乾燥させます。

   


4.コックを洗います。

コックはネジとパッキンをはずしタッパーに入れ水と洗剤もしくは漂白剤を入れ10分ほどつけおきします。

漂白液につけておいたコックをよく水洗いします。
メンテブラシを使ってコックの口の中、根本の穴、コックのねじ部分をきれいにします。
終わったら水洗いをして、よく水を切り乾燥させましょう。


  


  

5.コック内部の汚れに関して

コックは従来型・細口タイプ共に本体部分が2ピース構造となっています。
そのため発酵で使っていますと、内側におりがつきますがこの部分はブラシは使えないため洗うことができません。
そこでお薦めするのが超音波洗浄器です。
一般的にはメガネや貴金属の洗浄に使われますが、コック内部の汚れにも威力を発揮しました。
10分程度の洗浄でほぼ内部もクリアになりました。
(実際使う場合は5分後に位置を前と変えてさらに5分かけて下さい)

  


6.仕込み直前の消毒
 
専用発酵容器は、使う寸前に内側をアルコールスプレーで数回吹き付け全体をむらなく消毒します。
(当店扱いのアルコールスプレーの場合は、若干溶液が残っていても人体に無害です。それ以外の消毒液を使われている場合は、注意書きをよく読んでご使用下さい。)




●筒型発酵容器お手入れ −  シーズン前後のお手入れで よりクリアなマイビアを!

楽しみにしていたマイビアの味が、なんとなく雑味がしたりカビっぽかったりすると悲しいものがありますね。
発酵温度も重要ですが、実は作成器具の掃除(消毒)も非常に重要です。
とりわけ発酵容器は、ワート溶液が直接触れるので注意が必要ですね。
続けて仕込んでいるときはそこまで掃除をしなくても大丈夫ですが、シーズンイン時には是非きれいに掃除をしてやりましょう。
掃除のポイントは、コックの部分やふたの裏側などの盲点部分です。

1.用具を準備しましょう −−発酵容器・メンテナンス用ブラシ(当店にて扱っています)・スポンジ・漂白液・漂白時のタッパ−など

  メンテブラシはサイズ違いが4つ付いて便利

2.専用発酵容器のコックを消毒します

コックの内側のねじを緩めてコックを取り外します。
パッキンも取り外します。
   

タッパ−に薄めた漂白溶液を入れてコックを30分程度浸します。
ノズルも一緒に入れるといいですね。

 

3.容器全体を洗います。

専用発酵容器本体は、つるっとしていて非常に洗い易いですね。
ふたの裏側はスポンジでよく洗いましょう。

ただプラスチック容器は引っかき傷ができやすいので、硬いブラシでごしごしと擦ることは避けましょう。
引っかき傷に雑菌が忍び込みます。(痛んできたら取り替えましょう)
ワート溶液に直接触れる場所ではありませんが、取っ手の付け根部分の裏は汚れがたまりやすいのでメンテブラシできれいにします。



よく洗ったら、風通しのよい場所で乾燥させます。

4.コックをブラッシングします。

漂白液につけておいたコックをよく水洗いします。
メンテブラシを使ってコックの口の中、コックのねじ部分をきれいにします。
終わったら水洗いをして、よく水を切り乾燥させましょう。


  

5.ポリタンクの場合

ポリタンクは、本体自体に結構凹凸があり、きれいに洗うのはなかなか難しいです。
容器を透かし、汚れがついていないかチェックしながら洗っていきましょう。
凹凸部分にこびりついている場合も多いのでちょっと力を入れてスポンジで洗うといいですね。
盲点はふたの裏です。結構かびていたりします。
ふたについているパッキンをはずして、漂白液につけて消毒します。
30分ほどつけたら、水洗いをし、ふた裏のねじ部分などを中心にメンテブラシできれいにします。

    

終わったら水洗いをして、よく水を切り乾燥させましょう。

6.仕込み時のポイント
 
専用発酵容器、ポリタンクとも、使う寸前に内側をアルコールスプレーで数回吹き付け全体をむらなく消毒します。(当店扱いのアルコールスプレーの場合は、若干溶液が残っていても人体に無害です。それ以外の消毒液を使われている場合は、注意書きをよく読んでご使用下さい。)




●水の全量殺菌で、雑味のないクリアな仕上がりを年中可能に!

モルト缶を使って造られている方は、使用するお水はそのまま使っている場合が多いと思います。
ワート溶液を造る時点で、お水をいったん沸かしますので、その段階で滅菌できているのですが、問題は発酵容器にあらかじめ入れてある大量のお水ですね。
実は、マイビア造りではこの全量殺菌はとても重要なことなのです。
とりわけ、季節によって出来上がりにむらがあったり、湧き水などをよく使う場合には要注意です。
実は水道水といっても細菌がいないわけでもないのです。
水質検査では、一般細菌と大腸菌群の項目があって、一般細菌の適合基準は100個以下/mlだったと思います。
湧き水となれば、たとえ同じ場所でも季節によってずいぶんとばらつきがあるものです。
 

湧き水の場合は、その場所、季節でずいぶん違いますね。
低い山で夏場に出が極端に悪くなる湧き水はかなり浅い場所を通っているかと思われますので雑菌の注意が必要です。
今まで使って非常によかったのは、大山の甲川近くの湧き水それと大台ケ原の和佐又山の湧き水ですね。
とりわけ大山の甲川近くの湧き水は100mほど離れた2ヶ所あるのですが、普通の方が口にして区別できるほど水質が違います。近くても水源が違うのでしょう。
市販のミネラルウオーターでは、室戸岬の深海水がよろしかったです。

というわけで使う水の全量殺菌がお勧め。
水道水といえど、全量殺菌してからというもの、非常に品質が安定します。
出来上がりのむらが少なくなりますよ。
これは○秘テクニックというより標準技かもしれませんぞ〜。

「しかし、お水をでか鍋で煮沸するとなると〜 それは大変だ。」 
 
殺菌は低温殺菌法といって、65度前後を30分程度保てばOKです。
(業界では、殺菌するものによって温度と時間がいろいろあるようですが)

水道水の場合はシャワーのお湯を利用すると、簡単にできるのでお勧めですね。
ご家庭のシャワーが70度程度の熱湯がだせるタイプでしたら、そのお湯をポリタンに入れて夏場でしたらそのまま、冬場の場合は毛布などで覆ってやって1時間ほど置いておけば簡単に殺菌(滅菌)した仕込み水を作ることができます。

 

なお そのままポリタンに置いておくときは、ゆるく蓋を緩めて下さい。
そうしませんと温度が下がった時に内圧も下がりポリタンがへこみます。
(ポリタンにシール温度計がついている場合は、とっておいたほうが無難です。
温度の関係で常温に戻った場合2度ほど高めを表示する場合があります)

湧き水の殺菌はそういうわけにはいきませんので、鍋を使うことになります。
火にかけて、底に小さな泡がいくつも出るようになったら約70度です。
その段階で火を止めて、蓋をして1時間ほどおいてください。
発酵容器には冷ましてから入れましょう。
(底を眺めるほうが、気分的に耐えられない方は、ぶくぶくと沸騰させて下さい)

なお補足として、ビールと塩素についての情報です。
ビアつくりには一般的に2つの塩類が必要とされています。
硫酸カルシウム(石膏)と塩化ナトリウムです。
硫酸カルシウムはワートのカルシウム成分を増やし、糖化作業を円滑にし、ワートをクリアにし、酵母の働きをよくします。
塩化ナトリウムは甘味やロースト香などのフレーバーを際立たせます。

町水道の塩素の影響は、上記の塩化ナトリウムと関係しています。
塩素カルキが40mg/L以上の場合は食塩をレシピの半分にし、70mg/Lの場合は食塩は一切加えない作り方をします。
なお飲料検査では200mg/Lまでは適合だと思います。
(これらの作り方は、ホップや塩類を加えていない麦芽糖を使った場合で、当店の扱っているモルトエキスでは調整されています)

なおご自宅の水道にどれくらいの塩素カルキが含まれているかは、水道局に聞けばすぐにわかります。


●よりクリアな仕上がりになるダブルステージ発酵に挑戦!

入門的なビール造りの説明書では、一次発酵期間中は同じタンクを使うシングルステージ発酵の話しか書いてません。
実はより澄んだ、よりオフ・フレイバーの少ないビールを造るテクニックとしてもう一つ別の発酵タンクを使う方法があります。
この手法を使いますとよりクリアになるのはもちろん、炭酸あわ出し用のプライミングシュガーの種類もグラニュー糖以外でも使いやすくなります。

また、ハーフ&ハーフの挑戦もしやすくなります。

ぜひ一度挑戦してみて下さい。


モルト缶に標準添付のエイルイーストを使いますと、2〜4日後が最も盛んに発酵し、結構な量のオリが底に沈殿しているのが見えます。
ダブルステージ発酵(おりびき)とは、最も盛んな発酵時期が終わった時点で、ワート溶液を他のタンクに移し変えることです。(大体5日後から1週間後位−発酵の状態によります)

早いうちにワートをこのオリの臭いなどから分離できますので酵母臭が少なく、オリの混じりもすくない仕上がりになるわけです。


またこのダブルステージ発酵のメリットはもう一つあります。
通常二次発酵のために、瓶詰め時に1本づつプライミングシュガーを入れましたが、ダブルステージ発酵の場合は、瓶詰め時にタンク内部に糖を入れて混ぜ合わせ、それを瓶に詰めたほうが簡単で楽です。
しかも砂糖以外に蜂蜜や黒砂糖など他の糖をプライミングとして使えますのでバリエーションが広がります。

使う量はグラニュー糖・上白糖・きび糖・三温糖などは、瓶詰め時と同じく100ccに0.6gの割合で入れます。(13リットル時ですと78g程度となりますね)

蜂蜜を使う場合は砂糖の約2倍の数値のccを使います。(13リットル時ですと150cc)

メープルシロップを使う場合は約2.5倍使って下さい。(13リットル時で200cc)

 

 

なお、プライミングシュガーの添加は、後発酵が終了して、瓶詰めを行う寸前に行ってください。その場合、後発酵でできたおりがプライミングシュガーを混ぜるときに少々舞い上がるかもしれません。

 
ホップ溶液もこの段階で混ぜるときれいに混ざりますね。

さらに、他の銘柄との組み合わせた自分だけのオリジナルレシピを考えられている場合にも

この手法でおりを除けば、瓶詰め直前に混ぜやすくなるので、これまたお勧めですね。

(ハーフ&ハーフは別立てにて紹介します)

 

 

補足 ダブルステージ発酵では、おりを途中でとってしまうため、二次発酵時の酵母の数が足らないのではないかとご心配される方もおられるでしょうが、大丈夫です。

上澄み溶液中にもそれなりの数の酵母が生きていますので問題なく二次発酵できますよ。

心配でしたらおりを一滴入れられるか、ドライイーストを2〜3粒振りかけられるとよろしいでしょう。発酵期間ですが、基本的にはシングルステージと同じ日数で考えてください。(状況により1日程度多めにします)

ダブルステージ発酵のデメリットは、発酵容器が2つ必要だということですが、最初の一次発酵に使うタンクをポリタンにし、詰め替え後のタンクを専用発酵容器にすれば、瓶詰め時にコックが使えます。(まあ両方とも専用発酵容器を使うことをお勧めしますが)

なお専用発酵容器から、他の容器に移す場合は、当店販売の「専用発酵容器用詰替チューブ」を使うと便利です。
    
 


さらに美味しくなる「ホップ」の使い方

ホップ添加のモルト缶でも、仕込んでいるうちに香りはどんどん逃げていきます。
同時期に造ったホップ添加と無添加を飲み比べてみると、ホップを追加したほうが、味香りともにより飲みやすくなりますね。
ではホップをどのように入れたらベストか探ってみましょう。

市販のホップは3種類程度あります。
1.ペレット状−見た目はうさぎの餌のような緑色の円柱状のものです。
一般的には品質が一定しているといわれています。
2.乾燥ホップ−まさにホップの雌花を乾燥させたそのものです。
弱点はかさばるのと、その分酸化しやすいので短期間に使わないと香りが落ちていきます。
3.圧縮乾燥ホップ−2.を圧縮したもので、乾燥ホップの弱点を克服した優れものです。ほんの少片を使っているのにぶわっと広がってもとの雌花に戻るのは感動ものです。

ホップを入れる目的は次の2つですね。
1.苦味を加える
2.香りを加える
もともとホップは、防腐効果と変質防止性で広く使われるようになったのですが、その苦味と香りがビールの味に非常にマッチしたのです。
苦味と香りの成分はそれぞれ違います。
苦味成分は水に溶けにくい性質がありますので、30分から60分程度煮込む必要があります。
香り成分は水に溶けやすいばかりか揮発する性質がありますので、ぐつぐつ煮込むと成分が飛んでしまいます。
苦味のために使用するホップを「ビタリングホップ」、香りのためのホップを「フィニッシングホップ」と呼びますが、煮立てる時間が違うのがその違いです。

さて今回紹介する方法はより香りを際立たせる使い方です。
もっと苦味がほしい方も、参考にして下さい。

一般的なホップの使用方法としては、モルト缶の中身をお湯で溶かしてから、ビタリングホップを投入して何十分か煮込んだあと、火から下ろす最後の数分間フィニッシングホップを投入し香り出しします。

ワート溶液に投入するこの方法は楽なのですが、次の問題点があります。
1.煮込むことでワート溶液がカラメル化しやすい
2.もともと添加されていたホップの香りがどんどん逃げていく
3.ホップ自体にワート溶液がしみこむ
4.ワート溶液が濃い為、浸透圧の差で成分が溶け出しにくい

しかも仕込み時にホップを添加した場合は、一次発酵期間中に二酸化炭素と一緒に香りが逃げてしまうという欠点があります。

そこでお勧めする方法は、ホップの添加と仕込み工程とはまったく切り離して、ホップ溶液を瓶詰め寸前に入れる方法です。
香りを主体とした使い方で説明します。

1.瓶詰めまでは、従来と同じ方法で仕込みます。
ただ仕込み総量はホップ溶液分少なくしてください。

2.鍋に1リットル程度の水を沸かします。香りを重視したい場合は80度程度が理想。
鍋の底に小さな泡が立ってくるのが大体70度ですので、それから少し経った位ですね。

3.火を止めてホップ(10-15g:ホップ添加のモルト缶を使用時)を投入します。
圧縮ホップが戻るようにかき混ぜてから鍋に蓋をし、数分(5分程度)そのままにします。

4.時間がきたら鍋を水を張ったボールに入れて冷まします。

5.ホップをざるで取り除きます。お茶パックなどのろ紙を使うのもいいですね。

6.このホップ溶液を瓶詰め前の発酵溶液に入れておしまいです。
苦味がほしい場合は2.3.の工程で1時間程度煮込んで下さい。

上記方法ですと、香り用のホップ溶液をとった後に、同じホップを使ってビタリング用の溶液が取れるという誠に経済的?な(一説にはケチ〜という説も)手法も考えられますね。(ちなみに分けて使うほうがよりおいしいですよ)

なにはともあれ、さらに美味しくなるホップをぜひお試しあれ。



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